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やりたい事をやる為に  作者: 千月 景葉
第一章 黒き森
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83. ホームルーム

お読みくださりありがとうございます。


話し合い回です。主人公が羞恥に七転八倒します。長めです。

 朝食時、食堂に現れたミラベルは少し眠そうだった。寝る前の言葉通り、色々と考えたようだ。

 昨日より表情に翳りは感じられなくなっていた。ただ、表情には翳りが無くとも、目の下に隈と言う陰りがうっすらと出来てしまい、加えて欠伸を連発していたので寝不足をコレットに指摘されていた。


 朝食後、兄弟全員で小屋の勉強部屋に向かう。

 今日はディルクも迎えには来ない。

 クロエはコリンと手を繋ぎ、ちょこちょこと歩いて兄姉達と小屋に向かう。

 勿論根本的に足の長さの違いが有るので、長兄と姉は立ち止まって弟妹を待ちながら少しずつ歩を進める。

 クロエは一生懸命くっついて、兄姉の足止めをならないように急いで歩こうとするが、コリンがクロエが慌てて転けたりしないように、しっかりペース配分をしているのでそれ程スピードアップ出来てない。

 足の長さが違うので、クロエの考えそもそもに無理がある。

 しかし彼女の気持ちと努力は兄姉には十分伝わっている。皆に伝わりすぎて、敢えてコリンがブレーキ役になっているのだ。

 ……何せクロエの歩き方を見ていると、危なっかしいことこの上無いから。



 小屋に着きライリーがノックする。

 中から「おはよう。入りなさい」とディルクの声がした。

 4人は扉を開けて中に入り、勉強部屋に向かう。勉強部屋の扉は開いていて、そのまま進んだ。

 部屋の中に入るといつもの机はなく、丸く配置された椅子が5脚あるだけだった。

 ディルクは子供達を椅子に座らせ、ある紙を渡す。

 自分も椅子に座ると話を始めた。

「さて、今日は授業と言うより或る話を元に皆で話をしよう。

 話の内容はその紙に書いてある。

 儂が話すと声の調子で先入観が出来てもイカン。

 今から紙の内容を各々読んでくれるか?

 読み終わるまで待つからの。

 では、始め」



 暫く皆無言だった……と言うのは嘘で、コリンが

「先生、ここ解んないや。教えて下さい」

 とか

「えっ、そうなの?……まさか、これって、これって……」

 と言う声が何度もして、最後読み終わったコリンが椅子からガタッ!と立ち上がり

「先生っ!これって僕の事じゃないんですか!僕、僕は貰われっ子なんですか?!」

 と叫んだ。

 コリンの思いもよらない反応に、ディルク以下その場の者は皆口をポカーンと開けて、呆気に取られてしまった。

 実は子供達に配られた紙には、昨日クロエにディルクが話して聞かせた話が書かれていたのだ。

 勿論、あの話はクロエを元にした話で実際にはディルクにそんな部下は居ない。

 しかし現実にジェラルドから協力を求められ、今クロエをシェルビー家の者達と守る立場に立っているディルクからしてみれば、嘘とは言えない。

 紙に書かれた内容を読んで、ライリーとミラベルは直ぐにクロエを脚色した話だと理解した。恐るべき兄妹である。

 クロエは自分がモデルなんて解る訳も無いが、紙に書かれていたのが昨日ディルクから相談を受けた内容だったので首をかしげた。

(先生、幾ら部下とは言え、人の悩みをこんな形で教材の様に使って良いの?

 そんな、人の苦しみを利用するような……。何だか嫌だな、こんな……)

 と顔をしかめる。

 顔を曇らせるクロエに気付いていたディルクは、さりげなく側に近寄り

「すまんなクロエ。実は昨日の話は今日の布石だ。儂には元々そんな部下は()らん。居るのは、あのすっとぼけたジェラルド位じゃ。

 少々其方を騙す事になったが、ま、許せ。未来有るシェルビー家の子供達の為だ、協力を頼むぞ?」

 とアッサリ白状した。

 クロエは飛び上がり、目を丸くして

「なっ?!」

 とディルクを睨み、慌てて口を押さえる。ディルクが口に指を当てて、騒ぐなと合図をしたからだ。

 兄姉の為と言われれば甘受するしかないが、しかしそんなことをする理由も未だ解らないので、気持ちはモヤモヤするが取り敢えずは騒がずにディルクを睨むだけに(とど)めた。



 問題は妙な勘違いをしてしまったコリンである。

 考えてみれば紙に書かれた状況に一番符合するのは、実はコリンなのだ。

 コリンもある程度読解力が付いてきたので、内容は少しディルクの補足説明を受けただけで飲み込めた。

 飲み込めたのは良いが、読めば読むほどこの弟が自分のように思えてならなくなってきたのだ。

 折しもはるばるインフィオラーレからオーウェンがやって来ることになっているし、合致することばかり。

 ライリーの出来が良すぎるので、コリンは少し兄にもコンプレックスがあるのは周知の事実。ただ今は兄だからまぁしょうがないとも考えている。

 それでも時々、自分は何で兄や姉や妹と比べてこんなに出来ないんだろうと彼も思うことがある。

 まぁ、主に妹と比べてだが。

 姉と妹はこの際置いとくとして、出来の良い兄と似ていない自分は貰われっ子?!と何故か重ね合わせてしまった。

 1度思い込むとその考えが頭の中を支配し始める。

 で、コリンはとうとう叫んでしまったのだった。

 惜しむらくは自分がガルシアに瓜二つである事実をしっかり忘れていることだ。

 何せそばかすが無ければ、ガルシアのミニチュア版なのだから。

 寧ろライリーのがそう似ていない。

 ショックの余り半泣き状態のコリンに、我に返ったディルクは1つ咳払いをすると

「思わぬ反応だな……。

 コリンや、まあ座れ。どうしてそう思ったのじゃ?先ず、それから話をしていこうかの」

 と彼を椅子に座らせ、自身も椅子に座る。

 ヘナヘナ~と椅子に座ったコリンは震える声で

「だ、だって僕の今とそっくりです!お兄ちゃんが出来が良くて優しいし、で、遠くから実のお兄ちゃんらしき方が来る予定だし!ぼ、僕ってアナスタシア様の子供なんですか?!

 な、何となくだけど僕ってミラベル姉ちゃんと比べて大人しいし、前々から僕って姉ちゃんに比べて上品だって感じてたし。兄ちゃんは僕と同じ位上品だけど。だから、アナスタシア様の雰囲気に僕って似てたりしてって……。

 ……あ、あれ?それって、それってよぉく考えたら……ちょっぴり嬉しいかも……って、痛っ!痛いっ!ミラベル姉ちゃん、何で叩くの!」

 と横に座ったミラベルからの思わぬ攻撃に頭を庇う。

 ミラベルが鼻息をフンッ!と荒く吐き出し

「黙って聞いてて腹立ったからよ。誰がアナスタシア様の子だ、誰がっ!

 鏡を見てごらん。アンタは父さんと瓜二つ!出来の良い兄さんが居るのと、たまたまオーウェン様が視察に来られるってのは確かに状況が似てる感じはするけど、ここに書かれた弟って子がアンタの訳が無いでしょっ。

 第一もしそうなら、あのオムツ騒ぎの時に面倒見きれませんって、アナスタシア様にアンタを突き返してるわっ!

 アンタは残念ながらウチの子でどこにも返すところが無いから、泣く泣く皆でアンタを真人間に戻すべく頑張ったんじゃないの!

 おまけにアンタがアタシより上品で大人しいですって?なに寝ぼけたことを言ってんのよ、アンタよりアタシのが上品に決まってんでしょーが!そー言う事をアンタにだけは言われたくないっ!

 全く!もう少しマシな意見を言え、この馬鹿っ!」

 と拳を握り締めてワナワナ震えながら力説する。

 コリンが姉を見上げて

「ほ、ほら直ぐ叩くし!これって僕が貰われっ子だから苛めてるんじゃないのっ!意地悪な姉が、か弱い貰われっ子の僕を苛め……痛いっ!」

 と又頭を抱える。

 ミラベルは容赦なく再攻撃を落とした。

「未だ言うか、この美人好きの馬鹿弟っ!どこまで馬鹿なのっ!

 ああ、確かにアンタだけ違う家の子だったら、アタシこんなに怒りっぽくならなかったわね……。ホントに疲れるわ、アンタの相手は」

 とおでこに手の甲を当て、上を向いてフルフルと頭を小さく振るミラベル。

 その様子を見ながらライリーはクスクス笑い、クロエは驚いた顔で見守り、ディルクは楽しい寸劇を見ているようにニヤニヤ笑う。

「あ~コリン?今の其方に言うのは気が引けるが、儂は其方がガルシアとコレットの息子だとハッキリ言えるぞ?特に其方の場合、魔力がとてもガルシアと似ているんじゃ。ここまで似てると流石に親子だと判るわい。ライリーとミラベル、クロエは各々ガルシアと大分違うが、其方に関しては本当にそっくりだ。

 だから残念ながら其方はアナスタシア嬢のお子ではあるまいよ、コリン」

 とディルクはコリンに話す。

 コリンはディルクを見つめ

「え~っ!そんなに似てるの~?何か安心したけど、ちょっぴり残念な気が……。

 でも、そっか!僕父さんとそっくりなんだ!へへっ!」

 とやはり安心したのか嬉しそうにするコリン。

 ディルクは微笑みながら頷き、子供達を見渡して

「さて、皆読めたようなんで話に移るとしよう。何故こんな話を皆に読んでもらったか。今日は人との繋がりについて考えて貰いたいと思うての。

 其方達は家族じゃ。人の繋がりの中で一番最初に築かれる繋がり、つまり血で繋がった血縁と言う関係じゃな。

 で、其方達は余り外と繋がりが出来にくい環境下にある。両親の仕事上、それはしょうがないことじゃ。

 だが、一番密度の高い家族の繋がりしか知らないと云う事は、社会性、つまり家族以外の者と交わり繋がる力を弱めやすい事も又事実。

 これは其方達が生きていく上で決して良いことではない。寧ろ弱点となる。

 本当はもっと人が多い所で実体験しながら社会性を学ぶのが一番良いが、それは其方達がもう少し大きくなって巣立つ迄この家の場合は無理じゃ。それ程にガルシア達の仕事は重要克つ優先せざるを得ない物なのでな。

 だからせめてこういった形で皆で話し合い、想像し、考え方の柔軟性、つまり柔らかく色んな事にぶつかっても拒絶せず立ち向かって他の人と繋がりが作れるように其方達の社会性の育成を手伝いたいんじゃよ。

 2年経たぬ内に先ずはライリーが州都に旅立つ。次いではミラベル、そしてコリンと何れは皆巣立っていく。

 その時に孤立せぬよう、又人に流され過ぎないよう、其方達らしく生きて他の者と交わり繋がりが作れるようにしたい。

 その為の講義なんじゃよ。解るかの?」

 と言葉を切る。

 クロエはディルクを見つめながら

(確かにそうね。ここには他に子供がいない。大人すらいないもの。余りにも狭い世界だわ。先生、そこを懸念されていたなんて流石だな。

 こうやって家族とは言え、自分とは違う人の考えを同じ題材を元に話し合い、耳を傾けるこのホームルームのような講義は、この家では重要かもしれないわ。

 考え方の柔軟性を育てるか)

 と内心で感銘を受けた。

 ディルクは又話し出す。

「さて、講義の狙いを話し終えた所で進めようか。

 この話を読んだ其方達に考えて欲しいのは、血の繋がらない兄の気持ち、会いに来た実の兄の気持ち、何も知らされていない弟の気持ちだ。

 先ずは血の繋がらない兄の気持ちをどう考えるかの?皆がこの兄の立場ならどう感じる?血の繋がらない可愛い弟や会いに来る実の兄をどう思うか、何でも良い。ライリーはどうじゃ?」

 と先ずはライリーに聞く。

 ライリーは一瞬戸惑った顔を見せ、目を伏せ暫く黙った後話し出した。

「そう……ですね。僕がこの血の繋がらない兄だったら、同じ様に弟を受け入れ愛します。自分が大事に思う分だけ、相手も自分に思いを返してくれると考えたいから」

 と考え考え言葉を紡ぐ。

 ディルクは頷き、ある質問を返す。

「そうだな。受け入れ、大事に思い相手と繋がる。大切なことだ。

 では、ライリーは相手が思いを返してくれるから愛すのかな?全く懐いてくれなかったり、嫌がられたりするとどうだ?見返りはないとしたら?」

 とニヤリと笑って切り返す。

 クロエは口を押さえ

(わ、何て質問!これはキツい切り返しよ。ディルク先生容赦ないな。さてお兄ちゃんはどう答える?)

 とライリーを見守る。

 ライリーはグッと顎を引き眉を寄せ目を伏せて考える。

 その間にコリンが口を挟む。

「そんなの嫌だな。僕なら優しくしたのに嫌がられたりしたら、嫌いになるよ!だっておかしいじゃないか。可愛がって貰っているのに、懐かないなんてさ。ちっとも良いこと無しで、損した気になる!」

 と憤然と意見を述べる。

 ディルクはニヤリと又笑い、コリンの意見を掬い上げると

「なるほど、コリンの気持ちはそうか。確かに嫌だのう。優しくしても相手がそれに対して同じ優しさを返してくれないのは悲しいし、腹が立つし虚しい。

 ではコリン。懐かない弟にはもう何もせんのか?一緒に居るのに放ったらかしか?それともうさを晴らすために小さな弟を苛めるか?いっそ、懐かないなら返してしまうか?」

 とこちらにも切り返す。

 コリンはえっ!と言葉を詰まらせる。

 ミラベルが助け船とばかりに意見を言う。

「何故懐かないか、ですよね。自分の行動が独りよがりで、実は弟には嫌な思いをさせていたのかもしれない。だからどうして嫌がるのか弟に聞いてみます!

 それで又考えて、弟に向き合います」

 とミラベルが言う。

 ディルクはミラベルに問う。

「弟が未だ満足に喋れない赤子なら?

 又喋れるならば、気持ちを直ぐに教えてくれるとは限らないぞ。懐かない位に反発しておるような子じゃ。聞いても黙り込むかもしれん」

 ミラベルもグッと顎を引き、口に指を当てて考え出す。

 クロエは兄弟をハラハラしながら見つめている。ディルクは片方の口角を上げ、シニカルな微笑を湛えながら子供達を見つめる。

 やがてライリーが目を上げてディルクに答える。

「見返りはなくとも大事にします。いつかは心を開いてくれると信じて。

 例え嫌がられても、そんな時は少し離れて見守ります。だって自分の気持ちが納得できない。1度受け入れた弟はやはり弟だから。

 それで悲しいけどやっぱり懐かなくていつか弟が僕から離れても、僕は弟が大事です。いつまでも弟を待ちたいです」

 と話した。

 ディルクはライリーを見つめ頷く。

「そうか。其方らしい答えじゃな。辛い選択かもしれぬ。でも自分が納得できないなら敢えてそれを選ぶか。なるほど」

 とライリーの答えを受ける。

 次にライリーには別の質問の矢を放った。

「では、次にライリー。嘘を可愛い弟に付いていることについてはどうか?もう1つ、実の兄に対しては血の繋がらない兄としてどう思う?」

 これにはライリーが直ぐに切り返す。

「嘘は突き通します。例え自分の中で弟に真実を打ち明けたい気持ちがあっても、それが弟を混乱させない為ならば。弟に知らせる時が来たら、その時に詫びます。受け入れたのは自分だから、それに伴う苦しみは自分の物です。弟に見せるものではない。そうですね、この場合父に愚痴るかな。誰か秘密を共有している家族に弱音を吐いて又気持ちを立て直します。

 実の兄に対しては誠実に向き合います。そして安心して貰いたい。……彼も苦しんでいるだろうから。会いに来てあげてくれた、その事に感謝したい。弟の為に」

 とハッキリ言い切る。

 ミラベルはハッと顔を上げ、ライリーを見つめる。

 ディルクは微笑み頷く。

 ミラベルはライリーを見つめたまま、唇を噛み締め下を向く。そして1つ息を吸うと微笑み頷いた。

 コリンが少し迷った顔で

「で、でも嘘は良くないよね?嘘は悪いことなんでしょ?

 ねぇクロエはどう思う?ずっと黙ってるけど」

 とクロエに水を向ける。

 クロエは困ったように笑い

「えっ?ど、どうかな~?む、難しいよね~」

 と口を濁す。

 そこでディルクの目がイタズラっぽくキラリと光った。

「フム。クロエは中々恥ずかしがって自分の意見を言わないのう。

 実はな、一番年下のクロエは兄姉の其方達に気後れして意見を述べぬかも知れんと思うての、ちょっとある方法でクロエの意見を事前に記録してある。

 嘘についてじゃな。さて、クロエの意見はどうだったかな……。クロエの声が聞ける魔術法具じゃ。さぁ意見を聞いてみようかの?」

 と盤式の魔術法具を出してきて、皆に見せる。

 三兄姉はうわぁ!と感嘆の声が、末妹からはウゲッ!と言う声が上がる。

「せ、先生?!な、何で?!恥ずかしいっ!止めてください~っ!」

 とクロエが慌てふためき、椅子から落ちた。

 慌ててミラベルがクロエを抱き起こし

「大丈夫?そんなに焦らなくても~。クロエの意見、アタシ聞きたいし!」

 とニッコリクロエを励ますように笑う。

 ディルクは頷き

「そうともそうとも。やはり皆で意見は出し合うべきじゃ。しかし恥ずかしがっとるおチビさんに、無理に言わせるのは儂も好かぬ。で、音や声を留めて置くこの魔術法具の出番な訳じゃ。

 儂も久し振りに使うたわい。……よし、ここじゃ!」

 と法具を発動させた。

 やがて法具が光り出し、魔術が発現する。

 そしてその光る法具から

【 嘘だって、その弟さんの心を守るための嘘でしょ?アタシ嘘には醜い嘘と優しい嘘………】

 とクロエの可愛らしい声が流れてきた。

 クロエは顔を赤くしてわたわたとミラベルに抱えられたまま、不審な動きをしつつ涙目になっている。

 三兄姉は目を輝かせながら法具を見つめ、クロエの声を聞く。

 嘘についてのクロエの意見が終わると、ディルクは一旦法具を止めた。

 クロエは完全に羞恥の余りグタァ~と疲れきっていた。

 ライリーとミラベルの顔は目に見えて明るくなり、コリンは目を丸くしてクロエを見つめる。

「クロエ、凄いなぁ!そんな事まで考えてたんだ!な、何かやっぱり僕負けてる~っ!先生、クロエの意見、他に無いの?僕聞きたいっ!」

 とコリンがディルクに頼み込む。

 クロエがグタァ~としながらも、コリンに手を伸ばし

「お、お兄ちゃん……や~め~て~……あ、アタシ恥ずかしくて死んじゃう~!」

 とコリンを止めようとする。

 しかしそんなクロエをミラベルとライリーが止める。

「何で?!とっても良い意見じゃないか!僕も聞きたい、な、ミラベル?」

 とライリーが目を輝かせてミラベルに聞き、ミラベルも大きく頷きながら

「うんっ!何かクロエには申し訳無いけど……でも、聞きたい!ごめん、クロエ耐えてっ?!」

 とディルクを見つめる。

 ディルクは頷きながら

「フム。これはしょうがないのう。クロエよ、兄姉の為じゃ、許せよ?

 確かな、クロエが其方達を思うて意見を言うた下りが有ったんじゃよ。儂も其方達に聞かせてやりたいと思うてな~。

 えーと、どこじゃったかな……ほい、ここじゃ!」

 と又法具を発動させた。

 クロエの口から力無い声で

「や~め~て~……こんな、うわぁ……アタシ今、恥ずかしさで死ねる~……」

 と床に頭を抱えて丸くなる。

 光り出した法具からは又クロエの声が流れ始め

【 例えばアタシなら、ライリーお兄ちゃんやミラベルお姉ちゃん、コリンお兄ちゃん………】

 と、例えもし血が繋がらなくとも、兄姉をずっと変わらず好きでいると言い切る下りが聞こえてきた。

 三兄姉は目を輝かせて声に聞き入り、クロエは益々小さく丸く頭を抱えて縮こまる。

 ミラベルがクロエを抱き起こし、半ば羞恥の余り白目になっているクロエに抱き付き

「アタシもっ!アタシもよっ!もし血が繋がって無くっても、クロエが大好きっ!アンタが大事よっ!ありがとうーっ!」

 と力一杯抱き締める。



 結局、転生とかそう言う不味い部分は除いた全ての話を兄姉に聞かれ、講義終了後感動した兄姉が代わる代わる羞恥で魂が抜けたようにグッタリした末妹を抱き上げて森の家に帰って行った。

 ディルクがその姿を見送りながら

「まぁアレでミラベルも落ち着いたじゃろうて。追加の薬は未だ時間が掛かるしな。

 ……しかしあの面白娘、次の講義の際がうるさいじゃろうな。少々やり過ぎたしの。ま、噛みついてきたら迎え撃ちすりゃエエわ!」

 と言いながらカカカと笑った。



次話は明日か明後日投稿します。

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