表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/47

ゲート前で5

 玲のあとに続く千波の姿に、上級生たちも少しざわめいている。その空気に居心地の悪さを感じながら、ゲートから少し離れた一角に向かう。

 玲が立ち止まったところには、八人の生徒が固まって立っていた。

 そのなかにガジャルの姿を認め、千波の足は自然とそちらに向かう。


「チビ?」

「チビじゃないし。千波だし」

「なんだ、ガジャルと知り合いか?」

 親しい様子の二人に、玲が訊ねる。

「同室なんだ。それで、何でこいつが?」

「向こうへ連れて行く。もちろん、行くだけですぐにこちらに帰すが」

「ああ、そういうことか」


 ガジャルが軽く頷いて視線を落とすと、千波はどこか不安げな様子で下を向いている。

 実際、不安なのだろう。とはいえ、やさしく励ますという芸当は、ガジャルには不可能である。


「行きたくねぇなら、多喜んとこ戻ってろ」

「え?」

「別に、お前は任務じゃねぇんだ。ぐだぐだ尻込みされると、面倒なんだよ」

「……だって」

「怖いんだろ。お前、ビビリだし、弱いもんな」

「違うし。その……緊張は、してる、けど」

「は? 緊張ってのは、はりつめるってことだろ。そんな情けねえ顔にはならねぇよ。ああ、いつもの顔か」

 馬鹿にするような調子に、思わず千波も顔を上げる。

「ガジャ先輩なんて、年中凶悪面じゃんか」

「まだ二か月そこらしか、俺の顔見てねぇだろ」

「言葉のアヤだよ。わかる? 言葉のアヤ」

「巧みな言い回しがどこにあったよ」

「なんでその外見で、微妙にインテリなのさ」

「外見関係ねぇだろ」

 ついついいつもの調子に乗せられていると千波が気づいたのは、背後で玲が軽く咳払いをしたときだった。

 知らない上級生も多くいる手前、元来人見知りな千波は、今度は顔を赤くしてガジャルの陰に隠れる。


その様子に、また軽く笑うと、空気を切り替えるように玲が声をかける。

「それじゃあ、出発前に簡単に確認しておく」

 ガジャルを含めた八人の学生は彼に意識を集中させた。

 一瞬にして空気が緊張に張り詰め、その温度差に、千波は軽く身震いをした。たった一年しか変わらない彼らだが、実戦経験の有無の差は大きい。


「班長は俺、サブはノイエとティア。任務時の役割は向こうで詳細を確認して改めて決める。それより前に戦闘になった場合、前衛をガジャルとティア。ノイエと秋は距離をとって援護。他の者は中衛で適宜展開する。大規模な術式を使う場合は声掛けを徹底すること」

 てきぱきと役割分担をする玲に、班員たちも簡単に頷き返すのみである。


 千波は、来年の今頃、同じように任務に向かう自分を想像しようとして、やめた。

 魔法を使ったことすらない現状で、自分に何ができるとも思えない。あまりにも遠いが、それでもいずれ立たなければならない場所だ。無駄な想像をするよりも、彼らの様子から、何かを学ぶほうがよほど生産的である。


ガジャルは座学の成績も上のほう。物理と国語が得意。

留学生はその次元の有望株ばかりなので、

基本的にみんな頭がいい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ