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ゲート前で3

 言い合いながら、もうだいぶ階段を下ったように思い、千波は見えもしない地上を仰ぎみる。


「ゲートの部屋は、地下のかなり深いところにあるんだ。もうそろそろ着く頃合いだけどな」


 と、千波の視線に気づいた多喜が言う。


「不便じゃない?」

「頻繁に使うもんじゃないしな。防衛の観点から、可能なかぎり地下深くに埋設してある」


 異世界からゲートを通って地球へやってくるには、必ず事前に申請が必要である。

 しかし、よくないことを企む存在は、当然、そのようなことはしない。あるいは、緊急で申請する時間も余裕もない場合もある。


 そんな予想外の来訪者を、簡単に外に出すわけにはいかない。地球の側でも、このゲートの存在を知る、ごく少数の人間が、悪用しないとも限らない。ゲートは隔絶した島の、さらに隔絶した場所に設ける必要があったのである。


 万が一、不正にゲートが開かれた場合、幾重にも重なる隔壁が閉じられ、さらに常駐する警備員により、結界の魔法が発動される。当然、この警備員たちは、もれなく学園の卒業生である。


 そうして、悪意のある存在は排除し、そうでない存在は一時保護する。

 学園は、異世界からやってくる脅威に対する、最初で最後の砦ともなっているのである。



 初めてその空間に足を踏み入れた千波は、そのスケールに圧倒された。


 ドーム状の広い空間である。映画で見たシェルターのようなイメージで、床や壁は、よくわからない金属質の材質でできている。天井は高く、白色度の高いライトが規則正しく並んでいる。


 その空間の中央に、大きな門がたっていた。

 まさに門である。両開きの扉は、高さは三メートルほど、幅は五人くらいの人間が横並びで通れそうなくらいの広さ。

 装飾らしい装飾はないが、無数のケーブルがあちこちから出ていて、それらが床を這って部屋の奥側へと伸びている。そこには、上半分がガラスになった壁で隔てられた別室があり、無数の機械が稼働していた。千波は、ファンタジーのような光景を想像していたのだが、SFの世界である。

 しかしよく見ると、門や機械、ケーブルにも、あちらこちらに魔法の構築式が刻まれているのがわかった。もちろん、内容など理解できるはずもなく、千波の知識では、一部分の単語をようやく拾えるくらいだった。


 空間の出入り口付近にはワークスペースがあり、そこでは警備員たちが忙しそうに働いていた。

「あの人たちは?」

 複数のモニターを見ている数名の警備員をさして千波が訊ねる。

「くわしくは俺も知らない。ただ、異世界との壁が薄くなってるところを監視して、穴が開かないように調整してるとかなんとか、聞いた気はする」

「うん。よくわからないけど、とにかく、地球を守ってくれてるんだね」

 うなずく千波に、多喜は軽く肩をすくめた。

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