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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第三章 お嬢様レベリング編
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第六話 ニコルの商品

ダンジョン行きは決まったが、その他の話しはまだ終わっていなかった。


「それで、ニコルへの報酬は何だったかな? 断るつもりでいたので、覚えておらん」


「ひどーい、お父さん。もう一度説明するから、ちゃんと聞いててよ」


そして、エミリさんは以前決めた報酬について説明する。


「おお、そうか。なんだか報酬が、少ないような気がするな」


「ニコル君は、お金があるからいいんだって。行商で儲けてるみたいなのよ」


「そうか、ニコルは欲が無いんだな」


『いえいえ、欲はありますよ。あとで、価値のある書物をしっかり見せて貰いますからね』と思ったが、口には出さない。


「今日は、伯爵家に相応しい商品を持って来てるのよね!」


「ええ、ご用意してます」


「君が何を持って来たのか興味がある。早く見せてくれ」


「はい。しかし、こちらは販売資格が無いので、売る事はできません。今回は、見ていただくだけです」と言って、魔法袋から魔法鞄を出した。


「見たところ立派な鞄だが、これがそうなのか?」


「はい、魔法鞄です」


「魔法鞄だと。性能はどうなんだ?」


既存品の仕様は、《検索ツール》で分かっていた。実際、販売用にたくさん作ってある。

しかし、それらは使い勝手が悪かった。

今回の商品は、《亜空間収納》の機能を《属性付与》の能力で作った特別品だった。


「はい。容量は、一辺十メートルの立法体ほどですね。時間経過は、通常通りあります。消費魔力は、一回の開閉で1MPを使用者から自動吸収するという仕様です」


そこに、グルジット伯爵が割って入る。


「ニコル君、何だねその魔力を自動吸収するという仕組みは。しかも、たったの1MPなんて少なすぎる」


「普通は魔導石と魔石を併用して、魔導石にほぼ毎日、容量に合った魔力を補充しなければならない」


「魔石は、魔導石の魔力が無くなった時の予備になっている」


「ダンジョン産の物とも違うし、どこで手に入れたんだね?」


『あれ、これって、不味かった? ここは惚けよう』


「えーと、これの仕入れ先は秘密なんですよ」


「あれ、その鞄ニコル君が作ったんだよね」


『あっ、言っちゃったよ』エミリさんは、今回察してくれなかった。


「ニコル君、魔道具まで作れるのかい? 信じられん性能だが、あんな魔法鞄まで」


「はい」


「君は凄いな。魔道具なら、私の経営する《魔道具工房》で売れるよ。資格もちゃんと持っている」


「え、本当ですか?」


「君さえ良ければ、私のところに商品を卸さないか? だけど、商品の性能は一つずつ確認させて貰うよ」


思わぬところで、《亜空間収納》に眠る魔道具の卸し先が現れた。


しかし、エミリさんとユミナさんには悪いが、貴族と関わりを持つのはダンジョンから帰るまでと考えていた。

お抱え行商人として、貴族街を訪れるつもりも無かった。


「お言葉は有難いのですが、お断りします。自分で資格を取って、販売するつもりなので」


「うっ、そうなのかい? まさか、断られるとは思わなかったよ。考え直してくれないかい?」


僕は、黙った。考えても、答えは変わらない。

そんな僕を見かねて、ユミナさんがグルジット伯爵を諭してくれた。


「お父様。ニコル君に、無理強いをしないでください。ダンジョンの事まで、断られてしまいます」


「そうよ、マイク君。性急過ぎると、相手は引いてしまうものよ。機を見てから、また誘いましょ」


『おっ、婦人の援護も入った。これなら、折れるかな?』


「ううっ、分かったよ。今回は、諦める」


「振られたな、マイク。元気出せ」


「うるさい。グレンだって、『仕えろ』なんて言って、有耶無耶になっただろ」


「うっ、それは」


ラングレイ伯爵が、こっちを見た。


「なあ、ニコル。私に仕えないか?」


「お断りします」


「ほら、お前も断られた」


「ぐぬぬっ」



この後、日程の話しや往復の足の話しをした。

《転移魔法》の事は内緒にしたので、馬車は僕が手配すると言ったら、その分のお金が貰える事になった。


それとは別に、エミリさんとユミナさんからのリクエストで、ダンジョンで使えるウエストポーチ型の魔法鞄の発注を受けた。

これは、販売資格の無い僕が、グルジット伯爵に卸すという形にして貰った。


その他の細かい事は、出発までに詰める事になった。


夕食に誘われたが、村人の僕は貴族様と食卓を囲うなんて、恐れ多くて断ってしまった。



今は、貴族街の門の外にいる。

エミリさんとユミナさんに馬車で送って貰って、別れたところだ。


「あーあ、今日は疲れたよ。シロンは今日、大人しかったな」


「貴族の屋敷は、緊張するニャ」


「なんだ。お前も、大変だったんだな」


「ご主人ほどじゃ無いニャ。お疲れ様ニャ」


「ありがとう。借家に帰ったら、撫でてやるよ」


「嬉しいニャ」


そんな他愛の無い話しをして、借家へ転移で帰った。


夕食の後、約束通りシロンを気の済むまで撫でてやった。

魔石は、魔物から獲れる魔力の電池。

魔導石は、錬金術で作る魔力の充電池という設定です。


この他に魔結晶石があり、ダンジョンで採れる魔力を含んだ石です。

魔石と同じで、魔力の電池という扱いです。

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