表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/88

#16 エレベーターはどこまでも行くよ

 第四休憩室。扉を開ければ、そこは少しのロッカーに机や椅子があるはずだった。

 だったのにーー全く、違う!


「こいつァ、すげぇんじゃあねぇのォ? 小林さ~~ん」

 入江が唇の端を吊り上げた。

「何を嬉しそうに言ってんの? 馬鹿なの? 死ぬの?」

「っはァ?! 死ぬのはアンタたちじゃあねェかよ‼」

「あ゛ぁ゛??」

 小林が不機嫌な声を出す。

「あんだよ! 事実だろォ~~がよォ!」

「本ッッ当に、君って奴はーー……」

 

 二人が火花を散らす。


「……小林さん、どう思いますかぁ? コレ」


 冷静に、五十嵐は腕を組む。そして、改めて小林に聞く。


「これは、招待か何かだって思っても、いい、んですよね?」

 小林が頭を掻く。そして五十嵐に応える。

「そうとしか考えられないでしょ。これはーー」


 第四休憩室の扉を開けたら、そこはーー


「エレベターの中だし」


 ◆


 どこに行っても、この状態が続くと判断した。

 ゾロゾロゾロ。


 小林、五十嵐、入江ーーと浦飯……??


「「いや。浦飯さんはいいから‼」」

 OBコンビが止めた。

「え~~」降りるも……おかしなことに。


 扉が閉まらない。動かない。


 ひょっとして。そんな馬鹿なことがあっていいのか???


「「……浦飯さん、乗って下さい」」


「ぅっわ~~い!」っぴょいん! 足どり軽く、浦飯は乗り込んだ。

 するとどうだろうか。


 ガッゴン! 扉が閉まった。


「ここのみんなが招待客ってことか」

 小林の言葉の語尾が強張る。

「ま。そうなりますよね~~ワロタ」

 五十嵐が、小林の肩を叩いた。

「はぁ。笑えないよ……お前と言う奴は」


「笑えば?」


 入江が吐き捨てる。


「出口も、そう思うか~~」

 五十嵐が、小さくなった入江の頭を撫ぜた。

「だってさー」

「ん?」

「どうせ、もうーー笑えなくなるんだし」


 入江は前で、腕を組んだ。


 小林と五十嵐が向かい合う。

「「…………」」

 とくに言い合うこともなく、ただ、頷く。


 その異様な空気に、浦飯は苦笑いをするほかない。

「なぁ~~んか。あたし、アウェイ感が半端ない~~」

 すこし、動機が乱れる。心拍数も上がる。


 ◆


 ウ゛ィ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ン゛!


 上へ、ずっと上へと。

「どこまで行くんスかねぇ~~? 小林さん」

「さぁ。僕が知るわけがないじゃないか」

「そうですけどねwwwww」


 どこか、愉しそうなOBコンビ。

(何か腹が立つな)

 

 ただ、この状況の打開策はない。

 浦飯が居る以上危険な真似も、出来ない。


 エレベーターは今ーー201階を通過したところだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ