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第五十八話 闘魂再起


戦いを終えた一行は街への帰路についていた。


みんな口数は少なく足取りは重い。



アザミはケガが完治したにも関わらず体を動かせないらしくレムルスに背負われている。

いつもの調子なら照れたり嬉しそうにするようにも思えるが、かなりきついのか顔を歪ませ苦しそうだ。

額には汗が浮かび息も荒い……フローラがアザミの額に出る汗を拭ってあげている。


私はそんなレムルス達から視線を逸らし地面に目を落とした。



(私の実力じゃ全然……)


先程の戦いを思い出していた。


神速により速度はなんとか上回ることが出来た。

しかし尋常じゃないその硬さ。


あれは竜人としてのものなのだろうか?

それともリンドウだけがああなのか……。


そしてリンドウが言っていた『この剣の力』。


父ハーデンはデュランダルについて特に何かを語ってはいなかったと思う。

それとも私が忘れているだけだろうか?


私は……。


考えれば考えるほど泥沼に嵌る気分だ……延々と思考がループする。




ドンッ!!



「わわっ!」

いきなり後ろから抱き着かれた!!


この小ささは……。

足を止めて、抱き着いて来た方を見るとカンナが私の腰に抱き着き顔をうずめている。



そして顔を上げて私を見ると、

「ライラ凄かった!!」

明るい表情……笑顔で言葉を掛けてくれる。


そして続けて、

「リンドウさんも強かったけど、ライラの動き凄かったし、全然負けてなかったよ!」


「で、ですが……」

言い淀んだ私に、


「次は勝とうね!!」

私に力強く告げると、再びギュっと抱きしめてくれた。




(そうだ……私は……)


負けたことばかり考えて何もかも折られていた気になっていた。


『次は勝とうね』……カンナの言葉が心に響く。


私には……まだ次がある!


目が覚めた思いだった……私はカンナを見る。



私に顔をうずめてぐりぐりしている。



カンナの頭にそっと手を置き、

「ありがとうカンナ。 そうですよね。 次はきっと勝ちますから」


私の言葉に顔を上げて……嬉しそうに笑顔を見せると、

「うん!」

大きく頷いてくれた。





(うぅ……情けない! 私より小さいカンナに気を遣わせるなんて)


パシィ!!


思いっきり両頬を平手で叩いた!!


「いったぁ~!!」


ジーンとしみる様に痛い!

だけど気合は入った!!



「ら、ライラ姉。どうしたの? 遂に気が触れた?」

私の奇行にマリーが唖然となって尋ねる。


「ううん! カンナの言う事で目が覚めた! 次こそは絶対勝つ!!」

私はぐっと拳を握りしめる。


「……ふふ」

不意にリアから笑いが漏れた、そして、


「やっといつものアホ面に戻りましたわね」


あ、アホ面って……。


「あ、あのねぇ? アホ面って酷すぎじゃない? 私も女の子なんだけど?」


「うるさいですわ。 勝手に諦めて死のうとしたライラ姉様にはアホ面で十分ですわ」


「う……」

さ、さすがにそれを言われると弱い。



リンドウが居なくなった直後、私はリアに『バカ』と何回も言われていた。


『バカなんですの? すぐに諦めるとか……バカなりに最後まであがきなさいな。 これだからバカは……大体ライラ姉様はただでさえ筋肉バカなのに、勝手に負けて死ぬとかバカしか残りませんわ』


みたいな感じ……で十分ぐらい……延々と。


うぅ、助けてくれたのは感謝だけど、そんなバカバカ言わなくても~。





「まぁ良いですわ。 それより気になるのは……」

リアが向けた視線の先は、レムルスに背負われているアザミの姿。


「マリー……さっきのあの鎖の魔法って知っております?」

リアの質問にマリーは少し考えていたが、


「直接見たのは初めてだけど……多分、『呪縛鎖カーズ』の魔法だと思う」



私達の会話を聞いていたのかレムルスが、

「『呪縛鎖カーズ』ってことは呪いなのか?」


マリーはレムルスに頷くと、

「そう……詳細は分からないけど……恐らく」


マリーは自身の髪の毛をグルグル指に巻きつけながら説明する。

「呪いの種類は見た目じゃ分からないから……解呪するには呪いの種類にあった『魔法除去ディスペル』が必要」


「さすがマリー、魔法に詳しいのね」

私が褒めると、ふふんっとドヤ顔を見せる。

こういう所は素直で可愛いと思う。



そうして暫く無言が続く……みんな色々考えているのかもしれない。



遠くにユーフォルビアの街が見えてきた頃。


アザミを背負ったレムルスが私達の方を向いて、


「僕達は冒険者ギルドに戻って対策を考えようと思う。 呪いに詳しい人を探して『魔法除去ディスペル』を使える人を探す予定だ」


そうして私達を気遣う様に、

「ライラ達は戻ったら休むといい」


そう告げた後……少し戸惑いながら恐る恐る尋ねて来た。

「アザミの件は……なるべく僕達だけで何とかするつもりだけど、もしかしたら手伝いを頼むかもしれない。 良いかな?」



私達は冒険者ではない。

だから『頼む』のに抵抗があるのだろう。



「勿論いいよ~」

だけど我がパーティの主人カンナは困っている人を見捨てておけない人だった。


まぁその優しい所もカンナの魅力的な所なんだけどね!!



「ありがとう! 助かるよ」

レムルスはカンナにお辞儀をすると、私に真剣な顔を向ける。


「ライラ」


「何?」


「君のあの剣……デュランダルと言ったか? 実は少し聞き覚えがある」


「え!」

予想していなかった言葉が告げられる。


(レムルスが……私の剣について聞き覚えがある?)


私が面食らっていると、


「と言ってもあの竜人が言っていたように力がどうとかではなくてね。 どこかの本で見た気がするという事だ」


「本?」


「ああ……もしかしたら魔法が掛かった剣だったりするかもしれない。 だとすれば……」

レムルスは目を遠くに向ける。


そちらの方に何かあるのだろうか?

私もそちらを向いた……ユーフォルビアの街が見える。


だがレムルスの視線はもっと遠くを見ている様に思えた。




レムルスが私の方に視線を戻して話を続ける。


「スノーランドにある国立図書館。 スノーフレークは魔法の国だけあって、首都の図書館には魔法に関する書物が沢山あると聞く。 もしかしたらそこにデュランダルに関する本もあるかもしれない」


「図書館……」


ストケシアの王城にもちょっとした図書館はあったが、私はそこまで本を読む方ではなかったのであまり行かなかった。

国立の図書館と言われてもあまり想像できなかったが、デュランダルの情報があるかもしれないのであれば行ってみる価値はありそうだ。


それに……。

私にはもう一つ知りたいことがあった。


それは竜人に関する情報。


リンドウと戦う事ばかりを考え、私は竜人についての情報を何も持っていなかった。


(戦うにあたって相手を知るのは大事な事……)

相手の情報が掴めるのであれば掴んでから戦うべきだったかもしれない。


勿論今となっては悔やまれる事だ。


だが、カンナに言われた一言。


『次は勝とうね』


そう、……次勝つためにも竜人の情報を知りたかった。



色々な想いや考えを持ちながら、一行はユーフォルビアの街に到着したのだった。


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