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#18 恐怖上昇中

 四人が目の当たりにしたのは、第四休憩室の中のエレベーターだった。

 四角い箱。中には、手すりと等身大に近い鏡ーーそして、各階ごとのボタン。


 ゴクリーー……


 誰ともなく、唾を飲み込む。

 浦飯以外のほかは、意外にも落ち着いていた。

「まア。あるわなァ、こんぐれぇは」

 入江が腕を組み、大きく鼻から息を吐いた。

 ぶっふー~~!

「あれの次ってどんな 舞台ステージだァ??」


 五十嵐と小林が目を合わせる。

 少しばかり、楽しそうに声を弾ませて、

「「知るかよ」」

 と声を 同調シンクロさせた。


 ◆


 エレベーター内に乗り込むや、急スピードではないにしろ、上がり始めた。

 ガコン、ガッコン。


 そして、大きく揺れたかと思えばーー


「うっぎゃァ! か、壁がッッ!」


 入江が叫んだように。

 エレベターの壁が一か所、剥がれ落ちた。


 それでも上がっていくエレベターの中は緊迫している。

 風圧や火花、色んなものが四人の身体に触れる。


ぜっェ、これよォ~~全っっっっ部、剥がれるオチなんじゃあねェのかァ??」

 長い入江の髪が風であっちゃこっちゃへとなびく。

「ま。そうなっだろうなぁー」

 五十嵐が壁を確認するように拳でノックする。

「! おいィ~~たたくんじゃあねェよ‼ ヴぁかかァ!?」

 入江がキレる。

「出口~~出たら、そんな口がきけなくすっからなぁー」

 にこやかに五十嵐が応えた。喧嘩腰に。


 ◆


 そんな二人を他所に。

 小林は目の前の扉を見据えていた。

(一体、どこへ……連れて往かれるのかーー)

 そして、天井へと顔を上げた。


(ねぇ。絵里ちゃん)


 少し、考えたが。

「ま。なるようになるのかな」

 結果はこうしかならない。


 ◆


 ガゴゴゴゴゴッゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッゴゴッゴゴッゴンンんン゛ン゛ッッ‼


 想像、そして予想通りの事態が起こる。


 また壁が落っこちっていった。

 幅のない空間からどういう風に落っこちているのかは疑問だったが。


 残るのは後ろの鏡の壁面。

 左右の壁は金属やら、配線やら、火花。

 それらが勢いよく動いている。生きているようにも見えた。


「っひ! ひょえぇ~~~~ッッ!」

 浦飯が床に頭を抱え座り込んでいた。

「? 大丈夫だって。落ち着けよ、トヲル!」

「はひ??」

 入江に名前を呼ばれ、浦飯は顔を上げた。

 涙でぐちゃぐちゃだ。鼻水も出ている。


「俺が、お前も、こいつら、ボンクラもきちんと、護るからよォ~~う‼」


 にか!


 そう入江が微笑んだ。

「……入江、ちゃん」

 浦飯の目に、入江が男の姿に映っていた。

「! うんッ……うんッッ! 護って! あたしたちを‼」

「うっし! 任せとけっつ~~の!」


 浦飯が伸ばした手を入江が握り、彼女を立たせた。

 ポニーテールが大きく揺れる。


 浦飯が扉を睨み、唇を噛み締めた。


 きっとーーダイジョウブ。


 そう思いながら。

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