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神様の宴  作者: 大山椒魚
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「さぁ、洗いざらい吐いてもらおうか」


バキボキと指の関節を鳴らしてあやめに詰め寄れば、オメメをパチクリさせて誤魔化そうとした


「えぇー?何の事だかわかんないわぁームギュ」


菖の頬っぺたを両側からギュッと挟む


「私、あんまり人とつるまないから噂に疎いの、あんたが何か情報掴んでるならちゃんと教えて!あと、小説の事も詳しく!」

「ふぁい」


取り敢えず頬っぺを解放すると、菖は苦笑する。そして私の手を掴んで移動を開始する


「ごめんね椿。この前は私も色々裏で動かなくちゃならなくて。ここじゃあなんだから私の部屋で話そう。かなり本筋から離れてるから今、現実に起こるとは限らないけどね」

「……ありがと」


連れて来られた菖の部屋は以外にも簡素なものだった。もう少し賑わいのある部屋を予想していたからちょっと驚いた

備え付けの椅子に腰かけ、菖が取り出した紙の束を手に取る


まず、『神様の宴』の設定がまとめてある。この世界は地球のなん千年、なん万年か後の姿らしい


「ウンウン、一度世界が滅んだ後にできた国々で構成されてるってわけね」

「神支国はちょうど日本列島に位置してるの。それに、かなりファンタジー要素が絡んた設定だよ」


王家を含む十二家は年に二回必ず本家の長子が集まり、宴を開いている

それはただの宴会ではない。建国の時に集められた神々の血を引き継ぐ者で、国の地脈を整える

地脈とは見えない神の力であり、それは神支国全土に行き渡っている。作物が育つのも動物が生きれる環境なのも、水が澄んでいるのも神の力、地脈のお陰なのだ


「それを整える十二家は特別な訳ね……」


パラパラと目を通していく

血も大切だから、王家と十一家には側室が認められているわけだ

一般人は一人の相手としか結婚は出来ない


ふんふん、それで……って!!


「ナニコレ!?」


紙には重要を表す星印

地脈を整える力を呪力(じゅりょく)といって人が内在的に宿している力だ。王家と十一家がそれを外に出して扱えるが、一般人にも使える者が極稀まれに存在する

地脈を整える力はないが、占いや簡単な呪術は行える。占師(うらないし)呪師(まじないし)といった存在だ


そして、その力を持った『西安椿』


彼女は呪力は弱いが楽器を使い、旋律にのせて相手を意のままに惑わす事が出来る


マジでか!?

そんなのどうやって使うんだよ!?私知らないヨ!!


それを使い長年、王太子を惑わし続けた罪に問われ、表沙汰になる前に後宮内にて慙死


慙死!?慙死とな??


呆然としていると菖から補足説明が入る


「その様子だと、椿は呪力使えない?知らないよね。春タンも少しだけ呪力が強くて、それのおかげで椿の力を打ち破るの!その時、暁様の側近たちと後宮にいて、修・羅・場。もともと小説の椿は神経か何かに病気?抱えてたみたいな描写があったよ。でも今は関係ないかも。暁様を思うあまりに、みたいに書かれてたから!狂った椿が春タンと暁様に近づこうとしたら、酉洲とすなばりが椿を切り殺すの………」


切り殺される?私が?

そして、神経の病気……


指先から温度がなくなっていく

いや、大丈夫……ここは小説通りの世界ではないし、私は………

巳波医師の顔が頭をよぎった


「……酉洲とすなばりって誰だっけ?」

「…十一家の一つで年が暁様と近いから側近みたいな人だよ。見たことあるかな?目元にホクロがある美人さん」


目元にホクロ、そうだ、何度か見たことがある。雰囲気のある美人だ。男に美人もどうかと思うが、女らしいとかではない。ミステリアスな雰囲気を纏った美形だ

その上泣きボクロなんて……神様、反則だぜ


「確か文官だよね、その人。…なのに剣も扱えるんだ」


ある程度たしなみとして剣術を習うことはあるが、おそらくその場にいたであろう武官よりも先に切り殺すってどういうことだ


「かなり腕前は確かみたい。ただ……」


チラリと意味ありげな視線を投げて寄越す菖に先を促す


「何よ?」

「二章の方でね、隠は椿を慕っていたって描写が出てくるの」

「??……死ねばいいと思ってた?」

「違う。愛してたってこと」


菖サンの真剣な眼差しに微かな興奮が見られるが私は意味が分からない


やはり、この世界の原作?を知っているのは大きな強味だ

第一章は『椿』とのアレコレが終わった所で区切りがつく。第二章は王位継承権争い?

王位は王太子の暁に決まっているはずだが


その疑問は興奮気味な菖から説明を受ける。合間にカップリングがどうの憂いの表情がどうのと脱線しそうになり、ふにふにのほっぺをつまんでやった


これまでの椿による暗躍を寵愛だけで見逃していた王太子に分家の辰繁たつしげ家嫡男、辰繁たつしげそうが異議を申し立てる

現王も長年患っていた病が悪化し、急死……

どうも、分家の長子には極稀まれに本家を凌ぐ呪力を持つ者が生まれる。その場合、本家の長子に問題がある時は下剋上も可能なようだ


辰繁たつしげそうは幼い頃から暁に並ぶ呪力を持ち、優れた頭脳と剣術もあった。だが、生れが分家だということで暁とは天と地ほど差がある

抑えつけていた劣等感と野心は女に傾倒している暁を見て煮えたぎる

なんと、この蒼とやらは婚約者の椿に近づき、呪力の使い方を教えたそうだ

自身が暁の初恋の相手ではないことを知っている椿は藁にも縋る思いで呪力を覚え、暁を惑わしていく


反旗を翻すために十一家の人間も取り込む。その中の一人が酉洲隠というわけだ

暁に付いていて出会った椿に一目惚れ(笑)していた

しかし、主の婚約者を思うことは主に対する裏切りだ。無意識に抑えつけていた思いは、不甲斐無い主の行動でどんどん歪んだ末……

主を裏切り、追い落とすことに変わった。途中から利用されていた椿を自身の手で殺し、暁をとその思い人をも死に追いやろうとして、なばり自身も破滅する……


これが世にいうヤンデレというやつか?

かなり怖いんですけど

紙には登場人物の相関図もあるが、かなりややこしい事になっている…


「この辺りは今、椿が暁様の婚約者じゃないからどう変わってるかなぁ。そうそう、河瀬婕妤(かわせしょうよ)は椿を牽制したくて呼び出したみたい」

「ババアめ…」

「あはは、お妃候補選抜試験ってホントにやるみたいだから頑張ってるんだよ。自分は寵愛が薄かったから姪には栄華を誇らせたいんでしょ?」

「けっこう毒吐くね」


んふふ、と底の見えない笑みを浮かべてあっ、と言った


「そうそう、これは新しい情報。お妃候補に椿の名前も上がってるてさ」



「は?」















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