13話
お昼休みになり、私はセイラと二人で中庭に向かう。
昨日に約束したからだが。セイラは私に一つの布包みを手渡してきた。可愛らしい水色の布だ。
「この中に、サンドイッチなどが入っているの。ルイゼの口に合えばいいんだけど」
「わざわざ、ありがとう」
「後、約束した通り。お菓子も入っているから。楽しみにしててね」
そう言って、セイラは笑う。屈託のない笑顔と言える。私にはできない表情だわ。
「どうかした?」
「ううん、何でもないわ」
「そう、なら。食べましょうか」
私は頷いた。セイラと一緒に近くにあったベンチに座る。腰掛けたら、布包みを膝の上に載せた。結んであった布を解いたら、木の皮を曲げて加工したいわゆる曲げわっぱのお弁当箱が出てくる。少し驚きながらも、蓋を開けた。中にはほうれん草のソテー、ウィンナーやオムレツ、ミニトマトが綺麗に盛りつけられている。傍らに添えられていたフォークを手に取り、略式で祈りを捧げた。そうしてから、食べ始めた。
また、おかずの他には小さめに作られたサンドイッチがある。ハムにチーズを挟んだ物に、ゆで卵を細かく刻んでマヨネーズで和えてレタスも挟んである物の二種類だ。
ちょっとずつ、黙々と食べた。私は素直にこう告げる。
「……セイラ、美味しいわね」
「そう、それは良かったわ」
セイラはにっこりと笑った。しばらくは食事を進めたのだった。
お弁当の他に、セイラは三種類のマカロンやミニマフィンを食べさせてくれた。マカロンはコーヒー味やマーマレード味、ストロベリー味と甘酸っぱっかたりでどれも食べやすい。ミニマフィンもふわふわしっとりしていて、味も甘さ控えめだった。凄く絶品の美味しさでまた、機会があったら作ってほしいと頼んだくらいだ。セイラは嬉しそうで快く応じてくれた。
お菓子を食べ終えた後、彼女はこう告げた。
「……その、ルイゼ。私が王家の血筋を継いでいて、王宮に引き取られたことは知っているかな?」
「ええ、知っているわ」
すると、セイラはおもむろに頭に手を伸ばした。パチンパチンとヘアピンを外す音が辺りに響く。
私は呆気に取られる。そうして、気がついたら。短髪姿の青年とおぼしき人物がいた。さらに驚いてしまう。
青年は私を見て、苦笑いした。先程よりも低い声で言う。
「……私は本当は男なんです、かのライカ殿下のいとこに当たります。将来は殿下の補佐となるために、引き取られました。けど、男のままでは危うい。だから、しばらくは女として過ごせと陛下に命ぜられたのです」
意外な事実に私は言葉が出てこない。セイラは苦笑いを深めた。
「先日は失礼なことを言いました、本当は。ルイゼ、あなたに入学式の時に一目惚れをしてしまいました。殿下が声をあなたに掛けた際は焦ってしまって。それであんなことを言って、あなたを怒らせてしまった」
「……あなたは悪くないわ」
「それでも、私は自身を許せません」
セイラはそう言って、苦笑いから真面目な表情になる。
「ルイゼ、私のことは二人だけの時、セシルと呼んでください。そろそろ、お昼休みが終わりますね」
セイラもとい、セシルはカツラを被り直した。私は返答をする。
「……わかったわ、今後は二人だけの時はセシルと呼ばせてもらうわ。後、告白のお返事だけど」
「ルイゼ?」
「よろしくってよ、あなたと恋人同士になるのは」
「いいのですか?」
「うん、あなたに事情があるのはわかってるの。それでも、私には婚約者もいなかったし。凄く異性に好意を持ってもらえて嬉しいのよ」
素直に言うと、セシルは頬を赤らめた。小さな声で「私もです」と言ってくれたのだった。




