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2話

 私は勉学に魔術に武芸にと鍛錬やらに時間をひたすらに費やした。


 そうして、一年二年と歳月は過ぎていく。気がついたら十年が経ち、私は十四歳になっていた。王立フローレンス学園に入学する年齢に達していたが。ちなみに姉は既に入学している。王立フローレンス学園は十四歳から十八歳までの四年間は通わないといけない。貴族は通うのが義務ではある。また、文官科と騎士科、魔術科の三つがあり、選ぶ事ができる。私は魔術科を選んだ。

 姉は確か、文官科に進んだはずだが。フローレンス王国は女性にも就職の道が開かれている。昔であれば、考えられなかったろうな。

 まあ、私はセーレイン公爵家には戻らず、ソアレ侯爵邸に居続けている。騎士団長であったお祖父様に頼み込み、養女にしてもらっていた。何故かというと、公爵令嬢のままでいたらライカ王太子と婚約をさせられるのは目に見えていたからだ。それに、武芸の鍛錬が結構楽しかったからでもある。両親や姉には悪いとは思っているが。

 が、お祖父様は学園に入学するにあたり、ソアレ侯爵領から王都を往復も大変だからと別邸に移るか、寮に入るか選びなさいと言ってきた。


「……ルイゼ、わしもお前が心配ではある。寮に入るか?」


「いえ、私は別邸に移ります。寮にいても武芸の鍛錬ができませんし」


「そうか、なら決まりだな。別邸にいる家令には前もって知らせておく。ルイゼもそのつもりでいなさい」


 私は頷いたのだった。お祖父様の書斎を出た。

 これが学園に入る三ヶ月前の事だ。季節は一月で真冬だった。


 三ヶ月が経ち、春真っ盛りになった。入学のシーズンに入っている。私はソアレ侯爵家の別邸にいる。ちなみに、お祖父様が付けてくれたメイドのチェリーとツェリ、テレサも一緒だ。


「お嬢様、制服をお召しになってください」


「わかった」


御髪みぐしを後で纏めますね」


 私は頷いた。チェリーがテキパキと私に学園の制服を手渡す。女子生徒の制服は、現代日本でいうブレザータイプだ。丸襟の白いブラウスに臙脂色のリボン、同系色のジャンパースカートにジャケットという感じだが。

 スカートは膝よりやや長めといった丈だ。それらを自分で着ていく。


「お嬢様、朝食は済ませましたか?」


「うん、ツェリお手製のミルクティーも飲んだわよ」


「そうですか、早く制服を着ないと。遅れますよ」


 私は再び、頷いた。パパッとブラウスのボタンを留めた。ジャンパースカートを履き、リボンを適当に結ぶ。


「お嬢様、リボンが歪んでいます」


「テレサ、相変わらずね」


「それはこちらの台詞です、お嬢様。練習しないといけませんね」


 テレサにピシリと注意される。仕方なく、リボンを直した。最後にジャケットを羽織り、ボタンを留める。鏡台の椅子に座ると、チェリーが髪に香油を塗り込む。手早く、ブラシを通してくれる。髪紐で簡単にハーフアップにすると、鏡越しに笑いかけた。


「できましたよ」


「ありがとう、教科書やノートとかは昨日の内に鞄に入れておいたから。後、持っていく物がないかを確認するわ」


「わかりました、姉君のリーゼロッテ様がいらっしゃいますから。早めにお願いしますね」


 チェリーの言葉に慌てて、立ち上がる。寝室を出て、鞄を見に行く。あったので中にあるプリントを確認した。それには筆記用具や教科書、ノートの他に必要な物は書いていない。ほっとしながら私は鞄を持ち、革靴を履いた。


「支度はできたようですね」


「うん、姉様が来たら困るし。もう、エントランスに行くわ」


「わかりました」


 私が自室を出ると、チェリーやツェリ、テレサが付いて来てくれた。階段を降りてエントランスに向かう。鞄も手に持ったし身支度もできた。とりあえずは姉に怒られる事はないだろう。そう思いながら、エントランスにたどり着く。姉が来るのを待ったのだった。





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