↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
碩学の無能力者  作者: 髙津 央
第12章.引越し

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

87/95

87.八百源

 「あ……! あの、おばあさんって……?」

 須磨春花(すまはるか)の家には、オカンに盆栽を破壊されて怒り狂っていたじいさんは居るが、ばあさんは見た事がない。


 「八百屋さん。商店街の八百源(やおげん)

 「えっ……? でも、名前……?」

 八百源の正式名称は、本山商店八百源(もとやましょうてんやおげん)だ。


 「母方のお祖母ちゃんだから、苗字が違うの。フルネームは本山セツ」

 八百源の婆さんのやさしい笑顔と、朗らかな声が、脳裡(のうり)を駆け巡る。そして、何故、単なる客の俺に、毎回、お駄賃をくれたのか、謎が解けた。


 八百源の婆さんは、孫の須磨春花(すまはるか)から俺たちの窮状を聞いて……


 「それでね、今日のお昼ご飯、どうするの?」

 「えっ昼? コンビニで弁当買うようにって金、渡されたけど……?」

 急に話題を変えられ、思わずバカ正直に答えてしまう。


 「やっぱり。じゃあ、これ、よかったらどうぞ。お母さんと作ったの」

 須磨春花は、鞄の中から水色の弁当包みを取り出した。


 「えっ? えぇえぇぇっ!? いっいや、そんな、悪いし……」

 「ずっと知ってたのに、助けてあげられなくて、ごめんね。私、こんなことくらいしかできないけど……迷惑かな?」


 「えっ? いや、あの、何で謝るんだよ? 迷惑掛けてんの、ウチの方だし……えっと……あの……」

 「………………」

 二人の間に沈黙が降りる。


 何事もなければ、幼馴染になる筈だった同い年の隣人は、弁当を持ったまま、俺から目を逸らした。


 「……ありがとう」

 俺は、魔法戦士の助言を思い出し、差し出された弁当をしっかり受け取った。

 それから二人並んで、でも、微妙に距離を開けて、学校に向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
用語は、大体ここで説明しています。

野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』
【関連が強い話】
野茨の血族」 巴君のその後。
虚ろな器」 高校生になった友田君が登場。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。