王国妃と和平条約 1
第一正妃オルフェアがこの国に嫁いできたのは13歳の時だった。
大国の第一皇女として何不自由なく育てられた。
それが属国に近い国と条約を締結させるための婚姻だった。
父王と同じぐらいの年齢の男に嫁ぐのだ。
思い通りにならないものがなかったオルフェアには、信じられない状況だった。
涙ながらに訴えても、思いつく限りの条件をわがままを言っても覆らなかった。
思いつく限り言ったわがままを父王は相手に飲ませた。だから、嫁がざるおえなかった。
夫となったこの国の王は、唯一の自分の愛娘として扱った。わがままを聞いてくれた。とてもいい人だった。
和平の象徴である王妃を大切に扱った。唯一の正妃として敬われるよう手配した。
成人するまで、白い結婚とした。
約一年後、王は突然亡くなった。結婚生活は短かった。
一年間、夫の喪に服した。よくわからないけど、悲しいことには変わりなかった。
大国から付き従ってきた者達とよく話をした。父王がとても心配されていると口々に言う。
そんな中、まだまだ若く美しく尊き血筋を持つ最愛の娘。次の嫁ぎ先を見つけておいたから安心するようにと父王から手紙が届いた。
「オルフェア様、ご機嫌麗しく」
挨拶に来た皇太子ルーベンスが、1年ぶりに挨拶に来た。金髪碧眼の白磁の美青年がいた。
線の細い神経質そうな顔立ち。無表情だった。
「貴方の父からの提案です。国を守るために、我が妃になっていただく。」
それだけ伝えると、彼は出て行った。
1ヶ月後、ルーベンス王の即位式と新しい正妃との結婚式が執り行われた。
20代半ばの新王の正妃になった。
ルーベンスには皇太子時代から正妃がいた。国内の地位を確立させるためには、公爵家の後ろ盾が必要だった。
今回、元王妃は大国の愛娘を第一正妃とし、外交上の配慮を示し、第二王妃を立てて国内の権力を集めるようにした。
大国の王は、悪いようにはしないと約束してくれた。大国の愛娘を手に入れたのだ。和平条約は継続された。
しかし、国内の権力が薄い。
王より公爵家の意見が通りやすい。
父の死後、自分を後継として王に祭り上げた後、三大公爵家は節度を保って粛々と対応していた。
自分に擦り寄ってきたのはチャンスを待っていた野心的な中級貴族たちだ。
自分に未だ有力な男児はおらず、弟達が王位継承権を保っている。
隣国サフェルト王国とは、父王が暗殺されたけんで、ふたたび小競り合いが起こっている。
その対応にも、動かなければならない。
このような状況になっても、父がいなくなったことに対してだけは深く歓びを感じていた。
同時に、自分を支えてくれる存在がどこにもいない。ということに気づいてしまった。
今まで何も思わなかったのに、誰も信じてはいなかったのに、薄ら寒い感覚がルーベンスを支配した。




