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ヴァレリアとアナスタシア  作者: 杉野仁美
第六章・仲間達の事情

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アクシデント!

前回までのあらすじ


テセウスから急に婚約者宣言をされて困惑するアリア。でもどうやらテセウスの方はアリアを子供の頃から知っていたみたいです!なかなか前に進めない不器用な二人。どんな進展が見れるのか!

「あら? 今日は‥‥‥」


 私はアリア。バルカの宮殿に越して来て数日。ガルシア国王の弟であるマクシミリアン公爵様にお情けをかけていただき、その息子であるテセウス様のお世話をする事になったのだけど。


 テセウス様と私の認識には若干ズレがあるようで?


「今日はこの辺りにいたご婦人方がいなくなっているわ」


 ひょっとしてあの時、テセウス様が「君は何も心配しなくていい」

 という言葉はこういうことだったのかしら? だとしたらテセウス様って実はすごい人なのでは? いや、実際すごい肩書きだしそれはそうなんだけど‥‥‥


「よかったじゃないですか。煩わしい虫がいなくなって」


 隣にいたアニマが口を開く。


「まあアニマ。そんな虫だなんて‥‥‥」


「本当の事ですよ」


「う、うん」


 アニマの固い無機質な声を聞くと私はそれ以上言葉を紡ぐ事はできなかった。アニマはとても優秀だけど、時々ものすごく冷たく感じる時がある。


「では行ってらっしゃい」


 いつもの場所でアニマと別れたあと、テセウス様がいるであろう鉄製の扉を眺める。


【これからよろしくな‥‥‥。俺の婚約者として】


 あんな事を言われたけれど‥‥‥どこまでが本気でどこまでがご冗談かわからないわ。


 私が来るのがわかっていたかのように、鉄製の扉が自動で開いた。


 * * *


「やぁ、待っていたよアリア」


 今日は珍しくこちらに目を向けて、眼鏡をかけたテセウス様がこちらを見ていた。


(うう‥‥‥イケメンと眼鏡の相性がよすぎる//テセウス様ってずるい!! イケメンってずるい!!)


「はい、今日は何をすれば」


「今日はこれを着てくれ。あとは何もしなくていいから」


 えっ?


 そう言って出されたのは、デコルテの部分が強調された丈の短いドレスと


「猫‥‥‥?」


「ああ、猫耳だ。あなたに似合いそうだと思って作った」


 えぇ〜‥‥‥そ、そんな物をわざわざお作りになるなんて‥‥‥テセウス様って‥‥‥もしかして、相当な変態なのでは??


「ついでにアリアの部屋も作ったから、そこで着替えてくるといい」


「でも」


「早く」


 私はテセウス様が作ったという私のお部屋に入った。驚いた。その部屋は私の好きな色、好きな調度品、好きな壁紙で統一されておりまさに私のために作られたような部屋だった。


 配置も完璧だわ。まるで私の実家のような‥‥‥


「あの〜‥‥‥テセウス様? 一応着てきましたけど‥‥‥」


 アリアはいつもより胸元の空いたフリフリのミニ丈のドレスにニーハイを履いて、猫耳のヘアバンドを付けてテセウス様の前に現れた。


 でもこのドレス、作ったからって言ってたけど‥‥‥こんな露出したドレスだとは思わなかったし、ニーハイソックスも恥ずかしい//テセウス様は一体何のためにこのドレスを作ったのかしら? ひょっとしてテセウス様は相当な助平なのでは?

 

 テセウス様の頼みじゃなかったら絶対着ない‥‥‥


 (って、私今何を‥‥‥? それってまるで私がテセウス様のことを、特別に思っている感じじゃない?)


「おお!」


 振り向いたテセウスの顔がりんごのように真っ赤になり明らかに動揺していた。ニヤついた口元を手で隠している。


(やべぇ‥‥‥想像以上に似合ってる。なんて色気だ)


「‥‥‥アリア。すごく似合っているよ。可愛い」


 ドキンッ!


「えっ?//そ、そうですかね? 初めてこんなドレスを着たのですが」


(変なの私、こんな何考えてるかわからない方に褒められて動揺するなんて)


 おまけに‥‥‥


「最高だよ。俺の婚約者がこんなに可愛いなんて」


(このドレスも、アリアも全部俺のものだなんて)


 顔を真っ赤にして、子供みたいにくしゃくしゃな笑顔‥‥‥//


「ばっ、バカじゃないんですか? たかが、服を着替えたくらいで‥‥‥」


 照れ隠しでついキツい言い方をしてしまった。


「あなた、テセウス様は‥‥‥一体何のためにこんなドレスを作ったのですか? こっ、こんな露出したドレス‥‥‥//」


「俺の趣味だよ。俺はそういうのが好きだからな」


 し、趣味って‥‥‥


「それよりもアリア‥‥‥その金髪に黄色の猫耳が映えて最高だよ」


 そう言うとテセウス様はまた私を壁に追いやり逃げ場を無くした。


 ドンッ!!


(また壁ドン!!//テセウス様のお綺麗なお顔がァァァァ!! 私の目の前に!!!!//)


 テセウスは上から下までジーッとアリアを眺めている。


「うう‥‥‥テセウス様。そんなジッと見つめないでください//」


「どうして? こんなに美しくて可愛いのに。目に焼き付けておかないと勿体無い」


「だって‥‥‥その、テセウス様のお顔があまりにお綺麗で‥‥‥見つめられると照れてしまいます//」


「え‥‥‥」


 俺の顔が綺麗?? ああ、しばらく引きこもっていたから忘れていたが、俺は綺麗な顔をしているらしいな。そういえば宮殿のご婦人方がよく噂していたな。レクター王子のお従兄弟様は顔だけはいいと‥‥‥


「ふぅん‥‥‥アリア、俺みたいな顔が好きなんだ?」


「べべべべ別に!!//好きではな‥‥‥」


「でもその好きではないヤツの作ったドレスを着るんだよね? それで見せてくれたんだよね」


「うっ‥‥‥だって、テセウス様が‥‥‥」


「俺が、何?」


「着て、見せて欲しそうにしていたから」


ドキッ!!


 「‥‥‥なるほど、俺が見たそうにしていたからか」


 アリア、俺の可愛いアリア。見事に可愛いく、美しく成長した。今はもう父親も死に、頼れるのは婚約者の俺だけ‥‥‥

 俺以外にこんな可愛い姿を見せたくない。暗い感情が、俺の心に渦巻く。


 (もう、婚約者になった事だし。このままキスしてもいいよな? アリアも俺の作ったドレスを着てくれたし‥‥‥)

 

 何より俺の婚約者だし。


「アリア」


テセウスがアリアの頬を撫でる。


「テセウスさ‥‥‥ま」


バゴンッ!!!!


「テセウス! アリア! 喜べ! 今日はアリアのために馬を買ってきたんだ! 上等の馬だぞ! 白毛で色白のアリアにピッタリ‥‥‥」


 自動ドアをこじ開けんばかりに入ってきたマクシミリアンの視線の先にはテセウスもアリアの姿がなかった。


「あれ? テセウス? アリア? おかしいなぁ今日は一日中ここにいるって聞いてたのになぁ」


 一方、テセウスとアリアの二人は焦ったあまりアリアの部屋のクローゼットに隠れていた!!


(あのクソ親父!! いいところで邪魔すんなよ!!怒)


 クローゼットではテセウスの心の叫びが爆発しており。アリアはと言うと、しっかりとテセウスに抱きしめられながら同じ場所に入っていたため、心臓がバクバク鳴り響いていた!


(テセウス様、服に隠れて見えなかったけど、(たくま)しい腕‥‥‥むむむむ胸板が厚くて押しつぶされそう//)


 クローゼットに隠れたテセウスとアリア。二人の運命は果たして!?

更新が遅れて申し訳ありません。ここまでお読みくださってありがとうございます!


もうテセウス君とアリアは第三者が介入しないと全然進展しなさそうですね!涙

いやでも諦めんぞ私は!!まだ舞えるまだ舞える!

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