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発見
初世暦3474年3月3日 記録:イリヤ・ヴァシリフ
カラン……
冷えた洞窟内に、カラビナの触れ合う音が響く。
「有毒ガスは無さそう。続けて」
<了解>
ロープと共に、井戸ほどの大きさしかない竪穴を降りていく。
深さは数十メートル。
「底についた。明らかに人工の部屋だね」
<じっ人工!何かありますか?>
ランプを掲げ、周囲を見渡す。
元々は奥に広い空間があったようだけど、落石で殆ど埋まっているように見える。
壁際には人一人が丁度収まるほどの円柱状の装置が並んでいて、一台だけ蓋が開いている。他は全部岩の下敷きに。
そして――それを見つけた。
下敷きになっているのは装置だけではなかった。
石像。それは、もがき、這い出そうとしたような姿勢で、下半身が埋まっている。
何より奇妙なのは、数トンはある落石の重みにも関わらず、体にヒビ一つ入っていないこと。
私は、装置の傍にいる、片膝をついて頭を下げた姿勢の石像に目を止める。
「おい、不思議なものを見つけた。先にそれを引き上げて」
<了解、ロープに括り付けたら引っ張って知らせてください>
やっぱり、普通の石像ではなさそう。両手で押せば簡単に動かせる。
まるでそれが人であるかのように、丁寧にロープに縛り付けた。




