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公爵兄妹と解毒契約 1

クロムウェスト公爵家へ帰宅したジェスタは、執事にコートを渡した。

「ジェスタお兄様、おかえりなさいませ。」

走って抱きついてきたのは、小柄な少女の方だった。ジェスタはいつものようにその黒髪を撫でた。

「ただいま、ヴィラ。夕食後にお話しを聞くから、解放してくれないかな?」

「わかりました。夕食後、お兄様の書斎に行きますわ。」

ジェスタの周りをくるっとまわってから、ヴィラは手を振って去っていった。

「いつも、仲の良い御兄妹ですね。」

「そうだな。妙に懐かれた。5人も義兄様がいるというのに」

「ジェスタ様、お手紙が届いております。夕食前にご確認ください」

執事は目の前の扉を開けた。

ジェスタはいつものように部屋に入ると、机の上にある封筒を開け、小さな小瓶を何の感慨もなく手に取り、執事へと渡す。

「ダンテ、成分と贈り主を調べろ。3日後に問題なく御本人に送り返してくれ。その色と匂いから、ブリクス系の薬だろう。前に渡した解毒剤の中に、中和成分が若干入っていたはず。死なないとは思うけど、そうだな。念のため、3日後に確認しに行こうかな」

「できれば、明日にもご機嫌伺いをされることをお勧めします。最近、贈り物が頻繁なので、うっかりお亡くなりになると、旦那様から叱られます故」

「考慮しよう。夕食を食べて来るよ。」

その後、ヴィラは約束通り兄ジェスタの元に訪問して、今日の出来事を一生懸命話した。ジェスタは明日の予定を変更して城に上がることになったことを話すると、「安眠が一番」と言って、ラベンダーのサシュを渡してくれと頼まれた。


王宮内の東の端に第4王弟アルバートの部屋がある。ここ一年は、特に病を得て臥せっている。

「アルバート様、ご機嫌いかがですか?」

「いいわけないだろ…うぅ。身体中感覚が気持ち悪い。特に、食べ物の味がしない。砂を食べているようだ。毒か否かの判別もつかない。死なないから、いいだろう的な目線はやめてくれ」

「死なないだけマシでしょう?お毒味置いても無駄って、置かないお前のせいでもある。」

豪奢なベットの上でのたうちまわる王弟殿下を前に、平然と話をしている。

「中和剤も、万能ではないんでね。もう少し気をつけるか、自分で食べ物のルートを探せ。」

「もう少し、優しい言葉で言ってくれない?今は自分で動くのも辛い」

から元気だったようだ。

「ちょっとだけ甘えさせてあげよう。我が妹のヴィラが、アルバート様に渡してほしいって、預かったものがある。」

ハート型のレースで覆われたサシュを枕元に置いた。さらに精油を数的垂らした。

するとラベンダーと何かが合わさり、直後脳に突き刺さるような甘い匂いに変化した。

アルバートは、あっさり眠りに落ちた。

「こんなに無防備でいいのか」

だから、毒がホイホイ送られてくるんだろうけどね。










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