253 狐の窓 章終わり
そうして、修学旅行は終わった。
桜井弥一についての情報はほとんどなかった。それでも、なかなかに楽しい旅になった!
僕は満足感に包まれながら、帰りのバスに乗った。
帰りのバスは何やらルールがあるわけでもないため、寝る人もいる。
帰りのバスに乗って、窓の外を眺めていた。
数分ボーっと外のバスに合わせて流れていく景色を見ていると、馬場さんに横から話しかけられた。
「ねね、陸知ってる?」
今回の修学旅行で、馬場さんに呼び捨てされるようになった。
「なにが?」
僕は疲れがたまっており適当に返すと、馬場さんはワクワクしながら指で変な窓の形を作り、そこから僕を見る目が覗いていた。
「……なに? それ」
「ええ? 知らないの?」
僕は馬場さんからその変な窓へと視線を動かした。
「狐の窓!」
「狐の窓?」
「そう、最近私ハマってるの。なんか、この窓越しでしか見えない景色があって……陸も試してみて!」
「……わかった。どうやるの?」
そう答えると、馬場さんは嬉しそうに説明を始めた。
安藤さんも佐藤も、こういうの興味なさそうだし、説明したかったんだなぁ……。
・・・
馬場さんのおかげで、あんまり使わなそうな知識が増えたよ。
それにしても狐の窓……狐と言えば、妖には妖狐という種類がいたような……。
その時、バスが信号で止まった。
僕は暇つぶしのごとく狐の窓を作り、その窓を通して外を見た。
すると、僕が鬼の妖だからなのか、外を歩く人々に変化があった。
狐の窓を通すと景色が全体的にこう……暗くなって、歩いている人の背後に、何かある人とない人がいた。
ある人は黒い影を背後につけており、疲れた表情をしている。呪われている、というのはああいう人の事を言うんだろうか?
またある人は背後に白く光り輝く霊を付けており、ああいうのを漫画では、守護霊と呼んでいた。
ただ、ほとんどの人は何も憑いていなかった。
「……ん?」
歩いている人の中に一人、知っている人がいた。
あの人は確か……神社生まれの!
「斎宮霖真、ゲーム登録名『焔狐縁』……?」
縁さんだ!
彼の背後には、珍しくはっきりと人の形を保っている者が付いていた。
怨霊や守護霊とは違う、耳と、尻尾を持った……。
「……………狐だ」
妖狐の霊が憑いている!
だから、彼は霊力が強かったのか?
そんな疑問が残ったまま、車は動き出し、あっという間に縁さんは見えなくなってしまった。
私、後書き執筆日(九月二十八日)にBalloonをもらったんですけど……。
ナ「Balloon……ああ、風船ね」
白「キキ、日本語で言おうね」
そうだけどぉ……それで、嬉しくなって、スイカだ……って思うくらい大きく膨らまして、ポンポン飛ばしながら帰ってたんですけど……。
作「それで? どうしたの?」
風が吹いて、家の塀の中に飛んでって、気に引っかかったんですよね。
ナ「っ、もしかして割れ――」
――てはないけど、仕方ないから百二十センチくらいある塀に足をかけて風船を取りましたよ?
白「じゃあなんでわざわざ報告したの?」
……いいところに目を付けたな白銀。(キリッ)さすがだ。ナレーター(そこの放火魔☆)さんよりもずっと気が利く。
(放火魔)「おい!」
作「ま、まあまあ……」
その塀に上るのが楽しくて、もう一回風船引っかかってくれないかなって思って(ニコッ)




