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ヴァレリアとアナスタシア  作者: 杉野仁美
第五章 拗れる心

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ユーリ

前回バルカ城でガルシアが一人で浮かれている中、レクターからの手紙が届く。

ユーリの力を貸して欲しいとの文面に、ユーリはヴァナルカンドを連れてヴァレリアとレクターの元へ急ぐのだった。

 こんにちは。僕はユーリと言います。


 僕のことを知らない方もいらっしゃると思うので簡単に説明します。


 僕は二重人格で、感情が(たかぶ)ると、普段は目が隠れるほど長い前髪をかき上げてアレクという別人格になってしまいます。そのせいでパーティーから「お前が何を考えているかわからない」という理由で何度も追い出されました。


 それで、上記の理由で何度目かの追放に遭った時にヴァレリアさんというちょっと世間知らずなお嬢様と出会いました。ヴァレリアさんは二重人格の僕のことも、今までそのせいでハブられていた事も受け入れてくれて、僕のために泣いてもくれた。僕はそんな暖かいヴァレリアさんに憧れて‥‥‥//


 ゴホンッ! この話は割愛します!


 その後色々あって旅を続けているうちに、巨大な狼ヴァナルカンドから僕はアレクがなぜ別人格として現れたかを知ることとなり、僕のお父さんが実は国王陛下(ガルシア様)と親友だった事を知りました。


 そして何故かお父さんと入れ替わることができるようになったり、国王陛下とお父さんが魔法対決をしたり、僕が何故かシリウスさんに嫌われたりしているうちに爵位をいただいたり。


 そして僕がすっかりバルカ城と国王陛下と打ち解けてまったりしていたところに、レクター王子からの手紙が届き、前述した僕のために泣いてくれた女性。ヴァレリアさんがピンチだと聞き、今は一人で王子とヴァレリアさんのいる場所へ向かっているところです。終わり。


「急がなきゃと思ってヴァナルカンドを連れて来ちゃったけどよかったのかな? ヴァナルカンドは馬より速いから」


 ヴァナルカンドとは、長い間双子の悪魔に封印されていた白銀の毛に青い目が特徴的な巨大な狼で、僕のお父さんと因縁のある(いにしえ)の悪魔から、僕をずっと守ってくれていた存在だ。飼い主はなんと国王陛下。足がものすごく早く、小さな街一つくらいなら片足で跳んでいける。


 最近は歳のせいか、日中はほぼ寝ている。


『ヴァレリアの危機なんだろう? なら尚更俺を頼ってくれてよかったよ。しっかり掴まってくれよ。もうすぐ着くぞ』


「あっ、あれは王子の別荘?」


 僕たちは街の外れにひっそりと佇む王子の別荘(豪邸ともいう)を訪れていた。


「わぁ〜、セクメトさんの時以来ぶりだ。以前見た時よりも若干要塞感が増しているような?」


 どうやら王子はオシリスさんたちの兄弟セクメトさんにヴァレリアさんが襲われた時から、ところどころ改築しているようだ。


 ※セクメトさんのやらかしについては第三章 セト達の秘密「不遇のセクメト」をお読みいただければ、セクメトが如何(いか)に馬鹿かわかります。


 チリリーン♪


 玄関の鈴の音に応えたのは、なんと小さな少女だった。重い扉をグググと体全体で支えていた。


 僕は見た事がない少女に若干たじろいだ。


「あ、えと‥‥‥。こんにちは。僕はユーリです。こっちの大きな狼はヴァナルカンドで。貴女は?」


 少女は答える代わりに、僕と目が合ったまま重い扉に耐えきれず無情にもバタンと扉は閉まってしまった。


 参ったなぁ‥‥‥


 僕は肩を落とした。


「すまんすまん! まさかこんなに早く到着するとは思わなかった。ヴァナルカンドに乗って来たのか。納得だ」


「レクター王子!」


 王子が慌てた様子で出て来た。


「あの、今の少女は?」


「ああ、ユーリは知らないのか。ユーリが城にいる間に知り合ってな。ニル‥‥‥。ニーズヘッグの友達のサラスィアだ。訳あって少女の姿をしているが、俺たちよりずっと長生きしている」


 僕は暖かい部屋に通されて、お茶を出された。


「王子! そんなのは僕がやりますよ! 僕が国王陛下に怒られてしまう」


「ああ、そういうのはいいのいいの。俺が好きでやってることだから。てか親父マジで国王に返り咲いたんだな。はははっ! 気まぐれな国王に振り回されて国民は大変だな。大丈夫大丈夫、親父はそんな事気にしないから。それに親父はユーリに甘いからきっと怒らないよ」


 と王子は色々ツッコミどころ満載の言葉を僕に投げかける。まぁ、スルーでいいか。元々僕はツッコミが得意じゃないから。


「それで、あの。ヴァレリアさんは?」


『まだ気がついていないのじゃ』


 銀の皿に山盛りのお菓子を持って、サラスィアがやって来た。


「そうですか‥‥‥」


「ユーリ、端的に説明しよう」


『ぬぁぁぁーーーーッ!!』


 王子が今まで何があったかをユーリに説明しようとした時、突然サラスィアが大声を出した!


『あるかな〜と思ってポッケの中をゴソゴソしていたら青い薔薇が若干残っておった! しかもエリーが煎じてくれたやつ! 急いでヴァレリアに飲ませてくる!』


 そう言ってサラスィアはヴァレリアの寝室に急いだ。



久しぶりのユーリ回。書いてて楽しかったです〜!

シリウスの事は忘れていませんよ?


ここまでお読みくださってありがとうございました!

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