223 七不思議の使い組は丸焦げに興味を示さない
「兄上」
「ん? どうしたの生鏡くん」
僕は夕食を食べながら佐藤と話していると、生鏡くんに話しかけられた。
「空兄上が焼いてた焼き鳥が黒ずみへと化した」
生鏡くんが指さす方では、兄さんの前に置いてあるコンロからプラスチックでも焼いたのかと思うほど真っ黒い煙が上がっており、そのコンロをみんな(アルバトロス、白銀、彩華以外)が取り囲んでいた。
兄さんが小刻みに震えながら「ご、ごめん……」と謝ると、叫んだのは筮さん、光莉、葵の三人。
「「「せっかく買ってきた焼き鳥返せーーー!!!」」」
「ご、ごめんなさーい!!」
「兄さん……」
「相変わらずだね。陸の兄さんの料理センス」
シュンと落ち込む兄さんに、桜さんが近づいて声をかけた。
慰めるのか……と、思いきや……?
「ちゃんと反省してください。こんなこと言うのもなんですけど、焼き鳥を無駄にしたんですから」
「酷い! 慰めるタイミングだったでしょ今完全に!」
………………兄さん………。
ようやく食べ物を爆破させずに焦がせるようになったのか……!(諦めゆえの驚き)
・・・
「焚き火……キレイです……」
「触っちゃ駄目なの」
「ムッ、わかってます」
「彩はアルバトロス越しに五番の言っていることが分かるの」
「で? なんて言ってたんですかあの変態は」
「『誰が変態やねん! このアホ! ガキ!』と、『焚き火がいくら綺麗かて触ろうとするバカはおらんで』なの」
焚き火を見ながら彩華さんと会話する桜さんを見ながらボーっとしていると、父さんと母さん、それと、安藤さんもいないことに気づいた。
そこで、父さんの護衛として来ているという水上さんに聞いた。
「水上さん」
「はい、なんでしょう陸様」
「さまは無くていいです……。あの、父さんと母さん、あと安藤さんはどこに行ったんですか?」
「え? ああ……どうやら、当主はまた勝手に居なくなったみたいですね。ご報告ありがとうございます。ですがご心配なさらず。あの三人はどうせ『あの場所』でしょうから」
「あの場所?」
「え? ああ……。とにかく、私一人で行くので、ここで待っていてください」
そう言って水上さんは、あっという間に小さくなって、遠くへ消えて行った。
しかし、『来るな』の一言で静まる僕じゃない。若者の好奇心なめるなよ?
「……なーんて考えてそうだから、俺は止めないよ」
顔に出ていたのか、後ろから図星を突かれてしまった。
振り返ると、そこにいたのは海斗。
「俺は連れてこられた護衛らしく、陸様をお守りします……と、言いたいとこだけど……」
「ど?」
「あいにく俺は空様の護衛だから、陸にはついて行けないよ」
そう言って肩をしかめ、小さくため息をつく。
ああ、そうだった。
でも、そう言われると余計に気になる。
佐藤は僕の護衛。海斗は兄さんの護衛。水上さんは父さんと母さんかな?
気づいていなかったけれど、このキャンプ場には父さんの部下は何人も紛れているらしい。
もともといつも近くに大人がいることが当たり前だった僕の弟二人は一人で勝手に行動しないと分かっているから少し離れたところから見守っているんだろう。
でも、僕と兄さんは違う。だから専属SPがいるんだろうなぁ……。
「おーい! シュン、陸が水上さんの後追いかけるらしいから、ちゃんと守れよ!」
海斗が僕の事を『陸』と呼び捨てにするのは、僕が様付けはやめてくれと頼んだからだ。その方が気楽でいい。
こうして僕と佐藤は、水上さんの後を追う事となった――が。
ナ「興味を示せよ!」
いやでも爆発しなくなっただけ――
作「マシだよ――」
ねー!
作「ねー」
白「え、打ち合わせ済み?」
ナ「やってんなぁ……」
いや?
作「何も?」
やってませ~ん。
ナ「腹立つこいつら。やってようがやってなかろうがどうでもいいから殴っていい?」
白「ちょちょちょ! 待って待って! ストォップ!」




