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碩学の無能力者  作者: 髙津 央
第06章.情報戦

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34.お弁当

 作戦開始二日目の火曜。


 昨日、夜遅く帰ってきたオカンは起きて来ず、クソ兄貴は彼女の所に泊まったらしく、不在。俺たちは平和に朝食を摂り、登校した。


 機器類をオカンたちに盗られないように、姉ちゃんと分担して学校に持って行く。

 俺はコンデジとICレコーダ二台。


 (ともえ)は、昨日も今日も、先週と変わりなく無口だった。

 朝、目があった時、お互いに小さく会釈した以外は、これまで通り。

 きっと、昼飯のお礼とか言った方がいいんだろうけど、そんなことして、友達認定されたら、巴を危険に(さら)してしまう。


 巴の家族にも迷惑を掛ける訳にはいかない。

 オカンは、猛犬ポテ子に毒餌食わすくらいの残虐行為は、平気でやってのける。


 そうこうしている間に昼休みになった。

 机を寄せたり校庭に出たり、各自思い思いの場所で弁当を食べる。


 俺の班の女子は、他クラスの女子と校庭に行った。

 空いた席に、さも当然のように赤穂(あこう)が座る。二年になってから、雨の日以外はずっとこうだ。


 弁当を食べながらオカルト話をする。

 昨日はデーレヴォのことは伏せて、フリマで会った占い師の爺さんの話をした。

 可能性の卵に会った件で昼休みが終わり、巴の家に行ったことは話していない。話す気もない。言えば絶対、行きたがるから。


 今日は、占い師の名刺を持ってきた。

 最初に貰った無記名の方を赤穂に渡す。


 「お、巴の母ちゃん、料理上手いんだな。一口くれよ」

 名刺を受け取ろうと腰を浮かせ、視界に入った唐揚げをナチュラルに一個つまむ赤穂。


 赤穂……お前って奴は……


 「俺の母ちゃん、料理下手でさー、こんなのでもよかったら、交換で何か取って」

 赤穂は巴に弁当箱を向けた。巴は無言で(うつむ)いている。

 俺は、何気に赤穂の弁当箱を見た。


挿絵(By みてみん)


 寄り弁……卵焼きを失敗したらしきスクランブルエッグは焦げ、キュウリの厚みはバラバラ、べっちょりと煮崩れた煮物と、皮を剥いた八朔(ハッサク)が直入れしてあり、色々な汁が染み込んだご飯は、茶色くなっていた。


 何このカオス。


 赤穂には悪いけど、俺が自分で作った弁当の方が、まだマシ。

 唐揚げを頬張ってヘラヘラしていた赤穂が、一瞬で青ざめた。


 「うわ……ご……ごめん! すまん!」

 焦りでしどろもどろになりながら、巴に謝り始めた。


 異変を感じた奴が、チラチラこちらに目を遣る。俺もそっと立ち上がって、巴の様子を見た。

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用語は、大体ここで説明しています。

野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』
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野茨の血族」 巴君のその後。
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