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158 SS級の魔物達(2)★




 ★ ★ ★ ★ ★ (マーレ視点)




「おし、みんな行くぞ」


 イグニスの本気モードは頼もしいけど、ここでその姿を見ると恐ろしいとも言えるわ。


 体中の筋肉が弾ける寸前のように盛り上がっている。魔力も怖いぐらい上がっている。


 ここは大樹の森の9層よ。属性魔法使い達の魔力がものすごく強くなる場所。


 カナデが言っていた。体の中にある魔力を作る工場の性能がよくなるから強い魔法が使えるようになるって。


 でも、それは魔物にとっても同じ事。本当なら絶対に勝てない相手になる。S級冒険者だって9層の魔物には(いど)まない。だって、自殺するようなものだもの。


「イグニス強い。ちょっと怖いぐらい」


 クエバにも分かるのね。


 そういうクエバも、魔力がオーラになって体から(あふ)れ出している。体内魔力がもともとS級なうえに取り入れられる魔素の量も私達の数倍らしい。


 なんか、ここの魔物達がかわいそうになってきたわ。


 私も多分だけど、かなり強くなっているはず。


 いよいよ10層にいくのかー。


 実感が()かないな。


 イグニスは探求者になるのかしら。気になるわ。


 本当に、カナデ、イグニス、リーウスは鈍感男(どんかんおとこ)よ。


 ボン様みたいになれとは言わないけど、エルやチャルダンを見習えばいいのよ。乙女心に少しぐらい気がつきなさいよ。


 まあ、カナデはそれなりに頑張っているから許してあげるけど、後の2人は失格ね。もう、お弁当作ってあげないんだから。


「来るっす」


 あら、鈍感男3号が魔物の接近に気がついたわ。その力を少しはクエバの気持ちに使いなさいよ。あほ!


「リーウス、種類はわかるか」


亀虫(かめむし)型っす。でも、変っす。1匹のはずなのに複数の気配がするっす」


「クエバ、結界張れるか」


「問題ない」


「合図したら、おれとマーレに(まとい)だ。おまえ達は自分でできるんだよな」


「はいっす」


「できる」


「マーレ、やっかいなやつと出会っちまったぞ。おれから離れるなよ」


 あら、ちょっと、うれしいかも。


「カナデの情報だ。当てになるぞ。亀虫(かめむし)型はものすごく臭い毒ガスを出すらしい。もしかしたら溶解(ようかい)性のガスの可能性もあるから、出会ったら(まとい)を使えと言っていた」


「相変わらず博識(はくしき)ね。どこで調べているのかしら」


「知っていた。が正しい」


 そうなのよね。そんな情報どこのギルドにもないわ。魔術学院の図書館にもないはずよ。本当に不思議な子。


「見えたっす」


 え、キラキラ光っている。きれい。こんなにもきれいな魔物見たことがないわ。


 体の何かが、お日さまの光を反射しているのね。


「きれい」


「はあー、()っこき虫だぞ」


「痛い。クエバ何しやがる」


 当然よ、鈍感男2号さん。クエバ、もっと蹴ってあげなさい。私が許すわ。


「くそー、後で覚えていろよ」


「体長10メートルってところっすね。見た目は普通のカメムシっす」


「ククク、ただデカいだけ」


「そうね、武器になりそうなものはないわ。たぶん毒ガスが必殺技なのよ」


「なら、(まとい)で防御してさくっと切るか」


 イグニスの魔法剣が高温になっていくわ。どこまで温度が上がるのかしら。 


「だめっす。全ての魔物が魔法を使うと思えってカナデが言っていたっす。慎重に行くっす」


 こういう時のリーウスは頼りになる。クエバが気に入るのもうなずけるわ。


「止まったっす。こちらを警戒しているっす」


「強えくせに、用心深いな」


「ここの魔物は賢い、カナデが言っていた」


駆除(くじょ)対象です。ここで仕留(しと)めますよ」


「イグニス、挑発(ちょうはつ)!」


「おう、それっきゃねーな」 


 イグニスの体内魔力が膨れ上がったわ。すごい!


「今日のおれは半端(はんぱ)ねーぞ、 挑発!」


空間が揺れたように見えた。相手は直ぐに反応した。


「なんだ、羽か、広げているのか」


 羽を広げたと言うよりも前に倒したと言った方が正確ね。いったい、何をする気なの。


「きれい」


 クエバの言う通り。キラキラ光っている。


「気をつけろ。何か震動しているぞ」


 キラキラ光っていた何かが震動している。何かを飛ばす気だわ。


「何か飛ばす気よ。みんな装着」


「装着」


 一瞬よ、フルアーマー姿。打撃にも耐えられるはず。


「クエバ、(まとい)だ」


「わかった。魔法陣展開 神装力(まとい)発動」


 わかる。フルアーマーの周りに神装結界が展開された。これで、毒ガス攻撃にも耐えられる。


 ブーン


 キラキラ光っていた何かの正体が明らかになった。小さな虫、といっても10センチ位の大きさはある。それが一斉に飛び立った。数千匹はいる。


「なにあれ、気持ち悪い」


「大きな目」


 本当の目ではない。模様だ。盾のように立ち上がっている羽に大きくて真っ赤な目玉模様が浮かび上がっている。キラキラ達が飛び立ったことで見えたのだ。


「やばいっす。小型の亀虫(かめむし)型っす。一斉に毒ガス攻撃をしてくると思うっす」 


「おれもそう思う」


「魔法陣展開 移動」


 ふわっと体が持ち上がった。一瞬で数百メートル後に運ばれていた。すごい。これ、魔法勝負の王太子戦でカナデが学生達に使ったやつだ。いつ覚えたの。


「クエバ助かった」


「あの数の毒ガス危険、無効化される」


「カナデが言っていたっす。カメムシの体内は特殊液体を作る工場らしいっす」


「猫の神力じゃねーからな」


「そう、絶対はない」


「キラキラがデカいやつに戻ったっす」


「どうする。近づけばまた繰り返しだぞ」


「リーウスの出番」


「確かに、それしかねーか」


「リーウス、私を信じる?」


「いままで一度も疑ったことないっす。いつも命預けてるっす」


「……ばか」


 この子もカナデと同類ね。天然で女性を口説(くど)くわ。


「わたしが運ぶ。絶対失敗しない」


「私が小さいのは打ち落とすわ。一発も外さない」


 私はエルフ系、弓矢は百発百中よ。


「なら、おれはマーレの護衛だ。大切な相棒だからな、絶対に守る」


 本当に、うちの男どもはみんな天然よ。でも、うれしい。これからも二人前のお弁当作ってあげるわよ。


「よし、やるぞ」


「了解。リーダー!」


「リーウス、(まとい)発動」


「了解っす」


「魔法陣展開 移動、神装結界認識阻害(にんしきそがい)上掛け」


 リーウスの体がふわっと浮き上がった。そして、姿が見えなくなった。


 リーウスの短剣も神力剣になっている。堅い魔物の外骨格もバターのように切れるはず。


「イグニス、遠距離挑発」


「任せろ」


 空間が揺れている。魔物が動いた。小さいのが飛び立ち、大きいのの周りを回っている。


「マーレ」


「神装力 イメージ弓矢 100連射」


 イメージよ。弓矢で矢を100本射る! 


 できた。


 どう、全て命中よ!


「おみごと!」


「リーウス回り込む」


 クエバが集中している。こんなに真剣な顔は久しぶりね。


「マーレ。小さい屁っこきやろうが来るぞ」


「イグニスに任せるわ、次の連射よ」


「任された! 魔法剣超高温」


 1000度を軽く超えてるわね。かわいそうな魔物さん。


 イグニスの巨体が風船のように軽々と跳ねている。襲ってくる小型カメムシを次々に蒸発させている。


「頼りになる相棒だわ。100連射」


 1000匹ぐらいなら10回も連射すれば全滅ね。


 あら、羽をたたんだわ。逃げる気かしら。


「ククク、もう遅い」


 巨大な体が霧のように消えていった。


 リーウスが50センチ位の魔石を持ち上げている。


 勝負ありね。


「ククク、愛の勝利」


 さて、その気持ちがいつリーウスに届くのかしら。まあ、私も人の事は言えないけど……。


 何にしても、ちょっと休憩ね。





次話投稿は明日の7時10分になります

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