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ゲート前で6

 班は全部で七つある。

 人数はまちまちで、この班のように九人の班もあれば、十五人くらいの班もあった。

 任務の内容によって、人員も変わるらしい。

 それぞれに、この班のように打ち合わせをしている。


 頃合いを見計らって、教師が、最初に出発する班を呼んだ。

 一番大きい班、十五人くらいが、その声に反応し、扉のほうへと向かう。

 そのなかに、千波はレントの姿を見つけた。ドラゴン討伐隊のなかでも、やはり美麗な姿は目立っていた。今日の彼の髪色は白に近い金色で、たしかそれが地の色なのだと聞いたことがある。

 レントのほうでも、ガジャルの班にまぎれている千波に気づいて、にこやかに手を振ってきた。

 彼らがゲートの前に整列すると、教師が手を挙げ、警備員らに合図を送る。


 機械音とともに、刻まれた術式が光を放ち、ゲートが淡い光に包まれた。

 千波は最近気づいたことだが、術式が放つ光は、その属性によって微妙に異なっているらしい。

 炎の術式は赤く、風の術式は緑色に光る。

 ゲートの周囲に用いられている術式は、総じて白に近い、やわらかい色合いをまとっていた。

 だが、複雑な術式だからだろう。白のなかに、さまざまな色が隠れているのが見て取れた。

 どこか夢幻的なその光景に千波が見惚れていると、錠の外れるような音が大きく響いた。と同時、両開きの扉の隙間から、まばゆい白い光が差し込んだ。


 分厚い扉がゆっくりと開き、光が空間に満ちる。扉の向こうは、真っ白な光で何も見えなかった。

 その光の中へ、レントたちは綺麗に隊列を組んで入って行く。最後尾の生徒の姿が光に飲まれると、再びゆっくりと扉が動き、重たい音をたてて閉じた。光も扉の隙間に吸い込まれて消える。


 もとの明るさに戻った室内は、しかし、先ほどまでのまばゆい光のせいで、真っ暗になったような錯覚をおぼえる。

 まばたきを繰り返していると、千波の背を軽く叩く者がある。振り返ると、綺麗な紫の瞳とかち合った。

「次は俺たちだ。行くぞ」

 玲はさらりと言うと、班の先頭に立って歩き出す。

 思ったよりも早い出発に千波が軽くあわてていると、唐突にけたたましい警告音が鳴り響いた。

 警備員たちの動きがあわただしくなる。


「不正アクセスだ」

 きょろきょろとあたりを見回す千波に、玲が簡単に告げる。その声音は、警告音の演出する緊迫感に比してあまりにも淡々としていた。

「それって……」

 多喜から教えてもらったばかりの知識を総動員して考えるに、どうやら、地球へ不正にやってこようとしているものがいるらしい。

 一大事なのではないかと、千波は不安を募らせる。しかし、彼の内心をよそに、周囲の空気はあわただしくはあるが、不穏なものではない。

 上級生たちにも、教師にも、まったく焦る様子はない。


「ちょうどいい」

 あろうことか、そんなことを言ったのは、彼らの担当教師だった。


「侵入者の捕縛を任せる。特AとSランクの奴ら。ガジャル、メルヴィ、ライル、友也にヨナ。お前ら前衛な。その後ろ、Aランクの奴らで壁つくっておさえこめ。それ以外は援護。一応言っておくが、向こうが攻撃してくるまで手を出すなよ」


 簡単な教師の指示に、生徒たちはやはりすばやく反応し、それぞれの持ち場へと大きな混乱もなく移動していく。


「んで、玲。お前は壁突破した奴おさえろ。それから千波と多喜。お前らは俺の横……って多喜も特Aだったな。前衛行くか」

「遠慮します。先輩たちの戦い方知らないんで」

 簡単に言う多喜に、教師は軽く肩をすくめる。


 扉の近くに立っていた千波は、ただ茫然とするしかできない。動かなければとは思うが、陣形を整える上級生たちのなかに突っこんでいくことなど、できそうになかった。

 ガジャルも千波に構う余裕がないらしく、扉の一番近い位置に立ち、その後ろに控える生徒たちに指示を送っている。


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