2[琴葉ちゃんだゼ!]
目が覚めると黒板はびっしりと文字で埋まってた。そして時計は授業の終わり5分前、9時45分を指している。
「書き終わるかな?」
一抹の不安が脳裏をよぎる。
でもまぁ、書き始めないことには意味が無い。てことで書く。
刻々と時間が経過する。
そして、
『キーンコーンカーンコーン』
「それではここまでにします。起立、礼。」
担当の先生の号令で授業が終わる。今日の日直が黒板に書かれた文字を跡形もなく消してゆく。
「あー、めんどくさっ……。」
小さく唸るも、消えた文字はもう出てこない。
つまるところ、宗二郎は書き終えられなかった。
(さぁーって、誰に見せてもらおうかな?)
近くに友達は居る。だが、頼りたくない奴なんだよなぁ、イイヤツではあるんだけどね。
「で、その頼りたくないやつ以外に貸してもらえる心当たりは居るのかにゃ?宗君??」
「うわぁ、面倒なのが出てきましたよ……はぁ……」
「開幕早々酷いな、宗君。せっかく見せたげようと思ったのにね。この優しい優しい琴葉ちゃんが」
「……どうせ裏があるんだろ」
「もっちろん!」
満面の笑顔で言うなよ、眩しすぎてこっちが陰るだろ。
さて、この馬鹿こと水那月琴葉をどうにかしないと。助けを呼ぶにも、ゾンビ取りがゾンビになるような友達しかいないんだよな、悲しいことに。
「よっ、宗次郎。次移動教室だよな。一緒に行くか?」
そこにはガタイのいい男が立っていた。顔つきも整っており、典型的なイケメンがそこには居た……
「ゾンビが増える……」
としか言いようの無い友達だ。解放してくれよな、早く。
「昴、今立て込んでるからまた後にしてくれない?」
「何も立て込んでないだろ!てか、琴葉も移動だよな、早く行かなきゃね」
席を立ち、逃げる手立てを考える。
「宗君、それは一緒に行こって誘いかな?」
ニコっと笑い語りかけてくる。怖いよ、ほんとに。
どーする俺。
(まぁ、決まってるけどね)
右手を琴葉に差し出す。
「わーったよ、んじゃノート貸してくれ」
ゾンビ増やされるよりも、琴葉に貸しを作った方がまだマシだよ、ほんとに。
ノートを借りると、近くに集まってきた琴葉と昴と一緒に、教室の鍵を閉め、移動する。
と同時に、最後尾に座っている女子も移動を開始した。
(……まだ諦めてないのかよ……)




