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コンビニコーヒーでわかる!やさしいレギュラーコーヒーの楽しみ方

ゴリゴリゴリゴリ…。



毎日コーヒーを淹れている。



あの日から、毎日コーヒーをゴリゴリしている。



どうしてこうなっちゃったんだろう?



あの日、僕があちら側からこちら側へと来てしまったのは何故かと、既に考えていてもおかしくないことを考えていないことに気がついて驚いた。



コーヒーが好きだという人は多い。そして、毎日コーヒーを飲むという人も少なくない。コンビニでカフェラテやミルクと甘みがついたコーヒー、ブラックストレートのコーヒーなど、様々な種類で売られているペットボトルや缶入りのコーヒーを飲んでいる人は多いだろう。



僕もその一人だった。中学生の頃から、毎日ほとんど欠かさずコーヒーを飲んでいた。親父の飲んでいた甘いポッカMコーヒーや、おふくろが淹れていたレギュラーコーヒー。でもその頃は、まだコーヒーであれば良くて、苦味や甘みが相まった大まかなコーヒーという風味が好きだったに過ぎない。僕もその時代が数十年続いたのだから、コーヒー自体の違いをはっきりとは理解してはいなかった。多分、自分の好きな風味のブレンドされた缶コーヒーを選んでいたのだろう。



では、どうして新鮮な豆を購入して、自分で挽いて、自分でドリップして飲んでいるのだろう?



その一番の理由は、香りだと思う。



ボトルや缶のコーヒーと、実際に淹れたコーヒーが一番違う部分は香り。どうしてもペットボトルや缶に封入して売っているコーヒーは、滅菌処理をするために熱を加えなければならない。それも、抽出されたコーヒーを加熱することになるから、どうしてもコーヒーで一番の魅力である香りが飛んでしまう。だから、各社知恵を絞って、いろんな工夫をして香りをなんとかしようとする。一番多い方法は、香料を添加して香りを後付けする方法だ。僕の好きなタリーズのボトルコーヒーも香料がしっかり入っている。香りはいいけど、前にも書いた通り、おしっこがコーヒーの香りになる。これは一つ、香料が原因だと思う。豆を挽いて淹れたコーヒーがどれほど風味豊かでも、おしっこがコーヒーの匂いになることはなかったと思う。



UCCのブラック無糖シリーズは、


「原材料コーヒー、以上。」


というCMをしていた通り、香料をつけない缶コーヒーを売っている。よほど原料と製法に自身がなければ出来ない。癖のないスッキリとしたコーヒーだが、やはりドリップコーヒーにはそれでも勝つことは出来ない。



僕も未だに缶コーヒーやボトルのコーヒーを飲む。でも、自分でドリップしたコーヒーを淹れずにはいられない。それはやはりその両者には大きな大きな違いがあるからだと思う。毎日毎日ドリップするようになった後のペットボトルのコーヒーは、自分の好きな銘柄じゃないものは、飲み干すことが出来なくなってしまった。好きな銘柄のコーヒーも、それならなんとか飲めるという域でしか無い。それほど、その風味、味わい、香りというものを感じてしまうと、元に戻るのは大変になる。



ボトルや缶のコーヒーは、ほとんどが冷たい状態で売っている。冬にはホットのものもあるが、ストレートは本当にコーヒーと言うより、味気ない黒い液体でしかなく、ミルクと甘みがついたものでなければ飲むのが難しいくらい。そして、密封されているとはいえ、抽出されてからどんどんその香りが揮発して言ってしまうコーヒーというのは、まるで気の抜けた炭酸飲料くらい美味しさがなくなっていると思う。



コーヒーの違いを知るのに一番いいのは、自家焙煎珈琲店でコーヒーを飲むことだけど、世話好きの店主がいる店を探すのは難しいし、自分からそういう店に飛び込む事ができる人間は、既にこちら側の人間に違いない。なので、ちょっとコーヒーに興味がある人、そんな違いがあるの?と疑念を持っている人、その人達に簡単にその違いを試す方法を教えたい。



缶コーヒーとレギュラーコーヒーの両者を比較するために、缶コーヒーはブラック無糖の缶コーヒーを用意し、室温くらいにしておく。そして、レギュラーコーヒーは、コンビニのドリップコーヒーで十分である。ホットなら、直ぐに飲まずに50度くらいまで冷ます。冷たいのが好きなら、アイスのドリップコーヒーでもいい。



出来ればグラスやカップに移して飲んでもらいたい。ボトルは口が狭く、香りが立ちづらい気がするし、コンビニのドリップコーヒーもホットは紙コップの香りがするし、アイスも呑み口が狭くて風味を感じづらい。



まずは、液面に鼻を近づけ、深く香りを吸い込んでほしい。



次に、ちょっと口に含んで鼻腔に抜ける香りがどんなような香りなのか感じながら飲んでほしい。



そして、ホットなら温度と時間とともに変化していく味に驚いてほしい。



できることなら、一週間缶コーヒーをやめて、かわりに一週間コンビニのレギュラーコーヒーを飲み続けて見てほしい。そうすると、あなたにもこちら川に掛かる橋がなんとなく見えてくるはずだろう。



そしたら、次に大手チェーン店、ドトールやタリーズ、スターバックスなどのコーヒーを試してほしい。その次は、こだわりのある個人店のコーヒー。最後にたどり着くのが、自家焙煎珈琲店という天国のような地獄の入り口が待っている。



僕がゴリゴリゴリゴリと毎日コーヒーを挽いて、ドリップするのを厭わないのは、その香りの素晴らしさと、酸味やコク、風味と言った味わいを感じたいからに違いない。



そう言いながら、今、僕は新作のブラックの缶コーヒーを飲んでいる。最近の缶コーヒーは本当に美味しく出来ていて、その進化の凄さに驚かされる。



しかし、しかしである。



それでもドリップした淹れたてのコーヒーの足元にも及ばない。



それが、安いドリップバッグのコーヒーにも勝てないだろう。



自分で淹れるのが煩わしいと思う人も多い。



コンビニコーヒーで十分美味しさは感じられるので、まずは缶コーヒーとあまり変わらない値段で変えるコンビニコーヒーを試してほしい。



僕が言ったことが、何となく、ああ、こういうことか!と分かったのなら、その時気がつくだろう。



それが、悪魔の囁きだったということに。

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― 新着の感想 ―
[一言] 実は最近コロナに感染しまして。 熱はすぐに引いたのですが味覚と嗅覚が変化してしまい、ひどい時は水も空気もマズく感じてました。 中でもコーヒーの味の変化は大きく、豆を挽いたときの臭いがもう、な…
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