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12/21

12話

 翌日、お祖父様から返事が届いた。


 短く、「わかった、この件は陛下にも伝える」とあった。お沙汰は数日後になるだろう。私はほうと息をつく。

 急いで身支度をして、エントランスホールに向かった。姉やロバート、何故かレウィシアまでいる。


「おはよう、ルイゼ」


「おはようございます、姉上」


「おはよう、ルイゼちゃん」


「おはよう、ルイゼさん」


「おはようございます、ロバート先輩にレウィシア様」


 私は姉にロバート、レウィシアといった順に挨拶をした。三人が別邸にいるのは珍しい。


「あ、ルイゼさん。私のことはレヴィでいいわよ」


「はあ、では。レヴィ先輩と呼ばせてもらいますね」


「ええ、私もルーちゃんと呼ばせてもらうわ」


 レウィシアもとい、レヴィはにっこりと笑った。


「……さ、レヴィもルイゼも。そろそろ、行きましょう」


「うん、わかったわ」


 姉が呼びかけると、レヴィが手を差し出す。私は自身のそれを載せた。キュッと柔らかく握られた。姉と似たような感じでしなやかでほっそりとした手だ。それでも、レヴィは優しく私の手を引っ張った。


 馬車に四人で乗る。ロバートと姉が御者台の側に私とレヴィが向かい側に座った。


「……それはそうと、ルイゼ。昨日のことなんだけど」


「はい」


「学園長に報告をしたの、そしたらね。ミラーさんを停学処分にするとのことだったわ」


「え、あの。それは本当ですか?」


「本当よ、ミラーさんは下手すると。フローレンスさんに怪我を負わせていたかもしれないのよ。バケツに入った水でなかったら、もっと大事になっていたわ」


 姉は真面目な顔で告げた。それは確かにと思う。セイラがずぶ濡れになった程度ですんだから、よかったが。


「そうだったの、ルーちゃんもその場に居合わせたと聞いたわ」


「はい、フローレンスさんにすぐに魔術を使って髪などを乾かしてあげましたが」


「あら、ルーちゃん。やるわね!」


 そう言ってレヴィは、私の頭をいい子と撫でた。ちょっと、恥ずかしくはある。


「ルイゼ、あなた。今後はフローレンスさんと一緒に行動してあげなさいな。その方がいいような気がするわ」


「うん、僕もそれには賛成だ。ルイゼちゃんが睨みをきかせていたら、嫌がらせをする奴も手出しをしにくくなるだろうね」


「わかりました、姉上やロバート先輩の言う通りです。フローレンスさんと一緒になるべく行動するようにしますね」


 私が頷くと、姉やロバートにレヴィもそうしたらいいと言ってくれた。馬車はその間にも走るのだった。


 学園に着くと、私は姉達と一旦別れた。教室に向かうためだ。玄関口から下駄履に行き、靴を上履きに替える。靴を仕舞い、廊下を歩く。まだ、朝早いから生徒の数もまばらだ。


「……あ、おはようございます。ソアレ様」


「おはようございます、フローレンスさん」


 前から元気よく声をかけてきたのは、セイラだった。私は笑顔で答える。


「本当に昨日はありがとうございました、約束通りに今日はお弁当やお菓子を作ってきたんですよ」


「そうなんですか、楽しみです」


「ソアレ様、私のことはセイラと呼んでください。私もルイゼ様と呼ばせていただきます」


「……わかった、セイラ。私のことも呼び捨てで構わないわ」


「え、いいんですか?」


「いいわよ、敬語もなしで構わないわよ」


「……うん、今後もよろしくね!ルイゼ」


 にっこりと嬉しそうにセイラは笑った。本当は男子だと言うことを忘れてしまいそうだ。そう思いながらも、私は頷いた。


 教室に着くと、私はセイラと一緒に席に向かう。ライカ殿下が声を掛けてきた。


「おはよう、ソアレ嬢、フローレンス嬢」


「おはようございます、殿下」


「おはようございます」


 先に私が次にセイラが言った。殿下は意外そうにしている。


「……朝から二人一緒なのは珍しいね」


「そうでしょうか?」


「いや、呼び止めて悪かったね。俺は授業の準備をするよ」


 殿下は苦笑いすると、自分の席に行ってしまう。私とセイラは顔を見合わせた。互いに首を傾げたのだった。

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