【金鎧の女騎士】
【金鎧の女騎士】
「門を開けよ! 我に続け!」 「おおー」
金鎧の騎士は騎馬を数百騎、引き連れ魔族達がひしめく城外に打って出た。
城壁を守る近衛兵や守備兵は飛んでくる羽根蟲を槍で突き刺したり弓で射落とすが、それでもかなりの数の魔物が城内に侵入し城内はパニック状態になった。
蠅や蚊の様な蟲は飛びながらストローの様な口から唾液を吐き出し攻撃する。
唾液が掛かった者は悲鳴をあげながら地面を転げまわった。
凛太朗は、とんでもない事態に巻き込まれたと思いながらも、住民に襲い掛かる魔物に反応し胸のホルスターからどっしり重い軍用の拳銃を抜き取りトリガーを引いた。
「バン・バンバン」城内の泣き叫ぶ声をかき消す様な乾いた音が鳴り響いた。
体に弾丸が撃ち込まれた感覚はバットの素振りがガンとあたった感じだと言われるが、魔物の表情から痛みを感じる痛覚があるのかどうかは分からない。
9MMの弾丸は羽根蟲の頭部にヒット、即死に近い状態で次々と落下する。
だが、弾倉に装填していた弾丸は直ぐに空になった。
『外は魔物達で溢れている。何処にも逃げ口はない。
遅かれ早かれ身に降りかかるだろう。
こうなったら力で切り開くしかないか・・・』
トラブルを呼び寄せる原因はタイガーにあると思っていたが、案外、俺にあるのかも知れないと思った。
凛太朗は覚悟を決めた。
呼吸を整えながら闘気を高め胸あてに闘気を流した。胸当ては闘気を得て変形し持ちなれた村正に姿を変えた。
それから壁を乗り越えて来た数え切れない魔物を切り捨てた。
魔物のスキンカラー(Skin color:肌色)の返り血汁が着ていたスーツに血糊の様にべっとりと付いた頃、村正から鳴き声が聞こえた。
見ると刀身に人面瘡が憑りついていた。
悪霊の類なのか、「うひぃうひひひ・・・」それは狂っている様な声をあげた。
この時、凛太朗は妖刀になった村正の本性を見た気がした。
凛太朗はスナイパー用ライフルをイメージしながら城壁に駆け上がった。
村正はそれに応えバレット M82 アメリカで開発された大口径のセミオート式狙撃銃に姿を変えた。
場所を選びライフルを構えて、先ずは上空を飛んでいる羽根蟲を狙撃する。
幻想銃の死霊弾は一撃必殺だ。
時には意思を持っているかの様に弧を描きながらターゲットを確実に捉えた。
金鎧の騎士が引き連れる騎馬隊は勇猛果敢に戦った。
魔物達に長槍で突っ込み攻撃しては馬の脚を生かして下がる一撃離脱戦法を繰り返していた。
戦士と魔物の個々の戦闘能力の差と圧倒的な数の魔物達を相手に正攻法では勝てないとの判断から考えだした戦法だ。
凛太朗は2KMある狙撃銃の有効射程を生かして戦士達の援護射撃をした。
蟲形の大型魔物を次々倒す。
何度かの突撃を繰り返した騎馬隊は凛太朗の援護射撃により数を減らしながらも魔物達が少し引く間に城内に戻って来た。疲れを癒し次の攻撃に備えるためだ。
緒戦の戦いを終えて圧倒的な数の魔物達に対して善戦した様に思えるが、騎馬兵達はかなり消耗し手詰まり感は否めなかった。
凛太朗自身は幻想銃をもっと強力な武器にして戦う事は出来るが、大型の死霊弾を何発、発射できるか試した事がなく不安があった。
城内に帰って来た金色鎧の騎士が、馬を降りて従者と共に凛太朗に近づいてきた。
「貴敬なのか、我々を助けてくれたのは・・・」
凛太朗の歴史の知識では身分の高い者は誰とも分からない者の前では、わざわざ兜を脱ぐ事はなかったと解釈していたが、敬意を表すために違いない。
金色鎧の騎士は兜を脱ぎ顔を表した。
『やはりそうか・・・』
凛太朗は金鎧の騎士は薄々女性ではないかと思っていたが、あたっていた。
兜から流れ出た金髪の髪が、風にさらりと靡いた。
化粧はしていないが、凛太朗がドキッとする様な絶世の美女だった。
「私はブリテンの王、アーサーだ。
貴敬の我々への助勢に対して、心より礼を言う。
よもや二度と生きて城に戻れるとは思わなかった」
凛太朗は王族への礼や所作は知らなかったが、敬意を表すために胸に手をあて片膝を付いて接した。
「これはアーサー王、過分なるお言葉ありがとうございます。
私は結城凛太朗と言う東方の樹海から魔物を追って来た迷い人です。
王様には迷い人、故に初めて拝謁させて頂きますが、私は魔物退治を生業とする異次元の抗魔執行官です。
ですから魔物を倒す事は自らの仕事と考え、最後までアーサー王にお力添えをさせて頂きますので、ご安心願います」
「何と、樹海から来た迷い人とは驚きだ。
ゆっくり話を聞きたいところだが、魔物が何時襲って来るか分からない。
もし、この戦いで生き残れたら、望みの褒美を取らす事にする。
共に生きようぞ・・・」
「皆の者、聞くがよい!
戦える者は女子供でも武器を取れ、これから我らは籠城戦をする。
陽が落ちれば再び蟲達は襲ってくる筈だ。
それまで体を休めるんだ!
おい、誰か、残っている食料を皆の者に配れ・・・」
凛太朗は彼女が絶世の美女だからではないが、彼女に運命の女神の加護を与えてあげる事にした。
「彼女に幸運を!
女神の加護、運の力UP 10倍 100倍 無限大!」
凛太朗は神魔晶石のブレスレットの鎖を引き千切り無限大の運を使う事にした。
彼女に生き続けて欲しかったからだ。




