小話3 ボクは、オトナなんだ!3
そう言ってランドセルを背負ったまま、カウンター席のイスによじ登る男の子。今にもずり落ちそうな彼の姿に、ハラハラする客達。
ようやく登りきった瞬間は、当の本人だけでなく、周囲の客達も安堵の息をついた程だ。
そのタイミングで、マスターが男の子の前に小さなマグカップを置く。中を覗き込めば、湯気を立たせた牛乳が注がれていた。
「……うう」
男の子は見た途端に眉を寄せ、うなる。心底嫌そうなしかめ面に、「よほど嫌いなのか」と思う周囲の客達。やがて固唾を飲み、男の子の行動をチラチラ盗み見る。
マスターの手際と、男の子の言葉でどうやら何度もこの店に来ているらしいとわかった。ただの小学生が、普通一人で喫茶店に来れる訳ないのだから。恐らく、彼の親と何かしら交流があるのだろう。
勝手に想像を膨らます客を尻目に、男の子は緊張した面持ちでマグカップを手にした。生唾を飲み込み、手を震わせながら口元に近づけていく。
ゆっくり、ゆっくりと。
そして。
バァン!
「ようやく、見つけたっ!」
「っ!?」
突然の大声に、驚く男の子。持っていたマグカップをテーブルに落としてしまい、中身が全部流れてしまう。
「あ、あァァ!?」
せっかく飲もうとした牛乳を、ダメにしまいショックを受ける男の子。原因をつくった来客に文句をぶつけようと、入り口へ向いた所で彼の体が硬直する。
そこには、ブレザーの制服をキチンと着た少女。腰に手を当て、据わった目で男の子を見ていた。見るからに怒っているのがわかるほどに。
「げっ!? ねえーちゃん!?」
次回は、水曜の19時更新です。




