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碩学の無能力者  作者: 髙津 央
第03章.フリマ

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12.占い師

 「(わし)は魔力がないからね。占術を勉強しに行ってたんだよ」

 「占い師さんなんですか。スゲー」


 「魔力がないから、当たるも八卦(はっけ)当たらぬも八卦になってしまうけど、魔力のある人が占うと、かなりはっきり、確実な未来が視えるらしいよ」

 「マジですか!?スゲー! 魔法みたい!」


 「占術も広い意味では、魔術のひとつだからね。力のある人が使えば、それは魔術だよ」

 爺さんは、ニコニコして説明してくれた。


 いつだったか、赤穂が言ってた「魔力がなくても使える魔法」って、占いのことだったのか。



 俺も、修行頑張ったら、できるようになるのかな。

 未来がわかれば……悪いことが起きる前にわかれば、未然に防いだり、最悪でも、被害を少しは軽くできる。


 そしたら、自分の力で、みんなを守れるかもしれない。



 「あの、おじいさん、弟子入りって、どうすればいいんですか?」

 「弟子? 儂は、弟子は取ってないよ」


 あぁうん。そうだよな。

 この国で魔法使いの弟子を育てるって、大変だろうしなぁ。


 「魔道学部のある大学に行けば、占術の研究もしてるんじゃないかな? すぐ近くの帝大とか。あそこは、魔法使いの先生もいらっしゃるよ」

 「帝大とか、ムリですよ……俺、そんな賢くないんで」

 俺は笑って誤魔化した。


 帝大どころか、どんなに頑張っても、オカンがどこの大学にも行かせてくれない、なんて、初対面の人に言えない。


 「帝大の魔法使いって【舞い降りる白鳥】の(ともえ)先生ですよね? 呪い解除の専門家」

 「詳しいねー」

 「サイトの受け売りですよ~。俺なんか全然……好きで、本も読んでますけど、ちっともわかんないですし……」


 都立図書館で、巴先生が書いた「魔術概論(まじゅつがいろん)」という本を借りて読んだ事がある。

 先生は「巴宗教」という名前で苦労してそうで、何となく親近感を覚えた。


 どう読むのかわからないけど、まさかそのまんま「ともえしゅうきょう」じゃないよな……


 その本は、初学者向けの基礎的な内容で、写真や模式図、用語解説もいっぱい載っていた。多分、専門書としては、わかりやすい部類なんだろう。

 でも、俺のアタマでは、半分もわからなかった。

 難しい字は、辞書引いて調べながら読んだから、学校で習っていない字を幾つか覚えられたのは、収穫だった。


 「理解は後からついてくるよ。今は、知らないこと、知りたいこと、興味を持ったことに触れて、吸収していく時期なんだから、まだまだ、これからだよ」

 占い師の爺さんは、優しい眼で微笑んで言った。


 なんとなく、仏の明石を思い出してしまったので、話題を変えてみる。

 「話、変わるんですけど、【急降下する(ワシ)】って、カッコイイですよね! 魔物退治のエキスパート! いかにも魔法戦士って感じで!」

 「そうだね。でも、君が欲しいのは、そう言う即物的な力じゃなくて、問題を解決する力なんじゃないかな?」

 俺は、冷水を浴びせられたように固まった。


 何も……余計なこと、言ってないよな……?

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用語は、大体ここで説明しています。

野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』
【関連が強い話】
野茨の血族」 巴君のその後。
虚ろな器」 高校生になった友田君が登場。
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