私の愛、命。
いつもお読みいただきありがとうございます!
今回は少しだけラブラブコメコメなシーンあり!
「ヴァーリャ!!」
「レ、レクター‥‥‥。なぜ」
なぜ来たの? なぜニルを一人で行かせてしまったの? なぜ、私のところなんかに‥‥‥
ヴァレリアの言いたいことは声には出なかった。吐血しすぎたせいで声を上げる体力が奪われていたのだ。
だけど
これだけは、言わなきゃ‥‥‥
「レクター、今の悪魔の言葉を聞いたでしょ? 私はあいつのせいで病気に冒されてしまった。アナスタシアの体だった時の感覚でわかるわ。でも今は、その時より酷いと思う、ゲホ」
「ヴァーリャ、無理して話さなくて良いから」
「レクター聞いて‥‥‥。私にもしもの事があったら、多分私はアナスタシアに戻って、お城にいるアナスタシア様は、ヴァレリアに戻る。でもそのヴァレリアは私じゃないの」
だってアナスタシアに戻るってことは、私は死んでいるんだもの。
ああ、レクター‥‥‥。私、もっと、あなたと一緒に、ニルと一緒に、いたかったわ。でも‥‥‥
ヴァレリアは少し紫の色が薄くなった瞳に涙をいっぱい溜めて話し出した。
「さ、最初から‥‥‥私がいけなかったの。健康な体なんか望んだから。冒険がしたいなんて思ったから。私がな、何も望まなかったら‥‥‥。誰も傷つかなかった」
ヴァレリアはそこで苦しそうに息を吐き、意を決したように口を開いた。
「レクター、私にもしもの事があったら。私以外のお嬢様と婚約し直して、幸せになってね」
あ‥‥‥。やっと言えた。
ふふ、レクターの顔‥‥‥。
「何ていう顔をしてますの? レクター」
私は元の貧弱な、アナスタシアに戻るだけのことなのに。思えば私はわがまますぎましたわ。でももう充分、楽しめました‥‥‥
それに何よりレクター、あなたに会えた。最初は何この自己中王子と思った事もあったけど。婚約もしたし、色々な事を知れて楽しかった。世間知らずな私にいろんな事を教えてくれた。
あなたに会えた事で、私は愛を知った‥‥‥
充分すぎるよ。充分過ぎるほど、私の人生は幸せだった。ちょっと短かったけど。
「はぁ、ヴァーリャ。言いたい事はそれで終わりか?」
「??」
「俺はレクターだ。しかも魔剣レーヴァテインをこの身に宿し、おまけに神ロキに変身できる。その俺に不可能な事はない。お前の病気ごとき、俺のこの力で治してやる」
レクターの手が、ヴァレリアの頬をさする。
あ、レクターの手。あったかいな。でもレクター、何言ってるかわからないよ。すごく寒くて、、眠い‥‥‥
「私は元に戻るだけですわ。ただの貧弱な体のアナスタシアに。誰も悪くないの」
【あるべきところに、戻るだけなのだから】
「そんなのは戯言に過ぎん!!」
「‥‥‥」
ヴァレリアはレクターの頬に手を伸ばす。冷たい白い手が、レクターの頬に触れる。
レクターの瞳、金と、ほんのり青色が混ざって綺麗‥‥‥私の大好きな瞳。本当は、レクターが追いかけてきてくれて嬉しかったんだよ。だけどこんな時まで素直になれない私。
ひと言言えたらいいのに。
ありがとうと愛の言葉を‥‥‥
レクター、私の愛。命。
「ごめん、なさい‥‥‥」
さようなら。
パタリと、ヴァレリアの青白い手が沈む。レクターの背中に冷たいものが走る。
待て待て待て待て!!
「そんなことは許さんぞヴァーリャ!」
レクターの体中から再びオーラが湧き上がる。たとえ神が、悪魔が許しても! 俺の許可なく死ぬことは許さない。
幸いにもヴァレリアはまだヴァレリアの姿を保ったままだ。
「ヴァーリャ、少し辛抱してくれよ!」
レクターがそう言うと、一瞬にしてガロ侯爵の領地に戻り、自分の別荘に移動した。
ごめんなさい長くなってしまったので分けました。
ここまでお読みくださってありがとうございました!
ヴァレリアとレクター王子が好きな方!よかったら★★★★★で応援よろしくお願いします。ちなみにレクター王子は程よく逞しい筋肉の持ち主!(何のアピール?)




