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232 あの山になんて

232 七番様はセロリがお好き


 テントの中で、筮は頬を膨らませていた。


「なんだか、恋バナ中の私たちの空気にはあわない重い話だったわ……」


「そ、そうね……」


 凪も珍しく筮に同意した。

 筮は一度ため息をつき、彩華に向かって話しかけた。


「じゃあいいわ。でも、七番さん、一つだけ教えてくれない? せめて七番さんの好きな物でも教えてくれれば、恋バナはしなくていいわ」

「セロリ」


「……って即答!? なッ、セロリ!?」


 筮は思わず身を乗り出した。


「な、なんでセロリ……?」


「昔、嫌がらせで生のセロリを丸々出されたんだが、イヤイヤ食べてみると美味しくて! あの癖のある味や、長く残る後味が鼻に抜けて長く楽しめる。しかも新鮮であればシャキシャキという音がして耳にもいい!」

「嫌がらせでセロリ出したやつもおいしく食べられたらたまったもんじゃないでしょうねぇ……もっと嫌がらせがひどくなったんじゃない?」


 筮が珍しく声を荒げて熱弁する七番に意地悪で聞いた。


「? ああ、確かに、あれからしばらくアレルギーの蕎麦ばかり出されたな。あとトマト」

「へーソバがアレルギ――って、え!? セロリが好きでトマトが嫌いなの!? ……普通逆では?」


 筮にツッコミを入れられた七番は、「そうか?」とつぶやいた。


 その時、テントのドアのチャックがあき、さっき森から帰って来たばかりの陸と淳が顔を出した。


「あらあら佐藤くん、今私たちは大人の話をしているのだから帰りなさい」

「めっちゃ早口ですけど大人の話の中に桜さん入れるのおかしいでしょ筮さん」


 淳が筮にツッコミを入れる横で、陸は鏡と凪に泣きつかれていた。


「陸ー、助けてよー」

「私たちずっとここに閉じ込められて尋問されてたのよー」


「え、そうなの? 父さん、母さん……まあ、筮さんならやるか」

「それは偏見ではないかしら……?」


 私のイメージどうなってるのよ、と筮が付け加える。


・・・


 夜になり、それぞれ各々のテントで寝ている。

 大体、一つのテントに二人ほどで寝ているが、母さん、ウキョウくん、ナギトくん、あと桜さんはキャンプ場まで乗ってきた車で寝ている。


 ちなみに父さんはテントだ。寝袋でキャンプ気分を味わいたいらしい。

 こんなに自由な当主に振り回されている水上さんがかわいそうになってきた。


 そして夜中。僕はむくりと起き上がった。


 トイレ……。


 目を一度こすってテントを出た。

 キャンプ場にあるトイレの隣には、食器などを洗う水道と、レンジが置いてある。


 トイレの前につくと、トイレの電気がついていることに気づいた。

 人が出てくるのを待とうと思い、トイレの横の壁にもたれかかる。


 夜は思いのほか静かで、その時微かにトイレの中から音がしてきた。

 鬼は人間より五感が優れていると聞く。だから聞こえたのだろう。


 ビチャビチャという、物を吐く音が。


 しばらくすると、トイレのドアが開いて中から男性が出てきた。

 赤い髪に、赤い目。……あの顔はもしかして――父さん?


 顔色から見て、父さんが吐いたのは間違いなさそうだった。

 夕飯に食べた肉が生焼けだったのかなとも一瞬思ったが、次の一言でかき消された。


「…………まだ、完全に吹っ切れてなかったのかよ。――弥一(やいち)のこと」


 ……弥一?


 初めて聞く名前だった。そんな話されたことない。

 今までそんなそぶりもなかった。ではなぜ今? その『弥一』さんの事で吐いた?


「……口洗お」


 父さんはそうつぶやいて水道で口を洗った。

 そして、その場にうずくまった。


「………………()()()の近くだからか? ――やっぱり、弥一が『()()()』したあのスキー場になんて、寄るんじゃなかったな」


 エピソードタイトル『七番様はセロリが(以下略』にしようか迷いました。

ナ「ふーん。じゃ、後書き終わりね」

 早い! 終わりじゃないよ!? 終わりじゃないからね!?

作「弥一って誰?」

 関係ないでしょ!? 今日の後書きで話すのは、『花吐き病』についてです。簡単に言えば、好きな人に想いを伝えられないと花を吐く病、です。

白「で? それがどうなるの?」

 今回は、この物語の登場人物の中で、花吐き病になりそうな人を紹介しようと思います!

ナ「……で、誰がなりそうなの?」

 話が早くて助かるよ。私も考えたんだけど、花吐き病について考えたときに、一番最初に浮かんだのはナレーターさんだよ?

ナ「は!?」

 好きな人への想い、拗らせてるでしょ~?

ナ「そうだけど……それで言うなら、愛莉ちゃんとかもなりそうじゃない?」

白「確かになりそう。そこんとこどうなの?」

 いやぁ彼女は(笑)

作「ならないんですね分かりました!」

 ナレちゃんの次に浮かんだのは、祓い屋の風雅輝くん、七番様、瑞祥君、瑞祥君の好きな杠ちゃんも。だから、二人は両片思いだね。

白「ネタバレでは?」

 あっ、確かに! 忘れて! あとは……

ナ「というか、風雅輝君一回しか出てないけど、恋を拗らせてるっていう設定があるってことは重要人物?」

 ナレちゃんのよーく知る人物でございます。あとは馬場さん、今日初登場の弥一、芯祥(しんしょう)狐白こはく(えにし)さん……

作「ちょいちょい! まだ出てない人も言ってるじゃん! 後書き終わり! またね!」

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イイネ等、よろしくお願いします。 え? なぜかって? しょうがないなぁ、そんなに言うなら、教えてあげないこともないですよ。 モチベにつながります。
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