273 純粋なアオ
「え? ヘアピンを貸してほしい?」
俺は休み時間、四年の凪にヘアピンを貰いに行った。
あんな奴が隣の席だなんて耐えられない! じめじめしてるしすぐ泣くし、扱いずらい!
凪の後ろにいる四年女子のニマニマとした表情にはなるべく意識を向けないようにしている。
俺は、凪の彼氏ということになっているからだ。
「別にいい……ですけれど」
そう言って凪はヘアピンが入っているポーチを取り出した。
中には、淡い色のペンや、頭痛薬なども入っていた。
「鏡さんが使うの……ですか? 今もピン付けてますよね?」
「いや、使うのは俺じゃないよ。じゃ、ありがと」
ぎこちない敬語を使いながら首をかしげる凪の質問には答えず、四年の教室を後にした。
・・・
「ひっ」
俺が目の前に立った瞬間、弥月は小さな悲鳴を上げた。
休み時間、近くのクラスメイトと話すわけでもなく、自分の席で俯き、黙っていた彼女に対し、何も言うことは思い浮かばなかった。ただ黙って彼女を見下ろし続ける。
「ご、ごめんな、さ……」
すぐ謝ろうとする弥月の顔を無理やり上げさせる。
弥月は「ぇ、あの……」とかすれた声をあげたが、あまり抵抗はしなかった。
凪から借りたヘアピンを使って、弥月の前髪をあげる。
しかし思ったより量が多くて、もらってきた分では足りなかった。
仕方がないから、今自分が使っているピンも外す。
(やっぱり、黄色なのか緑なのか分からない、微妙な色だな)
そんな事を思いながら、最後の前髪を止めようとしたとき、俺は思わず手を止めてしまった。
彼女の目の、色が――
手からヘアピンが落ちて、キンッ、と高い音が聞こえた。
彼女の眼の色は、困惑の色に染まっていた。
困惑に染まった、綺麗な、水色の、目だった……。
「……………綺麗だ」
思わずそうつぶやいてしまって、数秒してから自分が言葉を発したことに気づいた。
弥月は数秒黙った後、さらに驚いて表情を変えた。
「……ぅえ!?」
トマトかと思うほど、赤い顔。
普通ならその優れた容姿に目が行くが、俺は違った。
その曇りない、綺麗な青に惹かれたのだ。
今日(10月10日)は姉の誕生日です!
ナ「え……? 何言ってるのキキ、今は正月じゃないでしょ?」
あ、ナレーターさんの生きてる時代は正月に年齢が変わるのか。白銀もそうだよね?
白「そうだね」
作「〽ハッピバースデーテゥーユー……HappyBirthday、マイビッグシスター! ……だよね?」
知らん。
ナ「俺も」
白「私も知りません」
作「そんなぁ!」
あはは……というか、みんなは、金髪碧眼の人には出会ったことありますか?
ナ、白「……………」
あ、ごめん。二人は、ないよね。時代的に。
作「私は……ない」
そっか……。つまんない。ぞっとしないなぁ……。




