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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第三章 お嬢様レベリング編
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第五話 胃が痛くなってきた

倒れていた伯爵達が、起き上がってきた。


「ニコル、まだだ。私は、負けてないぞ!」


「私だって、負けていない。ニコル君、行くぞ!」


僕の心配をよそに、二人は戦闘を望んでいた。


『どうやら、死刑は無さそうだ。でも、もう一度伯爵を相手にするのは御免だ』


僕が返事に戸惑っていると、ラングレイ伯爵婦人のエマさんが、割って入る。


「グレン! あなたは負けたの。素直に認めなさい。みっともないわよ」


「いや、まだ体は動く。負けは認めん!」


「グーレーンー!」


ラングレイ伯爵は、不遜な顔をしている。


「マイク君! マイク君も諦めてちょうだい。ニコル君が、困ってるわ」


今度は、グルジット伯爵婦人のソフィアさんが、伯爵を宥めている。


「ソフィア。私は、ニコル君の魔法をもっと見たいんだよ」


「マイク君!」


グルジット伯爵は、しょんぼりしている。どうやら、婦人には弱いらしい。


「ちょっとー、もう実力は充分に見れたと思うんだけど!」


エミリさんも、間に割って入った。


「「いや、まだだ!」」


「伯爵自ら、ここまでする事ないでしょ! それに、いくらやってもニコル君に敵わないわ!」


「「ぐぬぬっ」」


この説得は、まだしばらく続いた。


◇


説得は、ユミナさんの《お願い》で終った。

やはり、僕以外にも凄い効き目だった。


今は、広めの応接室にいる。

僕の足元では、シロンが横になっている。


「君は何者なんだ。剣も魔法も普通ではないな。まだ、本気も出していまい」


「私は農家の次男で、今はただの見習い行商人です」


「そんな筈は無い。エミリ、君は知っているのだろう?」


「えーと、そこは口止めされてるんで」


『あれ、エミリさんに口止めしたっけ? まあ、察してくれたんだろう。だが、その言い方じゃ、知っていると言ってるようなものだ』


「そうか、知っているのだな。だが、今はエミリの顔を立てて、無理に聞き出すのは止そう」


ラングレイ伯爵が、にやりと僕を見詰める。

その様子を見て、『エミリさんは、きっと父親に似たんだな』と、思った。


「それでだ、ニコル!」


ラングレイ伯爵が、眼光鋭く僕を見据える。


「何でしょうか?」


「ラングレイ家に、仕えろ!」


「えっ!」


「グレン! ちょっと、待て!」


「何だ、マイク」


「ニコル君は、私が先に目を付けたんだ!」


「馬鹿を言うな! 今日、初めて会ったんだろう。私が先に、目を付けたんだ!」


「ニコル君のあの魔法を見ただろ。威力を抑えたとはいえ、私の《テンペスト》を押し返したんだぞ。《雷撃》を連続で防ぎきった《無詠唱》の魔法盾の早さと強さと対応力も素晴らしかった!」


「それを言うなら、彼は《大剣豪》の称号を持つ私の剣を受け切り、あまつさえ私を吹っ飛ばしたのだぞ!」


「マイク君、ニコル君はユミナちゃんのお婿さんにいいと思うの。ユミナちゃんの態度を見ていて、ピンときたわ!」


「あら、ソフィア。うちのエミリも、仲よさそうにしていたわ。それにこの子、凄くかわいい。私の好みよ!」


みんなして、勝手な事を言い出した。


「ちょっと、みんないい加減にして! 今日は、そういう話しで来て貰ったんじゃないんだからね!」


「「「「いいではないか(じゃない)!」」」」


「何、四人でハモってるのよ! 今日は、夏休みにダンジョンに行く為に来て貰ってるの!」


「それは、分かってる。だが、これだけの逸材を、ほっとけないだろう」


「そうだぞ、エミリちゃん。ニコル君は、私と魔法について語り明かさねばならん。私の魔法も伝授するつもりだ」


「エミリはニコル君の事、正直どう思ってるのかしら?」


「ちょっと、お母さん」


「ユミナちゃん、負けちゃだめよ。恋愛は、積極的に行かなきゃ後悔するわよ。ガンバって!」


「お母様」


『もう、帰ってもいいかな?』僕は、そんな事を考えてしまう。


一方シロンを見ると、暇そうに欠伸をしていた。



「兎に角だ。ニコルの実力は問題無い。だが、三人だけで行くのか?」


「何か問題あるの?」


「いや、ほら、エマはああ言ったが、彼も男だぞ。何かあったらどうするんだ。せめて、戦闘メイドでも同行させないか?」


「ダンジョンは、人数の少ないほうが成長が早いんでしょ。それに、ニコル君はそういう人じゃないって、この目で視たの!」


「それを言われるとだな、否定できなくなる」


「あなた、認めてもいいんじゃない。何かあったら、ニコル君に責任を取って貰いましょ」


「うちもいいわよね。マイク君」


「うっ、そ、そうだな。ユミナ、気を付けるんだぞ」


「ありがとうございます。お父様、お母様」


「お父さん。うちもいいよね」


「分かった。認める。ニコル、二人には怪我一つさせるなよ」


「えっ、ダンジョンに行くんですよ。怪我くらいしますよね」


「それでもだ!」


「分かりました」


僕は渋々了承した。


『あーもー責任重大だ。胃が痛くなってきた』


前世で、神経性胃炎になったのを思い出した。

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