番外編・バルカ学園 TS物語〜俺がアイツでアイツが俺で〜
この話は読み飛ばして構いません。
※若干メタ発言あります。
俺はレクター。
クラスでも一番のイケメンだ。
今朝も優雅なモーニングルーティンをしようと思って、洗面所に向かったのだが。
「なっ! ヴァレリア!」
俺はヴァレリアと体が入れ替わっていた。声だけは俺のままだが。
その後何故かヴァレリアの制服もあったので俺はいい気分で登校した。
え? エロ同人みたいな事はしないのかって?
ははは! そんな事するわけがなかろう! 我、レクターぞ? まだ純粋乙女であるヴァレリアの体であれやこれやなど、紳士たる俺はしないのだ!
あ、でも胸は揉んだ。
ヴァレリアと入れ替わっているという事は、今頃ヴァレリアは俺の体になっているのか。この作者本当に入れ替わりもの好きだな‥‥‥
「おはよう」
教室内を見渡すと、それぞれが入れ替わっているわけではないようだ。えっ、てことは入れ替わってるのは俺とヴァレリアだけ?
「おはようヴァレリア。今日は早いんだな。いつもは遅刻ギリギリなのに」
シリウスが話しかけて来た。どうやら俺がヴァレリアと入れ替わった事には気づいていないようだ。俺が何と説明しようか考えていると‥‥‥
バァン!! 教室のドアがぶっ壊れるんじゃないかというほどの音を立てて開いた! いや実際ぶっ壊れた!!
「ねぇみんな聞いて!! 信じられないかもしれないけど、朝起きたら私レクター君になっちゃっていたの! レクター君視界が高くて背も高いから何度も頭ぶつけちゃった!!」
噂をすれば俺‥‥‥。になったヴァレリアがそこに立っていた。
「おお、我ながら麗しいな」
「あっ! レクター君! ちょうどいいところに! レクター君からも説明してよ!」
声だけは入れ替わっていない。でかい俺がヴァレリアの声で話すからスッゲー変な感じ。
今の俺はヴァレリアなので俺が俺を見上げる形になるのも何かムカつくな? いや、でもヴァレリアが他の男と入れ替わるのはそれはそれで嫌だ。
「聞いてる? レクター君?」
俺が俺の顔を覗き込んで聞いてくる。おお〜、我ながら完璧にイケメンだ。この麗しい顔を前に一度もドキドキしないなんてヴァレリアおかしいぞ。
「ははは。説明しないでも今のでわかったよ。それに声はそのままだったしな。この番外編はどこを目指してるんだろうな?」
ハンニバルがそう言って笑う。確かにそうだ。一体どこを目指してるんだ? この話は。
「まぁ入れ替わったものは仕方ない。しばらくしたら元に戻るだろうし、今日一日様子を見よう。なぁヴァレリア」
「だったら話が早いわ! レクター君! 聞きたい事があるの! ちょっと来て!」
グイッ!
そう言ってヴァレリアは俺の腕を掴んで走った。俺が俺に腕を引かれている。なんか変な感覚だな?
俺になったヴァレリアは焦った様子で人の来ない階段の踊り場に俺を引っ張って来た。おお? 何だなんだ告白か? それは俺が俺に戻った時に俺からしたい!
ヴァレリアは人が来ていないかどうか念入りに確認していた。
「人は来ていないわね。ねぇレクター君! あなた病気かもしれないわ! 今から私の言う事を覚悟して聞いてね!」
「?病気?」
これを見て! とヴァレリアが言い、おもむろに俺のズボンのチャックに手をかけた! 俺は焦った!
「ヴァレリア何をする気だ! 逆セクハラか? いやこの場合どっちだ??」
「何を意味わからない事言ってんのよ! これを見て! さぁ!」
ボロンッ♪
俺は思わず頭を抱えた。俺が俺の俺を《中身はヴァレリア》恥ずかしげもなく取り出している。ていうか効果音! なんだよボロンッ♪て!
「何考えてんだ! 今の絵面事情を知らない人から見られたら完全に逆セクハラだろこれ! いやセクハラか? とにかくしまえ!」
「違うのよ! 私にはないのよこんなもの! だからレクター君何かの病気かもしれないわ! 生き物みたいに動くし。何かに寄生されてるのかも!」
「はぁぁぁぁ?」
自分には無いだと?? 当たり前じゃないかそんな事。そんな事も知らないでよく今まで生きてこれたな? どうやって過ごして来たんだよ!? もうヤダこのお嬢様!
「とにかくしまえって。病気じゃないから。男には生まれつきあるものなんだよ」
「なんだぁ〜! 病気じゃないのね? よかったぁ」
とか言いながら俺《の姿をした》ヴァレリアは照れながらそれを収めた。
‥‥‥。なんだこの状況。ヴァレリアのやつ平然と俺の俺を出して収めて。俺はそれを見つめて。ハタから見たらめっちゃ変態じゃないか? ああもうツッコミ出したらキリがない。
「ハァ‥‥‥」
俺は一応紳士キャラで通っているつもりだぞ。出だしからこんな調子なら次は何を言い出すか分からん!
「ヴァレリア、俺の体で他に気になるところはないか?」
「他? うーん、私より皮膚が硬い事以外は特に。あとはレクター君背が高いから高いところにある物取りやすいし、力も強いから壊したい物は本気出せば壊せるし。例えば瓦とか。瓦割り一度やってみたかったんだよね!」
そう言ってヴァレリアは俺の腕を曲げて筋肉を見せびらかした。
俺は再び頭を抱えた。何だこいつ〜! ヴァレリアの姿で言ってたら可愛いが、俺の姿が言うのは死ぬほど腹立つな! いや俺は俺な事に変わりはないんだけど。なんだこの違いは! てか何だ「壊したい物は壊せる」って! もうヤダこのお嬢様!
「もうヤダこのお嬢様!」
思わず口をついて出た俺の叫びは虚しく階段の踊り場に吸い込まれていった‥‥‥
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