【異次元からの恐怖】NO2 蠢く者達VS異次元の騎士達
【異次元からの恐怖】NO2 蠢く者達VS異次元の騎士達
凛太朗はパーカー男を俊足で追いかけたが、何時の間にか見失ってしまった。
そこで、足を止め、ふと気が付いたら、不自然に思える様な極彩色の植物が生えている樹海に入り込んでいた。
樹海の植物は様々で、極端に根元の幹が細く先端程太い木や枝が折れそうな大きな実がなった植物、それに巨大な千年樹など様々な植物が入り混じる。
空には大きな鳥?いや蟲が何かを探しながら飛び回っている。
その時だった。
蟲が鳥を捕食するのが見えた。
「食物連鎖が狂っている?」
凛太朗は『この世界を作った創造主は、きっとふざけて世界を作ったに違いない』と考えながら、追うのを諦めて来た道を振り返り帰ろうとするが・・・。
「なに!道が無い」
それから自分の方向感覚や記憶を頼りに樹海を彷徨う羽目になった。
結局、元の世界に帰れず時間だけが過ぎる。
樹海は薄暗い感じがしたが、急に暗くなってきたので、時計を見ると針は翌朝の8時を指していた。
パーカー男のマンションの前では夜7時頃だったので、あれから12時間経っている事になる。元の世界では朝を迎えている頃だから時差がある様だ。
樹海は昼間と思える時でも薄暗い感じがしたが、夜になると闇の世界になった。
何か得体の知れない生き物が動き回り鳴き声が聞こえてくる。
「くそ・・・」
凛太朗は危険な気配を感じたので、樹海の木に登って一夜を過ごす事にした。
その木は根元から枝分かれしており、比較的上り易かった。
木の上からは真珠の様な沢山な星と異世界の夜空に浮かぶ真っ赤な月が見えた。
それを眺めながら眠りに入った。
夢の中で小さな光りが沢山近づいて来て形作った。
それは羽根の生えた小さい女の子だった。
「この世界を助けて・・・助けて・・・」
この夢は何を暗示しているのだろう?
朝日に気が付いて目覚めると、驚く様な事が起きていた。
樹海から離れて草原に立つ木の上にいたのだ。
『塒にしていた木が、動いたのか・・・?』そうとしか考える事が出来ない不可解な事が現実に起きていた。
『木が動く・・・』そう考えると何故、道に迷ったのか説明が付きそうな気がした。
だが、そんな馬鹿な事が起きる筈がない。
その時はそう思っていた。
草原の向こう側に中世ヨーロッパの城とケルト風の建物が立ち並ぶ町が見える。
異国情緒が溢れる幻想的な町だ。
パーカー男を処分する任務を果たし、元の世界に帰るために城で情報収集する事にした。
何故かって、深い考えがあった訳じゃない。
それしか頭に浮かばなかったし、そこに何かありそうな予感がしたからだ。
城に近付くにつれ廃墟になった建物も数多く目に入った。
農民らしき恰好をした人々が荷車を引きながら続々と城の方に向かっていた。
人間族と思われる者は肌の色が薄いピンクやグリーン色をしている。
他には抗魔官の研修を受けている時に聞いた事がある猫耳のケットシーやヴィエラ族と呼ばれる兎耳を持つ亜人種がいた。
城の周りは堀があり水が張られて、城門防備のために跳ね橋が掛かっている。
警備兵は長盾に槍、鎧を装備していた。
『この世界には銃器は無いのか・・・。
武器から推測すると、この世界の文明は地球で言えば産業革命以前の中世時代あたりか』と、そんな事を凛太朗は考えた。
「早く城門の中に入るんだ」
橋を渡った城壁の門にいる警備兵が、外から来る農民達に入城を急がしている。
凛太朗も農民達に混じって城の中に入る事にした。
城内には避難民と思われる住民達でいっぱいだった。
「カンカンカン・・・」急に警鐘が激しく鳴らされた。
「おおーい、狼煙が上がった。門の中に入るんだ。
蟲達がもう直ぐ襲って来るぞ」城壁の物見の兵士が急を知らせる。
「蟲が来るぞ!」「わーもう終わりだ」「ひえ~助けてくれ・・・」
「ギーギギ・カサカサ・・・ギギィー、グルグルグル・・・」
城門が閉められ、何か得体の知れない蠢く者達が城を囲んだ。
避難民はパニック状態になった。
城壁から弓兵が城外を取り囲んだ者に対して弓を射かけ戦いが始まった。
『何だ!どうしたんだ・・・』
凛太朗は8000年未来で作られた異次元翻訳機のお陰で言葉は分かったが、思わぬ急な展開に戸惑った。
城内から騎馬に乗った騎士や近衛兵・城兵の一団が広場に集結し隊列を組んだ。
将軍らしき金色の鎧を着た騎士が前に出て剣を抜いた。
「ブリテンの戦士達よ!
恐らくこれが最後の戦いになる。
これより我らは城外に打って出る」兵士達は盾を剣で叩き音を鳴らし将軍に応える。
将軍はそれを手で制して言葉を続けた。
「残念だが、我らに戦局を変える力はもうない。
だが、王国の戦士としての誇りを忘れるな!
愛する者達を守るために命を惜しむな!」
「おおおー・・・」兵士達は剣や槍を高々と上げ将軍に応えた。
金色の騎士は騎馬を走らせ兵士達と、剣を合わせ士気を鼓舞した。




