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小話3 ボクは、オトナなんだ!2
店の扉が開く音がして、中にいた客達が会話を止める。さてどんな人物が来たのか、興味津々に視線を走らせる客達。次第に目が下を向く。
興味の視線を集めたのは、ランドセルを背負った小学生の男の子。大人達の驚き顔に、不機嫌をあらわにする。
「……なんだよ。入っちゃ、わるいのか?」
男の子に言われ、ちょっと気まずい雰囲気が広がっていく。ここは喫茶店であって、お酒を提供する店ではない。未成年であっても問題はないし、赤ん坊連れの主婦達だっている。なのに小学生が入ってきただけで、驚くのはおおげさだった。
「いらっしゃい」
そんな空気を割って入ったのは、マスター。手を動かしつつも、快く男の子を招き入れる。
「うん。今日もアレ、おねがい」
次回は、月曜の19時更新です。