表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/56

<注意>第37回小説すばる新人賞 落選作品 を改稿したものです

 天使の力を失くしたからと言って、くーちゃんの仕事が無くなったわけではありません。

 祖父江さんはしばらく仕事をお休みにしてくれましたが、三日と経たず、ごく自然に仕事を割り振ってきました。



 二月末から三月初旬を過ぎるまで、庭神町ではひな祭りと称して、大々的に地域復興イベントが開かれます。古い町並みが、竹細工や雛人形たちで飾られ、観光客も大勢やってきます。閑静な町全体が、「田舎」という衣装から、「観光地」という衣装に早着替えしたような変化に、くーちゃんは目を見張ります。



 町の宿屋は、どこもこぞって、日々満員のようです。普段にない忙しさで、どこのスタッフもうれしそうに声を張り上げていました。



 一時は悪評が広まったゲストハウス星山も、いまは元の評価を取り戻して、毎日泊まりの客がやってくるようになりました。となれば、祖父江さんだけで切り盛りするのも大変で、くーちゃんに仕事が渡されるのも、不思議ではありません。廊下の拭き掃除、大部屋の片づけ、宿泊客が使った布団からシーツを剥がしたり、それを洗濯機に入れてスイッチを押したり……祖父江さんから新しく、お風呂の掃除をするように言われたときも、くーちゃんは黙って、言われたとおりに仕事をこなしました。



 仕事をこなす間、くーちゃんは何も考えずにいられました。

 ですが、一日が終わり、お風呂に入ると、汗と埃で汚れた身体が鏡に映されます。

 鏡に映る自分がこう言います。



 ——あんたはもう、天使じゃない。



 シャワーを浴びなければ汗臭くなってしまうなんて、もはや人間とそう変わりません。くーちゃんは、シャンプーで泡立った頭を強引に振り、弱気な考えを振りほどきます。



(あたしは天使だ)



 どんなに身体が汚れても、お腹が空かないという事実は残っています。

 それに、くーちゃんは、天界に帰るという目的を諦めたわけではありません。

 ——この世で最も愚かなものはなにか。

 その答えを、意地でも見つけ出すつもりです。

 そんなわけで、くーちゃんは今日も、人間の愚かなところを見つけようと、廊下の拭き掃除に精を出しました。


閲覧ありがとうございます!

次回もよろしくお願いしますm(__)m

内容が気に入れば、どうぞ、SNS等で広めてください。


*順次投稿していきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ