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ヴァレリアとアナスタシア  作者: 杉野仁美
第五章 拗れる心

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根っこの部分

前回までのあらすじ


ヘルヘイムにいるニルを助けにレクター、ヴァレリア、ユーリ、サラスィア、そしてヴァナルカンドの一行は出立した。ヴァナルカンドの疾走のおかげでレクター達よりひと足先にヘルヘイムへ着いたユーリとサラスィア。思ったより元気そうなニルの様子に拍子抜けする。せっかくだから地獄めぐりをするか?とのニルの提案にユーリが快諾。ところがヘルヘイムの瘴気は、いくらニルが結界を張っても生身の人間であるユーリには耐えられなかった!

 私はヴァレリア。


 悪魔ニーズヘッグと強制的に契約してしまった事で、悪魔の瞳と忌み嫌われる紫の瞳になってしまったの。


 私はこのギラギラした妖しい光を放つ瞳の色が自分でも嫌いだった! 前までは漆黒の美しい瞳だったのに!


 今では女中さえも、恐れて近寄らない。


 だけどアイシャの後に入った女中、エリーザベトは違った。


 エリーザベト。エリーだけは、私の紫の瞳から目を逸らさず接してくれた。


 それでも少し油断したら悪魔のニーズヘッグの顔が見え隠れする。その度にこの紫の瞳がギラギラと光る!


『お前は俺様を解放してくれた! 助かったぜ!』


 ニーズヘッグ。私の体を利用し、意思を持つ地獄の悪魔。


 私はあなたが大嫌いだった。私に取り憑いているあなたが!!


「ニーズヘッグ、いつか私はあなたを私の体から追い払ってやるわ」


 アイシャを利用したニーズヘッグが憎い! そしてアイシャを救えなかった私も‥‥‥


 あなたが私を利用したように、いつか私もあなたを利用してやる‥‥‥!


 * * *


 俺様はニーズヘッグ。今はニルっていう名前だ。


『なんかまだヴァーリャがアナスタシアと入れ替わる前の、性格悪いヴァレリアの時を思い出しちまったな〜。あの頃のヴァーリャのままだと、俺様は今頃どうなっていたのかな』


【ニル! あなたは私の家族よ!】


『入れ替わっただけなのに、この違いは何なんだろうな』


 まああのヴァレリア【アナスタシア】も、今はバルカ城で大人しくしてるみたいだし‥‥‥。心配はないと思っていたんだけど‥‥‥


【『アナスタシアは、本当は‥‥‥。女神アルマ様の肉体で生まれてくるはずだった。だがアルマ様はアナスタシアとしては生まれてこなかった。虚弱体質のアナスタシアでは、女神アルマ様の器としては不十分だったのだ』】


 ブエルが死に際に放った言葉。女神アルマはヘルヘイムに迷い込んでいたところを俺様が助けた女神だ。

 それがどうしてアナスタシアの体で生まれてくるはずだったんだ?


 そしてブエルとの関係性は? 何故女神であるアルマが悪魔なんかと通じてるんだ? 考えれば考えるほどわかんねぇ!


 俺様はブエルの墓をチラリと見た。


『全くブエルさんよお、とんだ謎を残して死んじまって』


 もしかしてアルマは、本当は女神でなく人間として生まれたかったのか??


 ‥‥‥アルマだけに関わらず、神も悪魔も、時代が変わるごとにその姿を保てなくなる。俺様も最初は悪魔だったのに、いつのまにか神になって、また悪魔に戻って。


 女神アルマの今度の転生先は、人間であるアナスタシアだったのか? でも蓋を開けてみるとアナスタシアは虚弱で、アルマの器としては不十分だったと‥‥‥


『でもなんでアナスタシアだったのだろう』


 てか俺様先日からクソクソ真面目じゃね? 俺様はこんなキャラじゃねーっつーの!!


 その時だった。


『ニ、ニル。手伝ってくれ。ど、どうやら生きている人間にはこの地獄の瘴気(しょうき)は毒らしい』


 さっきユーリに地獄めぐりを勧めたんだが、ユーリは気絶していた。それをヴァレリアに変身したサラスィアが運んできた。


『ヴァ‥‥‥。てかサラスィアか! お前まだその姿でいたのかよ』


 ニルはその光景に呆れ、ため息を吐く。


『う、うるさいのじゃ! こいつ、いくらワシがヴァレリアになったとは言ってもやはり男だからか重いのじゃ! 手伝ってくれ』


 あー、いくら地獄としての機能が働いてなくても生身の人間には少々きつかったか‥‥‥


『ほらよ』


 俺様は指先でユーリを優しくつまんでそっと根っこの柔らかい部分におろした。


『まぁ、機能してないとはいえまだ根っこは残ってるからな。その辺は俺様が軽率だったぜ。生身の人間にヘルヘイムめぐりを勧めるなんて。あとで謝っておこう』


 ‥‥‥。なんせ何万年も前からずっと世界を見渡してたんだ。この()は。


『確かに。ワシらがいた時よりずっと様変わりしたが、根っこはあまり変化がないのぉ』


 根っこはあまり変化がない‥‥‥か。きっとヴァーリャも、アナスタシアも、姿形が変わろうと根っこの部分は変わっていない。つまり心の部分。俺様は今のヴァーリャが好きだ。たとえ姿形が変わったとしても。


 そしてそれは、女神アルマも、俺様も同じ。


『サラスィア、ヴァーリャ達がここに来たら一度バルカ城に行くぞ。ユーリには悪いが‥‥‥』


『ん? どうした? 何かあるのか?』


 サラスィアに全てを話そうと思ったが、こいつそんなキャラじゃないしな。話の途中で頭こんがらがりそうだし。


『それを探しに行くんだよ』


 まずはアナスタシアに話を聞かねばならない。 


『ん? やっと着いたか。遅いっつーの』


 こちらに手を振るヴァレリアと、何故か真顔で何かを(こら)えている王子の姿が見えた。



お久しぶりです。更新が止まるかと思って自分が戦慄しました(震え)

大して話が進まなくてすみません。次回はバルカ城に行くのか!行かないのか!?てかせっかくヘルヘイムに到着したのにバルカ城に行く王子とヴァレリア草と思った私は、広告の下の☆を漆黒にする夢を見ようと思います。


ここまでお読みくださってありがとうございました。



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