220 テントってどうやって組み立てるの?
突然ですが僕らは、キャンプにやってきています。
「なぜいきなり……」
僕はそうつぶやき、振り返る。
そこには、長時間車に乗っていた体を伸ばしているキャンプメンバーがいる。
このキャンプに来たのは……いや、せっかくだからもっとテンションをあげて説明しよう。
一人目! 頭脳明晰元アイドル、童顔のせいで車運転時何度も警察にお世話になり、仕方なく付き添いの部下に運転を交代してもらった媿野家現当主、にしっ……媿野? 鏡!!(35歳)
二人目! 夫と同じく元アイドル!? 美男美女のおしどり夫婦かいちゃつくのも対外にしろー! 当主の妻で媿野家の会社の社長を務める4児の母、媿野凪ーーー!!(33歳)
三人目! ええいもういい説明疲れた! 会ったばかりの弟君、媿野生鏡!(小五)
四人目! 会ったばかりの弟2、媿野凪寽!(小一)
五人目、おっと説明忘れてた、僕の兄、西村? 空ーーーっ!(高一)
……テンション持たない。普通にやろ。
六人目! どうやら父の部下らしい。初めましてでも苦労人って雰囲気分かるよ! 水上紀章ーー!
七人目! 兄さんの護衛として呼ばれた瀬戸海斗こと鬼屋敷海斗!(高一)
八人目! そろそろ説明疲れたぞ? 当たり前のようにいる僕の護衛(?)、佐藤こと鬼嶺滝(らしいですよ)淳!(中三)
九人目、名字は知らん! 年齢も謎! 自称二十代筮さんーーー!!(本当に二十代)
十人目と十一人目は同時に紹介! こっちも名字は忘れた! 光莉と葵こと光流ーー!(中二)
十二人目と十三人目も同時紹介! 七不思議六番江見桜子! そして七不思議七番の使い! なぜいるんだ彩華さんーーー!!(七不思議五番さんの鳩、アルバトロスもいるよ)
十四人目もいる。父さんに何度聞いてもなぜいるのか教えてくれなかったためなぜここに連れてきてもらえたのかはすべて謎! 安藤さんこと鬼桜啓!
そして最後は当然僕! 西村……媿野陸(中三)です!
ちょっと説明が長いような気もするけど、このキャンプ場がどこかも一応紹介しておこう。
このキャンプ場は、前に僕らが林間学校で来た場所だ。
あの時は都市伝説? とかいう奴のせいで大変だったけどね……。今回も現れるのかな?
「陸、何ボーっとしてるの? テント組み立てないと」
「あっ、そうだったごめんごめん」
僕は鬼嶺滝……いや、いつも通り佐藤と呼ぼう。佐藤に呼ばれて組み立て途中のテントのもとに小走りで向かった。
「テントなんて組み立てたことないよ……」
「そうなの? 海斗」
「俺の言葉の信頼度ゼロなの?」
テントの骨を持ちながらつぶやく佐藤の言葉を聞いて、ちょうど後ろを通りかかった海斗に聞いた。
佐藤の言葉の信頼度がゼロってわけじゃないけど、佐藤と海斗、安藤さんと会ったことのないもう一人は将来当主に使える時の為にいろいろ学んでるって聞いてたから、テントの組み立て方は習わないんだって思っただけ。
「普通、当主はキャンプでテントを組み立てないし、その一番近くにいる部下も組み立てない。それ以下の鬼が組み立てるの」
そう言って佐藤はため息をつきながら立ち上がり、水上、という名の父さんの部下に話しかけ、水上さんを連れて戻ってきた。
「このテント、組み立てられます?」
「いやそれが、何度か挑戦したんですけど全然わからなくて……」
「そうですか……」
さすがいいとこのボン×2……。
キャンプ場到着早々壁にぶち当たってるけど、大丈夫かな……。
白「いいとこのボン……」(いいとこの嬢)
ナ「いいとこのボンねぇ……」(山生まれ山育ちの庶民)
作「いいとこの坊ちゃんにはいいとこの坊ちゃんなりの苦労がありそうですけどね。おもにあの気まぐれ当主の子守とか」(一般人)
ナレーターさんはテント組み立てられる?
ナ「え? 俺? 俺は無理かな……テントとか持ってないし……」
白銀は――
白「無理」
はぅ、じゃあ作者……は、無理か……。
作「親の手伝いでやったことありますけど!!?」