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20話

 放課後になり、ライカ殿下が言っていた五の刻にて教室にいた。


 ライカ殿下とセシル、私の三人だけがいる。緊張している私に対して、ライカ殿下とセシルは落ち着いた様子だ。


「……ルイゼさんにセイラさん、こんな夕方に呼び出して悪いね。どうしても、二人とは話したい事があるんだ」


「はあ、何でしょう?」


「ルイゼさんはセイラさんが本当は、女子生徒ではない事を聞いているかな?」


「……知っています、セイラから聞きました」


 私が意を決して話すと、ライカ殿下は少し目を見開いた。


「成程、もう本人から聞いていたか。なら、話は早い」


「あの、殿下?」


 セイラが訝しんで訊いた。ライカ殿下は驚きの表情を改める。


「……セイラ、いや。セシル、お前が王弟の子である事は王家と限られた人間しか知らない。が、こちらのソアレ侯爵令嬢と恋仲なら。今のままでいいのか?」


「私は今のままなのは、正直言うと。嫌ですが、仕方ないと思っています」


「ふん、お前は分かっていない。陰でこそこそと逢引をしていた事は私も知っている。だがな、ソアレ侯爵令嬢の立場を少しは考えろ。彼女に無理をこれからも強いるつもりか」


 殿下はズバズバと言った。セシルがちょっと、タジタジな表情になっている。


「ですが……」


「私なら、さっさと婚約を申し込むがな。お前がもたもたしていたら、その内に他の野郎に掠め取られるぞ。ソアレ侯爵令嬢が男子生徒達からどんな目で見られているか、分からんとは言わせん!」


 殿下はしまいには、セシルを睨みつけながら言った。セシルは複雑そうな表情だ。俯いてしまった。長い髪で彼の表情は分からない。


「あの、殿下。セシルにはセシルの立場や事情があるのは私も理解しています、これ以上は……」


「ルイゼさん、君はこの意気地なしに余程惚れ込んでいるようだが。私からすると、もどかしい限りなんだ」


「……分かってはいます、要は女の振りを辞めて。男に戻れとおっしゃるのでしょう、殿下」


「そうだ、時期的には早いが。陛下や王妃はいい顔はしないだろうがな、それでも。お前、ソアレ侯爵令嬢との関係を本当は確固たる物にしたいんだろう?」


「したいとは思います、けど。陛下は私を警戒なさっています、殿下に成り代わる者として。男に戻ったら、私達は敵対関係になるかもしれませんよ?」


 私はセシルの言葉に頭を殴られたような心地がした。そうだ、セシルが《《男性》》に戻るという事は。彼を担ぎ上げて王太子に推そうとする勢力が出てくる事になりかねない。陛下はそれを危惧なさっている。


「だったら、お前が王太子になればいい。私は王位継承権を返上して臣下に降るよ」


「で、殿下?!」


「元から、私には王太子の立場への執着はない。お前がいいんなら、喜んでくれてやる」


 私はライカ殿下の意外過ぎる発言に驚きを隠せない。まさか、こんな展開になるなんて!誰が想像できたろうか。

 セシルも二の句が継げないでいる。


「なら、セシルが王太子になったとしても。彼に務まると思っていらっしゃいますか?」


「思うよ、セシルには王太子になるだけの能力や資質がある。まあ、後ろ盾が必要にはなるがな」


「……分かりました、ライカ殿下。あなたのお気持ちを受け取らせていただきます、後悔はなさいませんね?」


「しないよ、むしろ。お前、いや。あなたに全ての責任を押し付けるつもりはない、臣下になったら。忠誠を誓わせてもらいます、セシル殿下」


「はい、ライカ殿下」


「そこはライカ殿だろ」


 ライカ殿下はニット笑った。セシルもはにかむようにして、笑った。二人は堅く握手をし合う。私は意外さに驚きながらもこの光景を見守っていた。

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