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碩学の無能力者  作者: 髙津 央
10章.碩学の無能力者

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72.父返信

 姉ちゃんの帰りを待つ間、ベッドに横になって、取扱説明書を読み返した。

 魔力なんて持ってないから、適当に読み飛ばしていたが、先生はちゃんと、動力切替えの合言葉も書いてくれていた。


 体力から魔力は【アルセナール】

 魔力から体力は【アルハイブ】


 姉ちゃんは、いつもより早く帰ってきた。

 店長が「弟さんの看病をしてあげなさい」と、閉店後の手伝いなしで、帰らせてくれたそうだ。


 店長さん、マジいい人過ぎる。


 台所で、レバニラ炒めとご飯と味噌汁の晩ご飯を食べながら話す。

 俺は、巴先生たちに力を分けてもらったから、もう大丈夫だと説明した。


 オカンとクソ兄貴は居なきゃ居ないで、いつ帰って来るかと、びくびくさせられる。


 俺たちは部屋に戻って、メールをチェックした。

 父ちゃんから昨夜、今日の昼休み、ついさっきの三回来ていた。


 件名:すまない

 本文:今まで全く気付かなかった。お前たちを辛い目に遭わせて申し訳ない。

    これからは父さんが守る。危ないと思ったらお祖父ちゃんの所に行くんだ。

    警察署でもいい。父さんが居ない時は、とにかく逃げて欲しい。

    それから、お姉ちゃん、お誕生日おめでとう。


 父ちゃんも、俺たちの名前を心底嫌がっていて、名前で呼ばない。

 オカンは、クソ兄貴の誕生日には、でかいケーキとプレゼントを用意するけど、俺たちのは完全にスルーだ。


 件名:届いた

 本文:証拠が届いた。後は父さんが何とかする。

    今まで無理させて申し訳ない。ありがとう。

 

 父ちゃんもオカンと戦ってくれる。


 件名:日程

 本文:有給休暇を取らせてもらった。明朝、帝都に戻る。

    笑美華には、さっき「日曜まで帰れない」とメールした。

    色々することがあるから、実際に日曜まで家には帰れない。

    笑美華のことは、放っておくように。プロに依頼した。

    近くに居るから、危なくなったら、電話してくれ。


 父ちゃんの携帯番号が書いてあった。

 「これって、嘘情報を与えて、敢えて泳がせて、プロの探偵さんに、もっとたくさん証拠を押さえてもらうってことよね」

 姉ちゃんスゲー。俺は全然気付かなかった。

 父ちゃんの動きを内緒にして、プロの邪魔すんなって意味だと思ってた。


 もうすぐ決着がつく……のか? 

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用語は、大体ここで説明しています。

野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』
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