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第50話 カミラの料理

ゴブリン達を瞬殺したアンジー達は順調に旅を続けている。

小さな町で宿に泊まりながら数日たった頃、初めて野営することになる。



「アンジー!今日は近くに町どころか村もないから野営しますよ」


「本当に、やったー!わたし楽しみにしてたんだよね野営」



アンジーが凄くテンションを上げて喜んでいる。アーロンと同じキラキラとした目でカミラをじっとみてくる。



「師匠!テント張ったり、焚火したりするんでしょ!楽しそうね」


「そうだな。料理もするから期待してなさい」


「料理?・・・師匠が?」



アンジーの頭の中に?マークが無数に浮かんできた。



「そうだが、何か変な事言ったか?」


「師匠が料理なんか!冗談ですよね?笑えないのですが」



アンジーはカミラが料理を作っている姿を一度も見たことが無かったので冗談だと思っている。

てっきり昨日泊まった宿でお弁当を作ってもらったと思っていたのでキャンプが出来ると思い楽しんでいたのだ。



「冗談じゃないぞ。私が腕によりをかけて旨いものを作ってやるから楽しみにしてなさい」



アンジーの心配をよそにカミラは愛弟子に何を作ってやろうかとブツブツと考え出した。



「師匠~。本当に大丈夫ですか?お腹壊したりしないですか?」


「ブツブツブツ・・何にしようかな?ブツブツ・・。ん、何か言ったか?」


「…ヤバいかも!」



料理の事で頭がいっぱいになったカミラには何も聞こえていない。

アンジーは身の危険をビンビンと感じている。額からは汗が滴ってきた。

カミラが実は料理上手で美味しい料理が出てくるかも!なんて、普段からカミラを見ているアンジーはそんな期待をしない!今日の晩御飯は諦めることにした。

(不味くても死にはしない。火が通っていれば良しとしよう。最悪、火魔法で自分の分だけでも加熱しよう。)

楽しみにしていた野営がとんでもなく辛く感じてきてしまった。



「・・・決めたぞアンジー!今日はグレートボアを使って料理してやるから楽しみにしていろ」


「早速、ボア狩りだ手伝え!確かこの辺はボアが居るはずだからな!」


「・・・・がんばりま~す」



凄く投げやりな返事を返したアンジーを見てカミラが首をかしげて見ている。



アンジーとカミラはすぐに馬車から降りてグレートボアを探し始める。

2人が今いる場所からは広大な草原が広がっていて地平線が見える。

奥の方には湖があり、小動物たちが水を飲みに来るとカミラから聞かされた。

遠くに見える湖付近に視線を送ってジーーと見ると5キロぐらい離れた湖に小さな黒い点がいくつも見えた。



「師匠、湖の周りに小さい黒い点が見えます!」


「ああ、あれだ。今日は運が良いあの黒い点がグレートボアだぞ」



カミラにはその小さい黒い点がハッキリと見えているみたいでグレートボアの群れだと教えてくれた。



「師匠!あれが見えるんですか?」


「当たり前だエルフをなめるなよ!弓の得意なエルフはとても視力が良いのだ。とにかくあれを狩りに行くぞ」


「待って下さいよ~。馬車どうするんですか!?」



カミラが馬車を放置して走り出したのでアンジーが慌ててカミラを呼び止める。



「すまん!料理の事ばかり考えていて馬車の存在を忘れていたよ」

「いいえ、大丈夫です・・」


アンジーは益々カミラの料理が心配になってきたが馬車に乗り込んで5キロ先の湖に向かう。

数十分後、湖の近くまで来たカミラ達は湖の側の草むらに隠れてグレートボアの群れを見ている。


「アンジー見てみろ、あそこに一番デカいグレートボアが居るだろ。奴がこの群れのボスだ!あの感じだと脂がのっていて間違いなく最上級の肉だ」



カミラは姿を見ただけで肉の質まで分かるようだ。



「師匠。そんな事まで分かるんですか?」


「当たり前だ!どれだけの数の獲物を捌いてきたと思ってる」


「??」



アンジーはカミラの発言が気になった。



「見ていろ!」



そう言うとカミラが、グレートボアのボスの前まで移動して行きボスの首を一瞬で切り落とした。

ボスの首の太さは直径で1メートルは軽くあるのに簡単に切り落とす。

カミラは首を切り落としたボアの巨体を、軽々と持ち上げ湖の側の木に逆さに吊るして血抜きをし始める。

物凄く手際が良い。



「これでよし!とっ」


「師匠、手際がよいですね」


「素材は下処理の有無で全然味が変わってくるからな」


「??・・・・まさかね」



またもやカミラの発言が気になったアンジーが少し期待し始めた。



「さぁ、血抜きと下処理に少し時間がかかるからな。その間にテントを立てておけ!」



カミラがボアの肉の下処理を始めたのでさっそく湖の近くにアンジーがテントの設営をした。

湖の近くには木も生えているので薪の心配もなく、アンジーが火の魔法で焚火に火を付ける。

アンジーが焚火に火を付けた後カミラの方を見ると、今まで無かったはずの色々なものがカミラの前に並んでいる。

カミラが所有しているマジックバックから取り出したらしい。


●テーブルに椅子

●食器やナイフとフォーク

●魔導コンロ&オーブン

●魔導冷蔵庫

●調理台

●野菜などの食材

●何種類もの調味料や自家製ソースらしき物まで


「やっぱり!師匠ったら顔に似合わず料理上手なんだわ!女子力高いじゃない!」



アンジーの期待が大当たりした。

カミラの自信は本当だったんだと確信する。これだけの器具を所持しているからには、かなりの料理の腕前を師匠が持っているはずだとアンジーは思い直して再びテンションが上がった。自然と鼻歌も出てきて

上機嫌だ。



「(^^♪~~♬~~♬」


「何だ、アンジー鼻歌なんて!」


「師匠!ごめんなさい m(__)m 」


「何がだ?」


「何でもないから師匠は料理に集中してくださいね~♬」


「じゃぁ~作ってやるから待ってろよ」


カミラは手際よく次々に料理を作っていく。


ボアのテールスープ

野菜たっぷりコンソメスープ

ボアほほ肉の赤ワイン煮込み

ボアのサーロインステーキ

さっぱりしたオニオントマトサラダ

ガーリックトースト


これだけの料理をカミラが作っている。

ボアほほ肉の赤ワイン煮込みとボアのテールスープは煮込むのに時間がかかるらしいので明日以降の食事にするらしいので、今晩は食べられないがそれ以外でも十分な御馳走だ。

調理の途中で、カミラが一番下処理に時間をかけていた肉をニコニコしながら魔導冷蔵庫にしまっている姿をアンジーは見てしまったので、まだ何か有るのでわないかと考えている。


「師匠、凄いです~。尊敬しちゃいます!こんな一面が有るなんて知らなかったですよ!」


「そうか?剣の修行ばかりで作ってやった事なかったわね。アンジーは私の事をただの大食いだと思っていたな?私は大食いだが美食家でもあるんだぞ!」


「アーロンに出会って穀物しか食わないエルフに生まれた事を恨んだんだからな。奴が次々に旨い食べ物を作り上げるから食に目覚めちまった。対抗心で料理を始めたらこんな事になってたよ」


「へぇ~そうなんですか!父上も料理好きだったんだ!初めて知りました」



父アーロンの意外な一面を知ったアンジーはもっとアーロンの事が聞かせて欲しいとカミラに色々と質問をする。

カミラはその夜、アンジーと焚火を囲みながら親友アーロンの話を夜遅くまで話してくれた。







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