第87話 世界が崩壊する一歩手前でした。
投稿遅くなりました!!
ノルンに捕まった数時間後、彼女はいい笑顔で疲労困憊でソファーに座る俺達を見ていた。
「皆さんのお陰でお仕事が無事に終わりました、ホントに助かりましたよ」
強制連行されいきなり目の前に書類の山、計算から報告書の判子押し企画の発案等々の作業をさせられた、これをいったいどこに提出するのだろうか?いや、考えるのを止めよう、変に関わってめんどくさいことに巻き込まれたくはない。
「やっと、解放され、た」
「もう、嫌です」
アトレイアとハクロウはそう言い残し俺の膝の上に頭を乗せる。
「ちょっとハクロウ、せっかくの夫婦の甘い時間に割り込まないでくれないかな、今からテンリに癒してもらうんだから」
「ママ様なにを言いますか、パパ様に甘やかされるのは娘としてあたしの当然の権利なのですよ」
起き上がると二人は俺の腕を引っ張りあいバチバチと睨みあっている。
「さてそこの二人は放っておいて、テンリ君は今日はどうしたんですか?」
ノルンに言われここに来た当初の目的を思い出す。
「実は悪魔に襲われまして、その事でいろいろお話をしに」
「「「はぁ~!」」」
俺のその言葉にアトレイア、ノルン、ハクロウは驚いた顔をする。
「あり得ない、魔界と下界の出入口は聖都にある大聖堂の地下だけ、しかも私が直に厳重に封印したから悪魔が出てこれるはずない、仮に封印が解除されたらわかる」
「聖都で悪魔が出た報告もありません」
「もし悪魔が出て来たら今頃聖都は戦場になってるはずだよね」
難しい顔をしながら否定する。
「えっと、俺があった悪魔のステータスには七大罪・強欲のマモンって書いてありました」
「嘘!」
「あり得ません!」
「七大罪って悪魔の中で最も強い存在の一角だよ!」
またも驚いた顔をする3人。
悪魔が出てきた訳を聞こうと思っていたのだがこの反応を見る限りどうやら無駄だったようだ。
「少しよいか?」
クロナが声をかけ視線が集まる。
「次元を越える何かしらの空間転移を編み出した可能性はどうだ?」
クロナの言葉にエレノールの街の近くにある塔のダンジョンを思い出す、確かあの時はボス部屋の魔方陣に何者かが干渉したとリリナが言っていた、現れたのは確か魔に仕えるもの、あれは悪魔に仕えていると言う事だったのだろう、しかしその後の調査では何も起きておらず手掛かりはない。
「そんなことは・・・いや、可能性はあるかも」
アトレイアがそう言って俺を見る。
「以前テンリにダンジョンの中で干渉してきた話は聞いていたからね、それでテンリは悪魔と会って何か気付いた事とかない?」
「気付いた事っていうか悪魔が言っていたことなんですが、時間がどうとか言ってましたよ、悪魔の身体が薄くなってそのまま消えてしまいましたし」
「悪魔と話せたんだ、それにしてもなるほどね、魔界から下界に来る空間転移、この場合次元を越えてくるから次元転移かな、まだ未完成だね」
アトレイアの答えに皆が安堵する。
「未完成でも一時的に魔界から下界に行けるのは正直驚きだけど、ただ頻繁にこれる訳じゃないだろうね、空間を移動するのに比べて次元を越えるってかなり大変だしその為の条件を揃えるのもかなり難しいはず、運任せのところも大きいだろうね、さらに時間制限もある、無理矢理次元をこじ開けているから全部出てこれず次元の修復と共に魔界に戻されているのかな」
なら悪魔に出会った俺は相当運が悪かったってことか?ステータスの幸運値ってあまり関係ないのだろうか?
「ん?そう言えば」
「どうかしたの?」
「悪魔に出会った時に見つけたって言われたなって、他の悪魔に狩られないように気を付けろって、それにあの方が喜ぶって言ってたな」
「へー、そんなこと言ってたんだ」
アトレイアの顔から一瞬表情が抜ける。
その瞬間この場にいた全員がゾッと背筋を震わせる。
「テンリを狩るだって!私からテンリを奪おうとするなんて!フフッ、悪魔共には消滅してもらわないとね」
アトレイアは直ぐに笑顔になりそう言った、とても可愛らしく端から見れば見とれてしまいそうな笑顔だ、しかしその笑顔とは裏腹に目が据わっている。
この場にいる者達に掛かる威圧はシャレにならない、出来るなら今すぐこの場から逃げ出したい程に。
リリナを見ると蹲って小さくなっていた、この嵐が過ぎ去るのを待っているかのように身体を震わせている。
どうしようかとクロナを見ると顔を青くさせ肩が震えている、普段の強気で自信に溢れる態度とは違い怯えており目が合うとどうにかしてくれと言わんばかりに涙目で俺を見る。
「パ、パパ様」
ハクロウに至ってはか細い声で泣きながら声をかけてきた。
最後の望みを託してノルンを見る、笑顔ではあるのだがだが流石のノルンもこの状態のアトレイアに何か言える訳でもなく冷や汗をたらし俺に何かを訴えているかのような視線だ。
この状況で俺に何か出来ると?
しかしいつまでもこの状態のままとはいかない、俺は勇気を振り絞り殺すや消滅してやるなどを連呼しているアトレイアに声をかける。
「ア、アトレイアさん?」
決して大きな声ではないがアトレイアが直ぐに反応し俺に笑顔を向ける。
「テンリ、どうかしたの?」
「あの、大丈夫ですか?」
「何が?」
心底不思議そうな顔をするアトレイア、どうやら回りを威圧していたわけではなく無意識だったようだ。
「いや、なんでもないです」
先程の空気が和らいだことにより皆が安堵する。
「さて、それでは魔界を消滅させようと思うんだけど」
「ま、待ってください」
「なに?問題でもあるの?」
「あります、大ありです、魔界が消滅すればこの世界の均衡が崩れてしまいます、地殻変動や自然災害が起こり最終的に世界が崩壊します」
「だから?」
「神界は大丈夫でしょうが世界崩壊には天界も含まれているんです、そうなれば天使達も巻き込まれてしまいます」
「で?」
「でって・・・いいんですか地上にいるテンリ君の身体が巻き込まれますよ」
「それは」
「世界が崩壊すればテンリ君の魂のありかもグシャグシャになって見つけるのに苦労することでしょう、仮に見つけたとして世界の崩壊を引き起こしたのですからアルトリア様の耳にすぐ連絡が入ることでしょう、そうなればテンリ君とは2度と会えないでしょうね」
「それは絶対ダメー!」
「ならもっとこの世界にとって安全な策を出してください」
「わかった、そうするよ」
ノルンに諭されアトレイアは腕を組み考え込む。
まさか悪魔の話を聞きに来ただけなのに世界が崩壊する一歩手前にまで話が膨らむとは、勘弁してもらいたい。
「現状こっちから魔界や悪魔をどうこう出来ないから魔界から下界に出てきたときに叩くしかないかな、まぁテンリを狙ってるのならテンリの側にクロナかリリナのどちらかが常にいれば大丈夫でしょ、それに一部力を取り戻したようだし最上位の悪魔が複数現れない限り負けないだろうね」
「力を手に入れたのよくわかりましたね」
「テンリのことだからね」
悪魔に関して今対処することは殆どなく警戒していればいいくらいで考えておけばいいことがわかった。
「それじゃ帰るよ」
「ハクロウ、君もテンリと一緒に行っておいで」
「ママ様いいんですか!」
「その代わりテンリの側に常にいて」
「はいです!」
ハクロウも共に来ることになった。
「それじゃまたね」
アトレイアとノルンに見送られ光に包まれる、そして気づけばアトレイアの像の前に戻ってきていた。
「パパ様お腹が空きました」
いつの間にかハクロウが後ろに立っていた。
「屋敷に帰ろうか」
「はいです」
ロジーヌに挨拶して教会を出る、ハクロウが増えていたがロジーヌはなにも言わずただ笑顔で見送ってくれた。
屋敷に帰りハクロウと住むことをカロン達に報告、その際何か言われるかと思っていたがあっさり許可が出た、不思議に思い聞いてみると今さらだと言って呆れていた。
悪魔の事もあるがラウスヴェル学園に入学までもうすぐだ、その準備も怠らないようにしなくてはいけない。
入学準備を進めながら日課である勉強や訓練等をこなし気づけばラウスヴェル学園に向かう日が明日となっていた。
ラウスヴェル学園に向かう前日とあって軽くパーティーのような事をおこなった、そこにはフォルク達も同席し少し緊張しながらも楽しそうにしていた。
ラウスヴェル学園に入学するのはとても簡単だ、お金を払えば犯罪者でなければ基本誰でも入学できる、お金が無くても学園側が立て替えてくれる、ただ返す金額が2倍になるし10年以内に返済しなければならない、返済出来なければ学園側の奴隷として扱われる。
学園内では国の違いや立場の違い、種族の違い等いろいろあるが全て平等に接しなければならず貴族だからと平民に圧力をかけたり種族が違うからと揉め事を起こしてはならない、しかしそういった揉め事がまったく無いわけもなくそれを取り締まる為に生徒会と言う組織がある。
この生徒会は学園内でかなり力を持っており生徒会で決まった事は余程の事がない限り覆ることはない、その為生徒会のメンバーはとても慎重に決められる。
さて、明日はいよいよラウスヴェル学園都市に向かうわけだ、ただその前に冒険者ギルドで冒険者登録をして行こう。
いつもお読みくださりありがとうございます。
誤字脱字の報告ありがとうございます。
さて次の投稿ですがちょっと未定です、一ヶ月以内に投稿出来れば良いなと思っております、遅くて本当に申し訳ありません。
それと一話から手直しをさせてもらっています、もしよろしければ読み返していただければ嬉しいです。




