表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
碩学の無能力者  作者: 髙津 央
第07章.取り説

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/95

46.有難う

 「友田君、この間はありがとう」

 「ん?」

 「弁当……」

 「あ、いや、俺、余計なコト……でしゃばっちゃって……」

 「そんなコトないよ。ありがとう。助かった」


 あれ以来、巴は腫れもの扱いと言うか、女子にやたら話し掛けられなくなった。

 前みたいにキャーキャー騒がず、かと言って、明白(あからさま)な同情は失礼だと心得ているのか、それとも、どう接していいかわからないのか、女子同士で牽制しつつも、巴からそっと距離を置いて、静かに見守っている感じだ。


 男子も、嫉妬が同情で緩和されたのか、教室のピリピリした空気は、かなり(やわ)らいでいた。


 「えっあっあぁ……うん。ど……どうも……」


 やべぇ……こう言う時、何て返せばいいんだ……


 真っ直ぐな目で感謝を伝えられて、俺は狼狽(うろた)えた。


 こう言うの、初めてだ。

 学校の奴とか、姉ちゃんや親戚を手伝って言われるお礼は、礼儀として当たり前の言葉で、割と軽いノリだ。


 オカンとクソ兄貴は、俺と姉ちゃんが働くのは、当たり前だと思っているから、一言のお礼もない。遅い、不味(マズ)い、これじゃない、と文句の類しか言われたことがない。


 「もし、友田君が困っとったら必ず助ける。何かあったら絶対言うてな」

 巴はそう言って手を差し出した。

 こんな深くて重い感謝、生まれて初めてだ。


 どうすりゃいいんだよ、これ……


 「援助の手は、罠や後難(こうなん)(おそ)れがない限り、拒む物ではありません」

 名前も知らない魔法戦士に(さと)された。


 魔法の国には、本名を他人に教える習慣がなく、家の紋章で呼ぶ。

 名前を尋ねるのは、プロポーズでない限り、失礼にあたるので、聞くこともできない。


 俺は、おずおずと巴の手を握った。巴は俺の手を固く握り返してくれた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
用語は、大体ここで説明しています。

野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』
【関連が強い話】
野茨の血族」 巴君のその後。
虚ろな器」 高校生になった友田君が登場。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ