第2審
裁判長の木槌がコンコンと鳴り響き、壇上に魔女疑惑をかけられた少女が上がる。白い髪飾りをした10歳幾ばくかに見える。
「被告、アクスタ・ミヒャエルの魔女裁判を開廷致します。陪審員は席についてください。傍聴席の方はお静かに、裁判の円滑な進行にご協力をお願いします」
今回の裁判長は高齢の女性、魔女でないことを国から直接判別されている。特別な裁判官である。
罪状が淡々と述べられる。1級魔女法違反に該当するとして、今回国から起訴されている。証言者が横の壇上へ登り、一人ひとり証言する。1人目の証言者は、少年集団が彼女に石を投げていたところ、全員が一瞬にして気絶し、病院へ搬送されたと証言する。2人目の証言者はすれ違った後、景色が変だと思ったら植物がすべて枯れていったと証言した。3人目の証言者は、少女が人混みに入ると一瞬にして姿が消えたと証言した。
魔女の疑いをかけられた少女の答弁が始まる。しかし弁護人のどの質問にも、彼女は下を俯き答えない。弁護人が、何度も問いかける。
「答えてください。答えないと不利になるのは魔女の貴方なのですよ!?」
アクスタは弁護人をちらっと見て、また下を向いた。赤い瞳がきらりと光る。
最終弁論でさえ、彼女は沈黙を貫いた。陪審員による投票が始まり、判決が下される。
「被告、アクスタ・ミヒャエルは…有罪。刑執行は本日とする。閉廷」
木槌が鳴り響き、判決が下される。少女は裁判所のすぐ外にある刑場へ連行された。
ギロチンは暴れた魔女によって壊されてしまったため、処刑人が直接手を下すことになった。
「魔女よ! せめて安らかに眠れ!」
処刑刀が振り下ろされ、首が斬り落とされる。拘束された体の前にコトリと落ちた首は、灰のように風に乗って溶け消えた。
それを見届けた一人の少女がいた。青い瞳の少女はフードを目深に被ると、処刑に沸き立つ観衆を押しのけて町の郊外へと歩く。道中で魔女を批判する演説をしている者の観衆の集まりがいた。少女が何かつぶやくと、演者の首元から氷の花が咲き、観衆は絶叫を上げた。散り散りに逃げ惑う観衆に混じって彼女は姿を消した。




