どうしてそうなる
知ってました?竜社会で翼自慢は…
黒い翼だ、被膜の部分が少し陽に透けているのかキラキラとしている。
呆然と頭上を見上げていた私だったが
≪な、な、なに言いやがるっ俺は別にっ≫
≪咆哮が聞こえ、念のためにと来てみたら・・・翼自慢だなんてなんて破廉恥な≫
≪破廉恥?!てめぇ、竜聞きの悪い事いうんじゃねーよ!お、俺は別に翼自慢なんてしてねーし!≫
≪してただろう?小さそうにみえて飛んだらすごいのは・・・翼しかないじゃないか≫
≪だぁぁああ!ち、違うっ俺は俺はっ≫
ウロウロと視線を動かし
はっとした様子で
≪鱗だ!ちっこいのは背中の鱗なんてみえねーからな!俺の背中の鱗は大きくて硬い!って言おうと思ってたんだ!上から来られても一発じゃ沈まねーぜ!≫
ドヤ顔でこちらを見下ろしてくる赤竜
(なるほど、竜の翼の大きさ自慢は破廉恥な事なのか・・・いや、なんかどっちにしろなんか卑猥だ・・・)
とそこで赤竜の視線をたどり黒い竜も私に気が付いた様子で
≪・・・人か?≫
(やばっ!)視線が絡んだとき体が硬直する
と、黒い竜からかばう様にその赤い翼でゆっくり私をその視線から隠す赤竜
≪ばっか何言ってんだよ!竜だっつーの、な?≫
≪え、う、うん≫
≪こんなちっこいのに殺気向けてんじゃねーよ・・・怯えてんだろ≫
ぐっと、鋭い視線を黒い竜へと向ける赤竜
(ど、どうし)
≪む、そうか同族か、すまなかった≫
ふわりと威圧がなくなり力が抜ける
(あ、ちょっと頭良さそうに見えたのに、やっぱ話せるだけで竜って認めちゃうのね)
≪それにしても、魂源までここまで小さい同族は初めてだ、もう少し見せて
いつの間にか近くに降り立った黒竜はぐっと赤竜の翼を押しのけようとする
≪あ、なんだよお前、この小さいのは俺の番にするって決めたんだ!気軽に見ようとすんな!≫
≪番だと?お前・・・こんな小さいのを捕まえて、親にはちゃんと許可を取ったのか?それよりまさか・・・先ほどの言葉はこの小さなメスへかけようとしていたのか?!≫
≪は、お、おいだからあれは鱗のことで!≫
≪あ、ありえん!こんな幼いメスへ翼自慢だなんて!なんて短絡的で粗野な竜だ!お前などに任せてなどおけんわ!≫
と二匹の竜は何やらヒートアップしていく
(なんか・・・すごく人間くさいやり取り、そして私は物理的に小さいだけじゃなく幼いと思われてんのか・・・あと、赤いの私は番の話は断ったからね?)
≪親にはこれから探してだな!≫
≪まだ親へも挨拶してないのに番だなんて!ありえん!これだから赤い奴らは!≫
≪は?そこは本人たちの気持ちが一番だろうがよ!はー黒いのは頭が固い奴らばっかだぜ!≫
(うぅむ、ますます人間っぽいな、色で性格決まりますみたいな?)
≪なに?!格式にのっとって行うのは当たり前ではないか!そんな小さ・・・そうだ、なぜそんな幼いものがこのような場所に一人でいる、先ほどの咆哮がその小さいのからなら、親は・・・≫
そこで、黒竜の視線が脇腹へと向き
「グルゥルルル」
≪まさか・・・貴様!≫
今度は黒竜が赤竜へと威嚇をしだす
大きな翼をめいいっぱい広げ唸る
≪は?んだよ、やろうってのか≫その殺気につられ
どしんと太い後ろ脚を踏みしめる赤竜
≪こんな幼竜に傷を負わせたのか・・・≫
(あ、なんか勘違いしてる)
≪あぁ?!んな訳ねーだろ!俺は咆哮に応えて来てだな!≫
≪怪我をしているではないか!≫
≪だから、着いたら熊に襲われてて!≫
≪熊だと?≫怪訝そうにこっちをみた黒竜は
≪いくらなんでも竜が熊などに傷をつけられるか!≫
≪柔い竜なんだよ!≫
コクコクとうなずいて見せる、そんな私を見て
≪それが本当でもっなぜそこから番なんて話になる!まずは傷の手当と親探しだろう!?≫
(黒いのは至極まっとうな事をいうな~まぁ親なんて・・・いないけど)
≪親探しは今からやる所で、傷は!傷は、その、俺治癒が苦手で≫
その赤竜の言葉に嘘はないと思ったのか、呆れた様な視線を赤竜へと向け
≪まったく・・・大丈夫か?良ければ私がお前の傷を治そう≫
と赤竜を押しのける黒竜
≪大丈夫か?親以外の他竜から治癒を受けたことはあるか?≫
どうやら傷を治して貰えるようだ、が大丈夫だろうか・・・
≪ありません、あの、これくらい大丈夫ですから≫
(竜からの治癒なんて人間の私が受けても大丈夫だろうか・・・)
≪大丈夫だ、少し苦しいかもしれんが、すぐ治るぞ?痛いだろう?≫
(・・・こんな機会二度とないかも?)好奇心が勝った。
のちにこれを断れば、自分の今後の負担は少なくて済んだかもしれないとは知りもせず。
≪お、お願いします。≫
≪よし、では・・・≫
光に包まれる、それは一切の苦しみもない暖かなものであった。
主人公のメンタルが強くなってきてます。
題名が迷走ぎみ…