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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第五章 エシャット村発展編
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第三十四話 ニコルの誤算

二人の事を父さんに相談すると、正式に養鶏場で働く事が決まった。


今は養鶏場に戻り、二人に仕事の内容を、説明しているところだ。


「へー、飼育するのは、ニコルが仕入れてくる鶏肉とたまごのご先祖なんだ。この仕事が上手くいけば、いつでも食べれるって訳だな」


「そうなんです。正式には《赤色野鶏》と言いますが、僕は《野鶏》と呼んでます」


「ふーん、赤色野鶏か。ところで、ニコル。その赤色野鶏は、どこにいるんだ?」


《亜空間農場》から野鶏を移す前だったので、まだ養鶏場は空だった。


そんな状況を、ダリルさんに追及されてしまった。


「やっぱり、気になりますよね」


「ああ、建物が空だからな」


「野鶏のいる場所は、分かってるんですよ。遠いですけど、明日にでも捕まえに行きます」


「それなら、僕手伝うよ!」


「俺も行こう」


「二人共気持ちはありがたいけど、僕一人で大丈夫です」


「えー!」


「エレン。ニコルがこう言うんだったら、大丈夫なんだろう。我侭を言ったら駄目だ。諦めろ」


「分かったよ、父さん」


ダリルさんは、僕の事を過剰に評価してるような口振りが時々ある。

僕はウソを吐いてるので、少し後ろめたかった。


僕は《亜空間農場》の秘密を守る為、再び旅に出る事になった。



二週間後、エシャット村に野鶏を持ち帰る日になった。


その間、《鳥かご型荷車》を作ったり、王都やノーステリア大公爵領に行って商品を卸した。


その他の日は、プラークのダンジョンで過ごした。

そのお陰で、ドロップ品が大量に溜まってしまった。


そして今は、野鶏を《亜空間農場》から鳥かご型荷車に移しているところだ。


「あれ? たまごが一個も無いぞ。殻も無い」


今頃気付いたのかと思うだろうが、今まで結構忙しかったのである。


そこで《検索ツール》で、野鶏の産卵について調べてみた。


「何だ、そうだったのか。野鶏って、たまごをあまり生まないんだ」


元々野鶏は、春に十数個しかたまごを生まないそうだ。

たまごをほぼ毎日生む《鶏》は、品種改良した賜物らしい。


「ご主人、大丈夫か二ャ?」


「ヒヒーン!」


「たまごを産む数が少ないと、育てるのに経費ばかり掛かって、スーパーに卸せないんだ」


「ご主人」


「ヒヒーン!」


僕はエシャット村の近くに転移し、沈んだ気持ちのまま馬車を走らせた。



ワン太に迎えられ、エシャット村に到着した。


「ただいま」


「ワンッ!」


その足で養鶏場に向かうと、ダリルさんとエレンがいた。


「ニコル、お帰り」


「ニコルにーちゃん、お帰り」


「ただいま。ダリルさん、エレン」


「ニコル。なんだか、元気無いな」


「えっ! ハハッ、分かります?」


「まあな」


「ニコルにーちゃん、どうしたの?」


僕は二人に、野鶏の産卵について話した。



「ニコル、落ち込む必要無いぞ。これだけ、野鶏を持ち帰ったんだ。狩猟組より、よっぽど凄いじゃないか」


「そうだぞ、ニコルにーちゃん」


「二人共ありがとう」


「エレン、仕事だ。馬車から養鶏場に、野鶏を移すぞ」


「うん、分かった」


僕は二人の前向きさに、励まされた。


錬金術に《品種改良》の能力はあったが、植物にしか使えなかった。


僕はこの二人と、『年月を掛けて、少しずつ改良できればいいのかな』と思った。



翌日、養鶏場に来ていた。


「コケー! コケー! コケー!」


「コケー! コケー! コケー!」


「雄同士は、仲が悪いな。一羽ずつケージにいれるか?」


「どうしよう。ニコルにーちゃん?」


「捌いて肉にしちゃえば、いいんじゃないか?」


「ニャー、ニャー、ニャー」


「「コケッ?」」


一瞬、野鶏の動きが止まった。

しかし次の瞬間、羽ばたきながら僕の前から走り去った。


「コケッ! コケッ! コケッ!」


「コケッ! コケッ! コケッ!」


「あれ? 喧嘩を止めて、慌てて逃げたぞ」


「ニコルの言葉が、通じたみたいだな」


実はシロンが、僕の言葉を野鶏に通訳していた。


「雄鶏は少ないから、そんな事したくないんですけどね」


たまごを当てにしていたので、雄は全体の一割だった。


「それじゃ、任せても大丈夫ですかね」


「ああ、何かあったら呼びに行く」


「任せてよ!」


僕は養鶏場を後にし、一旦自宅へ向かった。


するとそこには、サジとスギルがいた。

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