72.父返信
姉ちゃんの帰りを待つ間、ベッドに横になって、取扱説明書を読み返した。
魔力なんて持ってないから、適当に読み飛ばしていたが、先生はちゃんと、動力切替えの合言葉も書いてくれていた。
体力から魔力は【アルセナール】
魔力から体力は【アルハイブ】
姉ちゃんは、いつもより早く帰ってきた。
店長が「弟さんの看病をしてあげなさい」と、閉店後の手伝いなしで、帰らせてくれたそうだ。
店長さん、マジいい人過ぎる。
台所で、レバニラ炒めとご飯と味噌汁の晩ご飯を食べながら話す。
俺は、巴先生たちに力を分けてもらったから、もう大丈夫だと説明した。
オカンとクソ兄貴は居なきゃ居ないで、いつ帰って来るかと、びくびくさせられる。
俺たちは部屋に戻って、メールをチェックした。
父ちゃんから昨夜、今日の昼休み、ついさっきの三回来ていた。
件名:すまない
本文:今まで全く気付かなかった。お前たちを辛い目に遭わせて申し訳ない。
これからは父さんが守る。危ないと思ったらお祖父ちゃんの所に行くんだ。
警察署でもいい。父さんが居ない時は、とにかく逃げて欲しい。
それから、お姉ちゃん、お誕生日おめでとう。
父ちゃんも、俺たちの名前を心底嫌がっていて、名前で呼ばない。
オカンは、クソ兄貴の誕生日には、でかいケーキとプレゼントを用意するけど、俺たちのは完全にスルーだ。
件名:届いた
本文:証拠が届いた。後は父さんが何とかする。
今まで無理させて申し訳ない。ありがとう。
父ちゃんもオカンと戦ってくれる。
件名:日程
本文:有給休暇を取らせてもらった。明朝、帝都に戻る。
笑美華には、さっき「日曜まで帰れない」とメールした。
色々することがあるから、実際に日曜まで家には帰れない。
笑美華のことは、放っておくように。プロに依頼した。
近くに居るから、危なくなったら、電話してくれ。
父ちゃんの携帯番号が書いてあった。
「これって、嘘情報を与えて、敢えて泳がせて、プロの探偵さんに、もっとたくさん証拠を押さえてもらうってことよね」
姉ちゃんスゲー。俺は全然気付かなかった。
父ちゃんの動きを内緒にして、プロの邪魔すんなって意味だと思ってた。
もうすぐ決着がつく……のか?




