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断罪

  陛下にすぐに謁見をさせられた。高官30人程が回りにいる比較的小さな体育館程度の部屋だった。

セイントカルテットの結成を報告し、フィリアを美しい鳥だと褒められただけで終わった。

父上もいたが会釈をしただけで特に話すようなことはなかった。

 

 国内討伐行脚が始まった、それはそれは強行軍だった。国外から聖女来訪の依頼がかなり来ているそうで、早く国内の分は終わらせろということらしい。

殿下は半分ぐらいしか一緒にいなくて、あとルドもな、俺はオクタヴィアンとともにいることが多い。

あいつも普段は毒舌ではあるが良い奴なんだ、でも実際にやられている悪巧みと悪巧みをしそうな顔が俺を安心させない。

 あと3キロ四方が浄化魔法の範囲となった、すげーな、不死鳥(いや俺が思っているだけで何鳥かはいまだわからない)おかげで国内の分はさくっと終わった。


 国内討伐をしている間に殿下と上の方たちは準備を終わらせたらしい。

殿下も合流して、王都の東門から王宮まで大通りをパレードだ。聞いてないぞ、そんなこと。

殿下は白地に金の刺繍、俺は金と銀の刺繍、ルドとオクタヴィアンは銀の刺繍のローブをはおり、王族の結婚式によく使うような馬車に乗る、にこやかに手を振る俺の肩には例の赤い鳥が乗っている。マッキーの頭にでも乗っていろといったのだが言うことを聞きやしない。おかげで俺は目立つこと、目立つこと注目の的だ。「ぼたんの君!」とか本当に叫ぶ女性たちがいるんだ。俺は色々な花の名前<バラとかカラーとかダリア>を叫ぶ人が多いなと思うだけでスルーすることにした。笑顔をキープするにはスルースキルが必要だ。そして最大限譲歩して女性は許そう、男には謎の生き物だからな、でも野郎は許さん。野郎の声で叫ばれると俺は殴りたくなるぞ。ポーカーフェイスの得意な3人組の笑顔も引きつっている。

これは許容量を超えるよな、うん、うん。


 苦痛と疲労に塗れた行進が終わり、謁見の場でのお励まし、そして夜会だ。

何人かとダンスをして、飲むレモン水のおいしいこと、あとひとがんばりという時にそれは起こった。

あれです。断罪です。人がもう終わったものと安心している時に。油断禁物とは良くいったものだ。


 ヒロインちゃんが第一王子と取り巻きを連れて現れ、殿下が眉をひそめ「招待していないはずだが」といった時にいやな予感はしたのだが、そばまで来たヒロインちゃんがいきなり泣き崩れた、ヨヨと。


「フェルディナンド様、わたくしの鳥を返してくださいませ。

 強力な浄化をなさりたいお気持ちはわかりますが、どうかそのような無体な真似はお止めください。」


 頭が真っ白になるとはこういうことを言うのだろう。女性は謎だといったが謎すぎる。何を言っているのかわからない。フィリアは勝手に突っ込んできて強引に契約させられた鳥だ。俺は無実だ、何もしていない。


「随分と横紙破りなことをされる。彼がけい 」と殿下が言いかけると。


「だまれ、ジルベスター、私は彼女からすべてを聞いている。

 か弱い女性にこのようなことをして許されると思っているのか。」と第一王子。


「兄上は昔から傲慢で人の心がわからない方でした。

 でも、これ程の大罪を犯されるとは、呆れました。」と弟、1年前まで会ったことなかったよね。


「学園でもきつい言葉で彼女を責めたり、教科書を水浸しにしたり、破ったりと乱暴なまねをなさって いたとか。女性を虐げるとは紳士とも思えない所業ですね。」と伯爵子息。


 俺は昨年から殆ど学園にいっていない、そして正気か、ここは乙女ゲームの世界でも現実だぞ。


「彼女は階段で突き飛ばされたそうです。その時にそばに落ちていたのがこのボタンです。ゴルドシュタイン家の家紋がついています。犯人は貴方ですね。」と男爵子息。


 ゴルドシュタイン家はあの男爵家が経営しているドレス工房と取引がなかったか。

 

 テンプレだ、シナリオどうりに話している。開いた口が塞がらない。殿下、口をパカっと開けているとお間抜けにみえますよ。他の2人も呆然としている。そして笑い出す殿下。殿下笑い上戸でしたか。俺も笑っていた。

 4人で笑っていると陛下が近づいてきて俺たちは近くの小部屋に連れていかれた。


「オルリアン、ジルベスターこれはどういうことだ」陛下はお怒りだ。


「言いがかりを付けられました。」素早く答える殿下。早いもの勝ちだよね。


「な、何を言っている。こいつがヒロインの(もう名前は付けないことにしました、誰でも知ってるアイドルだものね)鳥を奪ったのです、浄化魔法を強化して自分の名を挙げるために。」


「ヒロインを苛め抜き、階段から突き落としました、処罰をお与えください。」


「我が兄ながら恐ろしい所業の数々、情けなく思います。」


「黙れ、そなた達に話す許可は与えていない。

 ジルベスター笑うな。」


 殿下はまだ笑っていたんだ、お怒りモードの陛下の前で良い度胸だ。


「ジルベスターだけ話せ、他のものは口を閉じろ。」


 そこへ突っ込むヒロインちゃん。


「でもわたくしの鳥を返していただきとうございます。

 わたくしをいじめたことは嫉妬からでしょうから、フェルディナンド様が謝ってくださればわたくは 許しますわ。」 


 殿下爆笑、殿下、殿下、宰相も大臣方も渋い顔をされていますよ。陛下は額に青筋が立っています。

 怖いから止めてください。


 殿下は涙を拭きながら(笑いすぎだ)かくかくしかじかと反論込みで話し始めた。

 時々邪魔が入ったが概ね話し終えた、鳥との契約の件は事前報告してある。


 王宮の部屋で全員軟禁。大人たちでお話するそうだ。

 まだ笑いが止まらない殿下を引きずって彼の部屋に行く。


「悪い、悪い、だって乙女ゲームの台詞をすべて押さえているんだ、笑うだろう。

 最後のは特に決め台詞だ、目の前でやりきってくれた彼らには賞賛の気持ちが湧くね。」


  そして話される舞台裏。この大陸には4つの大国と7つの中規模の国、20ばかりの小国がある。

第一王子の母はイリガルの元王女だ。ここから国を2つ挟んだ中規模の国の一つイリガルは山の多い国で絹織物の産地として有名だが、わが国への影響力は大してなく、距離も遠い。

対して殿下の母はここロンデルシアの元公爵令嬢だ。公爵家は軍の元帥を勤めており影響力大。


 王女様だった第一妃はプライドが高く長男であり、第一妃の子供でもあるオルリアンが当然跡を継ぐと思っていた。だがしかしロンデルシアの法は違う。平等に権利があり王の指名で決まる、ただし3/4の大臣の反対があれば権利を失う。

聖カルテットの活躍でジルベスターに人気を奪われたオルリアンが焦り勝負をかけてきた。大陸での浄化と討伐を終えたら殿下の立場は鉄板で覆しようがないからな。

そうだったのか水面下では色々ありそうだが、それにしても無茶振りが過ぎないか。


 大事な夜会を騒がせた者たちへの決定はシビアだった。貴族の子息たちは名を取り上げ平民落ち、第一王子は謹慎だ。ヒロインは修道院へ。各家にもペナルティーがあった。俺のところだけは功罪合間して何も無しな。

 殿下曰く、鳥つまり魔鳥だな、の契約は一度結んだら破棄できない、契約者を殺しても魔鳥が何処かに行ってしまうだけで意味がない。その段階で俺たちの勝利は決まっていたらしい。俺のやっていたいじめが本当でも関係ないそうだ。赤と金色の鳥に愛された魔術師と仲間たち、白い花に例えられる美貌の男たち(ここはスルーしよう)大規模浄化を行う大陸の希望の星。一子爵令嬢とは比べるべくもない。

後の禍根となりそうな子息たちは貴族社会から追放つまり平民にする、ヒロインは修道院に閉じ込める。第一王子はイリガルを慮って謹慎で済ませた。大人って汚い。



 


  

 



  

 



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