15.お友達
遠ざかる俺の背中に、占い師の爺さんは、思い出したように声を掛けた。
「何もかも終わったら、お祖母さんのお墓参りに行ってあげるんだよ」
「えっ?」
思わず立ち止まって振り向く。
人にぶつかった。
混んでる所で急に立ち止まったのだから、当然だ。
「すみません」
俺とその人は同時に謝った。
ぶつかったのが常識人でよかった。
クソ兄貴みたいな奴だったら、因縁つけられて有り金全部巻き上げられるところだった。
改めて、ぶつかった相手を見る。
その人は、巴の拡大コピーだった。
巴がそのまま大人になって、銀縁眼鏡を掛けたような人で、休日のお父さん的な地味な服を着ている。
俺の父ちゃんより若い。
でも二十代ではなさそう。三十代前半くらいか?
「あ……友田君……」
その人の斜め後ろに、巴オリジナルも居た。
推定父ちゃんとペアルックなどというベタなことはなく、普通に中学生らしい恰好だ。
この爽やかな青空の下でも、相変わらず暗い顔をしている。
「ん? 政晶君のお友達?」
「同じクラス。掃除の班が一緒の友田君」
拡大コピーは、オリジナルの方に顔だけ向けて聞いた。拡大コピーは、のんびりした感じだが、オリジナルは明らかに緊張していた。
え? 何? 俺、巴に怖がられてんの? 何で?
拡大コピーは、にこやかにこちらを向いて何か言いかけて、固まった。
「友達?」って質問に「同じクラスの同じ班」なんて返されたら、友達じゃないって思うよな。
実際、一番接点があるのに、この二週間、一回も喋った事ないし。
「……仲良くしてあげてね」
気を取り直したように、拡大コピーは落ちついた声で言った。
現状、仲良くないから、そう言わざるを得ないだろう。
俺は黙って頷いた。
オリジナルは、拡大コピーの陰に隠れるように立っている。




