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鉄火の魔女王  作者: 8D
アルカ国革命編
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八話 魔女王達の再会

 クローフとの会話の後、カオルコはエルネストへ会いに向かった。

 エルネストは、魔女の巣中央にある一際大きな小屋にいた。


「カオルコさん!」


 小屋の一室へカオルコが踏み入れると、中にいたエルネストが気付いて声を上げた。


 机に着いていた彼女は、立ち上がってカオルコに近寄る。


「久し振りだな。エルネスト」

「はい……はい! お久し振りです。心配していたんですよ。長く目が覚めないって聞いて」


 エルネストは感激した様子で、カオルコの手を両手で握った。

 その目には、じわりと涙が滲んでいる。

 それほどに再会が嬉しかったのだろう。


「心配させたみたいだな」

「本当ですよ」


 二人は再会を喜び合った。


「それで、早速なんだが……」

「はい」

「ドクターから話は聞いているか?」

「……一応は。お金と銃、ですね」

「今の所は、な」



 室内のソファーへ案内され、カオルコはそこへ座った。

 エルネストも先ほどまで座っていた席に戻り、再び座る。


「当座の資金は、銃を売って得る事になるだろうな」


 何か栽培できるものがあればいい、とクローフは言っていた。

 その何かのめどがついても、栽培の成功までには時間がかかるだろう。

 なら、当座の資金調達は銃を売る以外にない。


「仕方ない事とはいえ、私としては銃器を売る事に少し抵抗がある」

「そうなんですか?」

「いくら余っているといっても、いずれなくなる。新しく手に入れる手段のない今、戦う手段を手放す事は不安だろう?」

「なら、カオルコさんとしては銃器の製作に力をいれたいという事ですか?」

「そうなるな。増やせるのなら、不安はなくなる」


 カオルコは溜息を吐いた。


「だが、今の魔女の巣では難しい事だ。

 魔女達はみんな、村や町で育った一般人。

 それも大半が女だ。

 物作りの知識を持った人間なんていないだろう。

 開発までには時間がかかるし、作れるようになっても量産のための人手も確保しなくちゃならない。

 人不足のうちじゃあ、それは難しいからなぁ。

 とはいえ、どうにかできないと勝つ事はできない……」

「そうですねぇ……」


 答え、エルネストは小さく俯いた。


 何か決心した様子で、顔を上げる。


「カオルコさん。実は一人、物作りの技術に秀でた人間に心当たりがあります」

「そうなのか?」


 カオルコはエルネストを見る。

 提案したわりに、その表情は曇っていた。

 あまり薦めたくない人物なのかもしれない。


「誰なんだ?」


 問われて、エルネストは立ち上がった。


「ついてきてください」


 言って、エルネストは部屋を出る。

 カオルコはそれに追従した。


 エルネストは部屋を出ると、そのまま小屋の外へ出た。

 そうして別の小屋へ向かう。


 そこは、他とは雰囲気の違う部屋だった。

 人が住むにしては小さく、窓もなく、入り口には施錠が施されている。


 倉庫?

 いや、営倉か?


 カオルコはその小屋にそんな感想を懐いた。


「心当たりは、ここにいます」


 エルネストは言って、小屋の鍵を開けた。

 扉が開く。


 カオルコは中へ足を踏み入れた。

 窓の無いこの小屋の中は、薄暗かった。


「ここは、独房か?」


 カオルコは訊ねた。


 小屋の中には、木で作られた格子があった。


「はい。ここには、一人だけ囚われている人間がいます」


 確かに、見れば人がいる。

 しかし、薄暗くてそれがどんな人間なのか良く見えなかった。


 エルネストが小屋へ入り、扉を閉めた。

 室内の闇が濃くなる。


 が、すぐにエルネストは魔法で手の平に火を灯した。

 その炎を備え付けられた蝋燭へ灯す。


 すると、明るくなった室内の中、独房に捕らえられた人物の姿が見えた。


 その人物は、少女だった。


 部屋の隅にもたれ掛かる少女。

 その右足には、指がなかった。

 左足には指が残っているが、それでも二本欠けている。


「なんだい? またお仕置きの時間かい?」


 そう言って顔を上げた彼女の口元からは、血の筋が流れていた。

 まるで、殴られて間がないような様子である。


 そして、その右目にはぽっかりと空いた眼窩が見えた。


 明らかに、拷問を受けている。

 それも、定期的に……。

 そんな様子の少女だ。


 しかし、少女の様子からは怯えを感じられなかった。


 その表情には、笑みすら浮かんでいた。


「彼女の名は、フォリオ・ペギーニ。神学者です。魔女の地獄、それを作り出した張本人です。彼女なら、きっと銃を作る事もできるでしょう」


 エルネストは固い声で彼女を紹介した。


「あは」


 対して、フォリオは小さく笑った。

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