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ヴァレリアとアナスタシア  作者: 杉野仁美
第六章・仲間達の事情

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番外編・サラスィアの場合

すみませんどうしても番外編挟みたかったのです!

主にサラスィアちゃん達の‥‥‥

時系列はまだ王子とヴァレリアがバルカ城に戻る前くらい。

ゲームでいうところのサブクエ(?)のようなものだと思ってくだされば嬉しいです!


 ワシはサラスィアじゃ! このところシリアスな話が続いてるので作者がキャパオーバー気味なので番外編を挟むためにワシが選ばれたというわけじゃな!! ガハハ!


 ‥‥‥いやこの自己紹介おかしくないか?


 * * *


 気を取り直してワシはサラスィア。


 元々はヘルヘイムにいたラタトスクという子リスじゃったんだけど、その身軽さと暇さを生かしてドラゴンのニーズヘッグと鷹の悪魔フレスベルグの間を行ったり来たりしてお互いの陰口を聞かせるというまあまあ性格の悪いことをしていたんじゃが。


 その頃は各々の種族は違えど、まあまあ仲良く共存していたのじゃ。


 人間も悪魔も神も。


 ところがワシよりも性格の悪い凶悪な魔力を持った悪魔が、その生ぬるい世界に我慢ならんくなったのか何なのか。


 その膨大な魔力で世界を半分以上破壊してしまった。


 怒った神はついにその悪魔と対立した!


 悪魔はいくら魔力が膨大だといえども、神の本気の怒りには太刀打ちできず、ついに神の力に負け、その悪魔は爆発。細胞が散り散りになってしまったのじゃ。


 まあ一部では、悪魔はその散り散りになった細胞を集めて復活を目論んでいるとも聞いたがな。その辺はよく知らん。


 とにかくその大戦のとばっちりはワシらの住処。ヘルヘイムにも当然及び、一番小さく、ニーズヘッグやフレスベルグのように翼を持たないワシはヘルヘイムに一人取り残されてしまった。


 どうやらその悪魔と戦った神の血を引くのが、フランシス・ジャンカエフ。


 今ワシが気になっておるユーリ・ジャンカエフの父親だ‥‥‥


『‥‥‥』


 レクターとヴァレリアとニルは街へ買い物に行っていて、エリーはセトと共にセクメトの子守り。

 ネフティスは高級娼館(ラ・パイヴェ)で情報収集。オシリスとホルスは夕方から客が来るので酒場でずっと忙しそうにしている。

 アデルは酒場の二階で妹の介護をしている。


 で、ワシは今何をしているかというと。そのユーリ・ジャンカエフとオシリスの家に二人きりなのじゃ!! 二人きりなのじゃ!!(大事なことなので二回)


 ユーリは魔法の杖でセト兄弟の洗濯物を畳んだりしている。


 器用なやつじゃ‥‥‥


「はい、サラスィアさん」


 そう言ってワシにニコリと微笑んだユーリが目の前にハーブティーとスコーンを出してきた。


「そのハーブティーは前に街で買った物です。お口にあえばいいのですが」


『ありがとう‥‥‥。なのじゃ//』


 目の前で繰り広げられるユーリの魔法劇場に、ワシはすっかり魅入ってしまった。


(‥‥‥この気持ちはなんじゃ? 胸が締め付けられるような。ユーリの一挙手一投足に胸がザワザワする)


 そうじゃ。確か、ユーリはヴァレリアに憧れていたな‥‥‥


(なんか変なのじゃ。ユーリのヴァレリアへの気持ちを考えると‥‥‥胸の奥がチクチクする。なんか泣きそうじゃ)


 このような気持ちは初めてじゃ。


 この前はあの嫉妬深いムッツリ王子(レクター)に邪魔されたが‥‥‥


 ボフンッ!!


「えっ‥‥‥? サラスィアさん? ヴァレリアさんに変身してどうしたんですか?」


 ‥‥‥そんな事ワシが聞きたいわ。ただ、ユーリが想いを寄せる相手がヴァレリアなら‥‥‥


『ユーリ‥‥‥』


「えっ?!//」


 サラスィアの足が、そろそろとユーリに近寄っていく。そのままユーリの手を取って、己れの頬にそれを滑らせた。


(あたたかい‥‥‥。これがユーリの手‥‥‥)


「サラスィアさん? 一体何がしたいのですか?」


『ッ‥‥‥ッ!!』


 そうか。ユーリにとって、たとえ外見がヴァレリアでも、中身がワシでは‥‥‥


「ッ! サラスィアさん!」


『えっ‥‥‥』


 いつのまにか、ワシの頬には涙が伝っていた。


『えっ! 何じゃこれは?』


 自分でも驚いた! 拭っても拭っても、次々に溢れ出てくる涙。


「サラスィアさん‥‥‥」


 ユーリはワシの頬をつたう涙を共に拭ってくれた。でもそんな事をされても、この胸のざわつきが解消されるはずもなく。


 むしろますます膨れ上がる。


 この体のままじゃダメなのか?


 ‥‥‥。サラスィアは、大戦後の疲れで自暴自棄になっていたワシの前に現れた哀れな少女だった。卑しい身分の卑しい職に就いていた女との間に生まれた少女。

 ただそれだけの理由で、家を追い出された哀れな子。


 ワシは初めてサラスィアと会った時の事を思い出していた。


「あ‥‥‥。たしは、不義の子。生まれてきちゃ、いけなかったの」


『サラスィア、お前はまだ生きるべきじゃ。まだこんなに小さいのに。絶望を抱えたまま死ぬこともなかろう』


 ワシはサラスィアの頬を撫で続け、そう言い聞かせた。とっくにサラスィアは死んどるのにじゃ。


 ーーーーワシも、もう疲れたな。


 誰からも嫌われて、疎まれて。生きるのに疲れた。サラスィア、ここで会ったのも何かの縁じゃ。死ぬのなら一緒に連れて行ってくれ‥‥‥


 ‥‥‥あの時と同じじゃ。いや、あの時よりも余程辛い。それはきっと‥‥‥。ワシが。ワシがユーリの事を。


『ユ、ユーリ‥‥‥』


 この気持ちを伝えられたらどんなによかったじゃろう。でもワシの体はサラスィアの体のまま。永遠にこの姿のままじゃ。かと言って元の姿に戻れば、ユーリの瞳にはきっと痩せた子リスが映るだけ。


「ヴァレリアさん。いえ、サラスィアさん」


 ユーリはワシの紫の瞳に何を見たのだろう。悪魔? それとも‥‥‥



サラスィア( ; ; )コメディ風にしたかったのに悲恋っぽくなってしまった。


メインはどうした?アナスタシアがようやく心を開いたのに!と思った方は☆に(ry


ここまでお読みくださってありがとうございます。


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