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ヴァレリアとアナスタシア  作者: 杉野仁美
第六章・仲間達の事情

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束の間の休息

〜前回のあらすじ〜


ロリコンキモ紳士にユーリがブチギレ!もうわけがわからなくてひたすら暴れてオシリスの家を半壊させちゃった!魔力をほとんど使い果たしたユーリは、ロリコンキモ紳士にサラスィアを見られないように残りの力を振り絞ってサラスィアと共に草むらに隠れていた!



「はぇ〜? また派手に暴れたなぁ、ユーリ」


 オシリスよりも一足早く帰って来たセトが半壊したオシリスの家を口をポカンと開けたまま見上げた。


「セト! 感心してる場合じゃないでしょ? ユーリとサラスィアちゃんを見つけなきゃ‥‥‥」


 一緒に帰って来たエリーがセトを叱咤する。ユーリとサラスィアは家にはいなかった。


「ああ、すまん」


「とにかく何があったのか説明してもらいましょう? サラスィアちゃん、いるのでしょう? 怒らないから出て来てください」


 カサッ


「ん? 草むらの方から何か‥‥‥」


 音がした方を見ると、ユーリを抱き抱えて震えているサラスィアの姿が目に入った!


「サラスィア! ユーリ! 大丈夫か?!」


「サラスィアちゃん! ユーリ!」


 セトとエリーが慌てて二人の元へ駆け寄る。サラスィアは取り乱していてまるで要領を得ず、ユーリに至っては気絶しているようだ。


「一体何があったんだよ‥‥‥」


 * * *


 ワシはサラスィアじゃ。今はオシリスの家が使えないので酒場の二階の部屋のベッドにユーリを抱き抱えたまま座っている。

 何故ユーリを抱き抱えているのかと言うと、気絶したユーリがワシの服を何故か離してくれんからじゃ!//


「ユーリはどう? まだ目が覚めない?」


 そう言いながらネフティスが何やら湯気の立つ飲み物を抱えて入って来た。


 ワシはネフティスの方を見て首を振った。


「ネフティス、悪かったの。仕事の最中に」


「気にしないでいいのよ。あたしの事は」


「それにオシリスにも悪い事をした」


「だから気にしないでいいのよそんな事は。オシリスとホルスもなんとも思っちゃいないわ。セクメトがああなる前はしょっちゅうあちこち壊されてたんだから! それに比べたら家なんてすぐ直っちゃうわよ! あの二人の力ならね」


 オシリスとホルスは半壊した家を直しているところだ。代わりにセトとエリーが下の酒場を回しているようだ。


「少しは落ち着いたかしら? あ、これ。あたしの故郷の特製のお茶よ。とっても甘くておいしいの」


『‥‥‥。う、うん。ありがとうなのじゃ』


 ネフティスの言う通り、甘くて温かい。


「‥‥‥。あの貴族のことだけど‥‥‥。話してもいい?」


 あの貴族‥‥‥? ああ、あのワシを買おうとして来たヤツの事か?


 元々温厚なユーリをあんなに怒らせた相手の事が気になって、ワシはコクンと頷いた。


「あの貴族の男は高級娼館(ラ・パイヴェ)ではちょっとした有名人でね。ライヒではないけど、ここからちょっと離れた街が所領なの」


 ネフティスの話によると、あの男はこの街一番の高級娼館(ラ・パイヴェ)ではちょっとした有名人らしい。それというのも‥‥‥


「あの男の所領にはそういうお店がないからっていうのと、自分よりうんと年下の少女を目当てに娼館を訪れてたみたいなのよ。うちのは大きな娼館だからそういう方のための特別な館も用意されているの」


 でもあの男の欲望は娼館ではおさまらなかったようで‥‥‥。ずっと探していたようなの。あなたみたいな少女をね。


 そしてある日男は偶然見つけた。ケルベロスとセトとエリーと買い物に出ているあなたを。


「その時の話を他の娼婦から聞いたんだけど、どうやらあなたに一目惚れしたんですって。あの男は」


 それからずっとワシの事を探していたと。辛抱強くワシの後をつけ、オシリスの家に入って行くワシの姿を見かけたと。


『何じゃそれ。気持ち悪いんじゃが。人間って時々悪魔よりも気持ち悪いな』


「あははは! その言葉、オシリスが良く言ってるわ。オシリスは仕事柄色んな人間と関わるからね。まあそれは高級娼館(ラ・パイヴェ)でも同じだけど‥‥‥。で、その男の処遇についてだけど‥‥‥」


 その時ユーリがサラスィアの服をギュッと握った。


『ユユユユユーリ!?// 起きたのか!?』


 ‥‥‥


 ユーリ? 震えている? ユーリはカタカタと震えながら、ワシの服の裾を自分の手が白くなるほど握っていた。


『悪いなネフティス、ユーリが聞きたくないようじゃ。その話はまた今度聞かせてくれ』


「あらそう?」


 あの男の身柄はすでにガルシア国王の手に渡っている。


 レクターが手を回したからね‥‥‥。


「まああの男は二度と二人の前に姿を現さないのは確かよ。安心しておやすみ」


『あ、ありがとうなのじゃ!』


 部屋を出て行こうとするネフティスに思わず声をかけた。ネフティスは背を向けたまま手を振った。


「ふふ、少しは役に立てたかしら?」


 それにしても、あの世間知らずのお嬢様然り、ユーリ然り。無自覚拗らせカップルの多いこと‥‥‥。まあオシリスに告白もできてないあたしが言えたことじゃないんだけど‥‥‥


「はぁ〜、あたし他人の色恋の様子はよく分かるのになぁ〜」


 そう言うとネフティスは自分の頭をコツンと叩いた。


『ユーリ、もう心配ない。あの変態ロリコン男はもうどこかへ行ったぞ。今はぐっすり眠れ//ワ、ワシのううう腕の中でな//』


 穏やかな寝息が聞こえる。

 ユーリの手はもう震えていなかった。



すみません!コロナにまた罹患したりインフルエンザにまた罹患したりして中々来れませんでした!

これからもサラスィアちゃん達の恋愛模様を書いていく所存です。うーん、サラスィアちゃん達はどうなってしまうのかなぁ??

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