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碩学の無能力者  作者: 髙津 央
第03章.フリマ

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15.お友達

 遠ざかる俺の背中に、占い師の爺さんは、思い出したように声を掛けた。

 「何もかも終わったら、お祖母さんのお墓参りに行ってあげるんだよ」

 「えっ?」

 思わず立ち止まって振り向く。


 人にぶつかった。

 混んでる所で急に立ち止まったのだから、当然だ。


 「すみません」

 俺とその人は同時に謝った。


 ぶつかったのが常識人でよかった。

 クソ兄貴みたいな奴だったら、因縁つけられて有り金全部巻き上げられるところだった。


 改めて、ぶつかった相手を見る。


 その人は、(ともえ)の拡大コピーだった。

 巴がそのまま大人になって、銀縁眼鏡を掛けたような人で、休日のお父さん的な地味な服を着ている。


 俺の父ちゃんより若い。

 でも二十代ではなさそう。三十代前半くらいか?


 「あ……友田君……」

 その人の斜め後ろに、巴オリジナルも居た。

 推定父ちゃんとペアルックなどというベタなことはなく、普通に中学生らしい恰好だ。

 この爽やかな青空の下でも、相変わらず暗い顔をしている。


 「ん? 政晶(まさあき)君のお友達?」

 「同じクラス。掃除の班が一緒の友田君」

 拡大コピーは、オリジナルの方に顔だけ向けて聞いた。拡大コピーは、のんびりした感じだが、オリジナルは明らかに緊張していた。


 え? 何? 俺、巴に怖がられてんの? 何で?


 拡大コピーは、にこやかにこちらを向いて何か言いかけて、固まった。

 「友達?」って質問に「同じクラスの同じ班」なんて返されたら、友達じゃないって思うよな。


 実際、一番接点があるのに、この二週間、一回も喋った事ないし。


 「……仲良くしてあげてね」

 気を取り直したように、拡大コピーは落ちついた声で言った。

 現状、仲良くないから、そう言わざるを得ないだろう。

 俺は黙って頷いた。


 オリジナルは、拡大コピーの陰に隠れるように立っている。

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用語は、大体ここで説明しています。

野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』
【関連が強い話】
野茨の血族」 巴君のその後。
虚ろな器」 高校生になった友田君が登場。
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